CA1752 – 動向レビュー:学校・学校図書館を取り巻く新しい読書活動-集団的・戦略的読書の視点から- / 桑田てるみ

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カレントアウェアネス
No.309 2011年9月20日

 

CA1752

動向レビュー

 

学校・学校図書館を取り巻く新しい読書活動-集団的・戦略的読書の視点から-

 

1.学校・学校図書館の読書活動の背景と概要

1.1. PISA型読解力への注目

 近年の学校教育における読書活動を考えるためには、新学習指導要領(1)を押さえておく必要がある。新学習指導要領には、「思考力・判断力・表現力等」を育むことを目的とした言語活動の充実が盛り込まれ、それを支える条件として、読書活動の推進、学校図書館の活用や学校における言語環境の整備の必要性が示された(2)。言語活動の充実が設定された理由の一つには、経済協力開発機構(OECD)による学習到達度調査(PISA)によって、日本の子どもたちには「思考力・判断力・表現力等」を問う読解力問題に課題があると判明したことが挙げられる。いわゆるPISA型読解力(3)CA1671CA1703CA1722参照)に課題があったことの影響は大きい。そのため、学校現場ではPISA型読解力の育成への関心が高い。

 また、新学習指導要領には「生きる力」の育成を目的に「探究的な学習」の推進も明記されるようになった。グローバル化が進んだ「知識基盤社会」に必要な能力を育成するために、批判的に考えたりコミュニケーション力をつけたりするなどの学習活動を行う。そこではPISA型読解力とも密接なクリティカル・リーディングなどの読書技術が必要となる。

 こうした状況のもと、学校および学校図書館では、読書活動とPISA型読解力の育成とを密接に関係付けて考えることが増えている。

 

1.2. 一人読みから集団での読書へ

 PISA型読解力の育成という命題があるなかで、近年の学校および学校図書館では、読書会のようにグループで読書をする集団的読書活動への注目が集まりつつある。読書を個人のものにとどめるのではなく、グループで行い共有していこうとする動きである。読書会での交流は、読書感想文や読書感想画とは違い、一方通行の発信にとどまらないところに、読書指導としての優位性がある。複数で同じ本を読んで感想や意見を話し合うことで、深く読み取ったり共感したり、意外な発見ができたりするなど、読みの世界が広がることが期待されている。読書生活(4)を豊かにするだけではなく、コミュニケーション能力を養うことにもつながる(5)

 現在注目されている集団的な読書活動は、「読書へのアニマシオン」、「ブッククラブ」、「リテラチャー・サークル」、「リーディング・ワークショップ」など欧米で指導されている方法である。これらの読書活動は、自分はどのように読んだのか、自分なりの評価や判断を他人に伝えて、それを共有することに意義を見出している。ここで求められている「読み」は、PISA型読解力の向上とも絡む戦略的な読書方法でもある。

 

2.読書へのアニマシオン:その捉え方の変化

 読書へのアニマシオン(以下、アニマシオンとする)は、本の内容に関する「作戦」と呼ばれる問いを子どもたちに投げかけるスペインの読書指導法である。日本では1997年に翻訳書(6)が紹介されて以来、2000年代には学校図書館にも広がった(7)

 アニマシオンは、日本に紹介された当初は読書を楽しく勧めるゲームとして認識された。しかし、単なるゲームではなく子ども自身が持っている力を引き出す教育法であることが次第に知られるようになってきた。本来のアニマシオンは、「子どもが読書体験を重ねるうちに、どのように本を読むかという自分なりのスキーマをつくりあげていく」(8)ことを支援する指導法である。読書の世界の入り口に子どもを立たせるような読書指導とは目的が異なっているとされる(9)。また、アニマシオンの発問はPISAの問いと似ているため、PISA型読解力を身につける方法として最適だとされている(10)。近年では、物語を読み解く観点や調べ学習の際に情報を引き出す観点からもアニマシオンの有効性が唱えられ、教科学習にも役立つ読書教育であるとの認識が学校図書館関係者には浸透してきた(11)

 一方で、アニマシオンは、「学校で読書を教えるための方法として生まれたのではなく、図書館員が図書館に来た子供たちに対して行う技術としての『お話の時間』の延長として、生まれた」(12)ために、学校のカリキュラムには位置付けにくいとの指摘もある(13)。近年ではこのような議論をもとに、学校教育のカリキュラムに取り込みやすいブッククラブやリテラチャー・サークルなどが教科教育を舞台に提案され始め、それが逆輸入のように学校図書館にも普及しつつある。

 

3. カリキュラムに位置付けられる読書活動

3.1. 日本型ブッククラブ

 ブッククラブ(Book Club、以下、BCとする)(14)は、ラファエル(Taffy E. Raphael)氏の提案する米国の読書活動である。それは「同じ本を小集団で読んで課題(問い)を発見し課題について意見を持ち、課題の答えを書いた上でディスカッションして課題を解決する学習指導法」(15)だとされる。読むための戦略として、題材の理解のために必要な背景などの予備知識を知っておくこと、書かれていることから推測すること、創造的に読むことなどが提示されている。

 日本では、学習指導の方法の違いからそのまま導入することが難しいとして、有元秀文氏によって日本型BCが提唱された。日本型BCは、国語科の授業の中で取り入れられることを目的としているため、本を丸ごと扱わなくてもよい。教科書の題材も扱えるように考えられている。日本型BCでは、リーディング・ストラテジーに沿った14の問いを教師からも子どもたちからも出し合う(16)。この問いに答えることでテキストを正しく深く理解したり、クリティカル・リーディングをしたりすることができ、ひいてはそれがPISA型読解力につながるとされる(17)。日本型BCは、問いを与えてそれに回答するという点ではアニマシオンと似ているが、教科学習が主体であるという点が異なる。

 日本型BCは国語科向けの指導法であるが、2009年に刊行された学校図書館向けの書籍(18)の中でも紹介された。2011年8月4-5日にかけて開催された「近畿学校図書館研究大会」(19)では、有元秀文氏が講演者として招かれ、BCに関する講演と実演を行うなど、学校図書館にも浸透しつつある。

 

3.2. リテラチャー・サークル

 リテラチャー・サークル(Literature Circle、以下、LCとする)とは、3人から5人くらいの少人数のグループで、同じ本を読んで書いて話し合うという活動である。足立幸子氏が国語科の授業での指導という観点からアニマシオンを研究した結果(20)、より授業内で指導しやすい読書活動としてダニエルズ(Harvey Daniels)氏のLC(21)を紹介したことから広まった。現在では国語の授業だけではなく、学校図書館での読書活動としても導入が進んでいる(22)

 全国学校図書館協議会(全国SLA)の機関誌『学校図書館』2009年8月号には、「特集:読書に誘う手法」としてLCが紹介された(23)。さらに全国SLAは、2011年度の「読書会コーディネータ養成講習会」の中でLCの講習を開催し始めた(24)。また、2010年からは、朝日新聞社の主催で、高校生4人組で読書会を行い、その結果をまとめた作品のコンクール「どくしょ甲子園」が始まった。その中では、読書会の方法論としてLC(簡略版)が紹介されている(25)。このように、LCは近年注目されている読書活動である。

 LCの方法は、教師から示された本の中から子どもたち自身が読みたい本を選び、同じ本を選んだ者同士でグループになり、読むペースを決める。読む時には、それぞれが読むための役割分担を行い、その役割に沿って一人で読み、読んだ結果を書く作業も行う。読むための役割は、コネクター(本の中の世界と現実世界を結びつける役割)、質問者(疑問を持つ役割)、文章担当者(素晴らしいと思う表現や印象に残ったところなどを発表する役割)、イラストレーター(読んで得たイメージを絵にする役割)など複数ある(26)。一人で読んだ後は、どのように読んだのかという結果を書いたシートを持ち寄りグループ内で話し合う。毎回担当する役割を変えて、何回かに分けて一冊の本を読み切る。つまり、一人で読む時間とグループで話し合う時間が交互に訪れるような読書の方法である。また、教師は参加者ではなく指導者でもなく、ファシリテーター(促進者)(27)の役割を果たす。一人読みとグループ読みの双方ができるバランスのよい読書指導であるとされる(28)

 LCが他の方法と異なり意義深い点は、役割が違う者同士が本を読むという同じ課題に協力して向かっていくところにある。それは、異質な集団内で自律的に活動する能力を育むことにもなり、その能力はPISA型読解力のもととなったOECDのキー・コンピテンシーとも繋がっている(29)。LCもまたPISA型読解力の向上に寄与する読書活動といえる。

 

3.3. リーディング・ワークショップ

 リーディング・ワークショップ(Reading Workshop、以下、RWとする)とは、カルキンズ(Lucy Calkins)氏の著作(30)が2010年に日本に紹介されて以来、主に小学校教師の間に広がりつつある国語の指導法である。年間を通しカリキュラムの一環として読書活動を指導していく。

 RWの通常の指導パターンは、教師が読みの戦略などを厳選して教えるミニ・レッスンを行った後、最大限子どもが一人で読む時間を取る(31)。教師は、子どもたちが読んでいる間、その様子を観察しカンファランスと呼ばれる対話的な指導を個別に行う。カンファランスは、(1)子どもの状態を観察し、(2)教える内容を選択して、(3)教えることが基本となるため(32)、読んでいる子どもたちがどのような読み方をしているかを把握する必要がある。この場合の教師の役割はファシリテーター(33)であり、一方的な指導ではなく中立の立場で子どもと向き合う。また、一人で読むだけではなく、ペアで読む、ガイド読み、ブッククラブ(34)と呼ばれる少人数での本の話し合いなどさまざまな活動を組み合わせる。授業の終わりに、その時間の振り返りを行い、ジャーナルと呼ばれる読書日誌を書く。

 RWは本を丸ごと扱うことが特徴で、優れた読み手が行っている読書方法を教え、実際に体験させることが中心となっている。そのため、RWでは子どもたちの身近に豊富な本が用意されていることや、読み聞かせや各自が読書できるスペースが確保されていることなどの読書環境も重要である(35)。こうした環境面を考えると、RWの授業には学校図書館を利用することが望ましいと考えられる。現状では学校図書館でRWを取り入れているところは多くないが、今後はアニマシオンやBC、LC同様に、学校図書館関係者がRWへの関心を高めることが予想される(36)

 

4. 学校図書館における新しい読書指導の可能性

4.1. 読書前、読書中、読書後を意識した指導へ

 学校図書館において、集団で行う読書会という読書活動形式は目新しいものではなく、1950年代にも読書後に「記録を残す」(読書記録)「その内容を話し合う」(読書会)などが重視されていた(37)。しかし、近年の読書会は、ただ集団で読書後の感想を述べたり、討論したりするだけではなく、読書中の読者に深くかかわっている点が異なる。アニマシオン、BC、LC、RWなどの集団的・戦略的な読書の指導においては、従来の読書前と読書後の指導だけではなく、読書中の読書戦略の指導が重視されている。たとえば、読書中に気付いたコメントを付箋に書きこみ本に貼りながら読む手法(38)は、LCでもRWでも指導する。読書前、読書中、読書後といった一連の読書活動に対する指導法が確立しているのである。

 読書前、読書中、読書後という一連の読書活動にかかわる読書指導は、断片的に読書を扱うのではなく、人間が本を読むという行為そのものにかかわる指導である。一冊丸ごとの読書に関与する学校図書館には親和性が高い。また、学校図書館員は子どもに寄り添った読書支援を行うことから、集団的読書のファシリテーターの要素も持ち合わせている。学校図書館と集団的・戦略的読書とのかかわりは深いといえる(39)

 今後、学校図書館員は教師と協働することで、読書前、読書中、読書後という一連の読書活動を視野に入れた戦略的読書の指導に取り組むべきだと考えられる。

 

4.2. 探究型学習につながる読書指導へ

 本稿で紹介した読書活動には、ここ何年かで指摘されてきた、学校図書館における情報リテラシーと読書との乖離(40)に対する解決策も見出せる。たとえば、ダニエルズ氏がLCの指導法の一つとして示しているKWLチャート(41)は、読書前に既有知識を呼び起こしておき、読書中に何を読みとるべきかを明らかにして、最終的に既有知識と読書で得た情報を関連付けながら知識のネットワークに組み込んでいくというものである。これは、探究型学習において、テーマを決めて情報収集する場合、すなわち情報リテラシーが求められる場合の戦略としても利用されている(42)。KWLチャート以外のさまざまな読書戦略にも読書と探究型学習をつなぐ指導法として利用可能なものがある。

 日本の学校図書館は、情報リテラシーと読書をつなぐもの、また探究型学習につながる戦略的読書の提供といった観点からも、アニマシオン、BC、LC、RWなどの欧米型の読書活動に注目すべきである。

 

5. 集団的・戦略的な読書活動の導入に対する課題

 本稿で紹介した、アニマシオン、BC、LC、RWのような集団的・戦略的読書の活動は、今後はさらに導入が進んでいくものと考えられる(43)。これらは、PISA型読解力の向上を視野に入れた読書活動でもあり、新学習指導要領で実施が求められている探究型学習につながる読書活動ともなりうる。

 ただし、欧米型の読書活動の導入に際しては、その本質は何かを見極めることを忘れてはならないだろう。これらの読書活動は、長年の読書研究の成果が存分に生かされている。たとえば、読者反応理論や構成主義にもとづく読書研究の成果、テキストの意味の個人的構成、社会的構成の過程に関する議論などが踏まえられている(44) (45) (46) (47) (48)

 このような理論的な背景を理解しておくことは、表面的な模倣に終始することを防ぎ、効果的な読書指導をする上で重要である。そのため、今後の学校および学校図書館では、新学習指導要領の実現やPISA型読解力の育成といった視点とともに、欧米型の集団的・戦略的な読書活動が持つ本質を理解し実現する視点を持ちつつ、新しい読書活動に取り組むことが求められるだろう。

国士舘大学:桑田てるみ(くわた てるみ)

 

(1) “新学習指導要領(本文、解説、資料等)”. 文部科学省.
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/index.htm, (参照 2011-07-01).

(2) “幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)”. 文部科学省.
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/__icsFiles/afieldfile/2009/05/12/1216828_1.pdf, (参照 2011-07-01).

(3) PISA調査で測られた読解力は、書かれたことを理解し、利用し、熟考する能力を指す。

(4) 杉本直美氏は、従来の読書指導は不十分であり、読書生活デザイン力の育成を指導目的とすべきとする。
杉本直美. 自立した読み手が育つ読書生活デザイン力: 子どもが変わる読書指導. 東洋館出版社, 2010, 209p.

(5) 心つながる喜びを シンポジウム「グループ読書のすすめ」. 朝日新聞デジタル. 2011-04-30.
http://digital.asahi.com/20110430/pages/, (参照 2011-06-20).

(6) サルト, モンセット. 読書で遊ぼうアニマシオン: 本が大好きになる25のゲーム. 佐藤美智代ほか訳. 柏書房, 1997, 155p.

(7) 全国SLAの機関誌『学校図書館』では、早期にアニマシオンに関する特集が組まれた。当時の取り上げられ方は、「読書の楽しさ」「クイズ」などの文字が散見され、深く読むことに対する記載は少ない。
全国学校図書館協議会. 特集, 読書のアニマシオン. 学校図書館. 2001, 610, p. 15-49.

(8) サルト, モンセット. 読書へのアニマシオン75の作戦. 宇野和美訳. 柏書房, 2001, p. 304.

(9) 中谷陽子ほか. 読書へのアニマシオンの実践に関する研究. 白鷗大学教育学部論集. 2007, 1(1), p. 123-148.
http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels〈=jp&type=pdf&id=ART0008478658, (参照 2011-07-01).

(10) 有元秀文. 必ず「PISA型読解力」が育つ七つの授業改革: 「読解表現力」と「クリティカル・リーディング」を育てる方法. 明治図書, 2008, 117p.

(11) 渡部康夫. 生涯にわたる読書生活の基礎を作り上げる読書指導: 読書へのアニマシオンの実践を通して. 学校図書館学研究. 2010, 12, p. 91-99.

(12) 足立幸子. スペインにおける「読書へのアニマシオン」の源流と拡大状況. 山形大学紀要(教育科学). 2004, 13(3), p. 195.
http://repo.lib.yamagata-u.ac.jp/handle/123456789/2808, (参照 2011-07-01).

(13) アニマシオンは、自由参加のために参加意思がない子どもへの指導ができない点、本を丸ごと一冊扱うために授業で全員分の本を集められない点など国語科教育の観点からの問題が指摘されている。
足立幸子. 読書指導方法論の探究: Literature Circlesの試み. 全国大学国語教育学会発表要旨集. 2002, 103, p. 102-105.
http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels〈=jp&type=pdf&id=ART0008367566, (参照 2011-07-01).

(14) Raphael, Taffy E. et al. Book Club: A Literature-Based Curriculum. 2nd ed., Lawrence, Small Planet Communications, 2002, 296p.

(15) 有元秀文. 読解力が飛躍的に向上するブッククラブの実践入門: だれでも明日からできる七つのストラテジー. 明治図書, 2010, p. 14.

(16) 有元秀文. “第1章国際的な読書力を育てる日本型ブッククラブの指導法の開発: クリティカル・リーディングに重点を置いて”. 読書教育への招待: 確かな学力と豊かな心を育てるために. 国立教育政策研究所編. 東洋館出版社, 2010, p. 244-254.

(17) 有元秀文. 「PISA型読解力」の弱点を克服する「ブッククラブ」入門. 明治図書, 2010, 143p.

(18) 有元秀文. PISAに対応できる「国際的な読解力」を育てる新しい読書教育の方法: アニマシオンからブッククラブへ. 2009, 144p, (シリーズ学校図書館).

(19) “第42回近畿学校図書館研究大会(滋賀・守山大会)の ご案内”. 全国学校図書館協議会.
http://www.j-sla.or.jp/seminar/42kinki.html, (参照 2011-07-01).

(20) 足立幸子氏は、LCに関する論文を多数発表している。たとえば以下の論文がある。
足立幸子. リテラチャー・サークル: アメリカの小学校のディスカッション・グループによる読書指導方法. 山形大学教育実践研究. 2004, 13, p. 9-18.
足立幸子. 特集, 読書活動と学校: 今、学校での読書を考える: 米国の読書活動. 日本語学. 2005, 24, p. 156-165.

(21) ダニエルズ氏は、LCに関して1994年に初版、2002年には第2版を出版している。
Daniels, Harvey. Literature Circles: Voice and Choice in Book Clubs and Reading Groups. 2nd ed., Portland, Stenhouse Publising, 2002, 260p.

(22) 学校図書館へのLCの導入について触れる記事には以下のようなものがある。
小熊真奈美. リテラチャー・サークルのためのブックトーク. 学図研ニュース. 2010, 294, p. 6-9.
二井依里奈. “図書委員会で読書会をしました”. 田園調布学園ブログ. 2010-06-02.
https://www.int-acc.net/chofu/2010/06/02/, (参照 2011-07-01).
竹村和子. 「一人読み」から読書の交流へ. 学校図書館. 2011, 730, p. 31-33.

(23) 「読んで、書いて、話し合う読書の時間」(足立幸子)でLCが紹介された。その他の手法では「『読書へのアニマシオン』への招待: みんなで同じ本を読むということ」(鈴木淑博)、「読書体験を共有し、発展させる読書会」(長尾幸子)などがある。
全国学校図書館協議会. 特集, 読書へ誘う手法. 学校図書館. 2009, 706, p. 16-52.

(24) “読書会コーディネータ講習会ご案内”. 全国学校図書館協議会.
http://www.j-sla.or.jp/seminar/dokusyokaicoordinator.html, (参照 2011-07-01).

(25) “第2回どくしょ甲子園”. どくしょ応援団.
http://www.asahi.com/shimbun/dokusho/koshien/, (参照 2011-07-01).

(26) 役割は、ハーベイ(Stephanie Harvey)氏が考案した読書の6つの戦略(1)読んだことを何かに結び付ける(2)疑問を持つ(3)目に見えるようにする(4)推論する(5)重要な部分をとらえる(6)統合する、にもとづいて作られている。
足立幸子. リテラチャー・サークル: アメリカの小学校のディスカッション・グループによる読書指導方法. 山形大学教育実践研究. 2004, 13, p. 9-18.
Harvey, Stephanie et al. Strategies That Work: Teaching Comprehension to Enhance Understanding. Portland, Stenhouse Publishers, 2000, 328p.

(27) Daniels, Harvey. Literature Circles: Voice and Choice in Book Clubs and Reading Groups. 2nd ed., Portland, Stenhouse Publising, 2002, p. 23.

(28) Daniels, Harvey. Literature Circles: Voice and Choice in Book Clubs and Reading Groups. 2nd ed., Portland, Stenhouse Publising, 2002, p. 27.

(29) キー・コンピテンシーの3つの広域カテゴリーは、「相互作用的に道具を用いる」「自律的に活動する」「異質な集団で交流する」である。
新潟大学ほか. “知識社会を支える読書力育成の読書指導教員研修プログラムの開発”. 教員研修センター. 2007.
http://www.nctd.go.jp/lecture/model/PDF/kadai/h19_kd3.pdf, (参照 2011-06-06).

(30) カルキンズ, ルーシー. リーディング・ワークショップ: 「読む」ことが好きになる教え方・学び方. 吉田新一郎ほか訳. 新評論, 2010, 244p. (シリーズ・ワークショップで学ぶ, 3).
これは下記カルキンズ氏の著作の一部翻訳である。
Calkins, Lucy. The Art of Teaching Reading. New York, Longman, 2000, 580p.

(31) 小坂敦子. 特集, 本好きを育てる!読書教育最前線: リーディング・ワークショップのいま: 本当の読み手を育てる. 授業づくりネットワーク. 2010, 301, p. 16-18.

(32) カルキンズ, ルーシー. リーディング・ワークショップ: 「読む」ことが好きになる教え方・学び方. 吉田新一郎ほか訳. 新評論, 2010, p. 94. (シリーズ・ワークショップで学ぶ, 3).

(33) ラファエル氏は、集団的な討議での教師の関わりについての5段階「明示的な指導」「モデリング」「足場作り」「ファシリティティング」「参加」を提示している。
Raphael, Taffy E. “Balancing literature and instruction: Lessons from the book club project”. Reading for Meaning: Fostering Comprehension in the Middle Grades. Barbara, M. Taylor et al. New York, Teachers College Press, 2000, p. 70-94.

(34) 有元氏が提唱する日本型BC、ラファエル氏が提唱するBCとも異なる。

(35) カルキンズ, ルーシー. リーディング・ワークショップ: 「読む」ことが好きになる教え方・学び方. 吉田新一郎ほか訳. 新評論, 2010, 244p. (シリーズ・ワークショップで学ぶ, 3).

(36) 第27回学校図書館問題研究会兵庫大会のシンポジウムで、パネリストの郡山市立行健第二小学校司書教諭・小熊真奈美氏の発表で、RWの実践が紹介された。この実践は以下の資料に掲載されている。
郡山市小学校教育研究会 学校図書館教育研究部. 平成22年度 小教研学校図書館教育研究部 研究集録. 2011. 64p.

(37) 野口久美子. 小学校・中学校における読書指導の実践に関する報告記事の分析: 全国学校図書館研究大会を事例として. Library and Information Science. 2009, (62), p. 111-143.

(38) Daniels, Harvey. Literature Circles: Voice and Choice in Book Clubs and Reading Groups. 2nd ed., Portland, Stenhouse Publising, 2002, p. 97.

(39) 米国の学校図書館のガイドラインには、「すでに持っている知識を踏まえて新しい情報を理解する」、「読書の前、途中、後にテキストについて質問する」、「テキストから推論を導く」、「テキストから関連づける」などの、アニマシオン、BC、LC、RWでも求められた読書戦略が提示されている。
アメリカ・スクール・ライブラリアン協会(AASL)編.学校図書館メディアプログラムのためのガイドライン. 全国SLA海外資料委員会訳. 全国学校図書館協議会, 2010, 67p., (学習者のエンパワーメント, 2).
American Association of School Librarians. Empowering Learners: Guidelines for School Library Programs. Chicago, AASL, 2009, 64p.

(40) 読書と情報リテラシーとの乖離の問題、または関連性を指摘する、次のような複数の論考がある。
金沢みどり. 特集, 学習指導と学校図書館: PISA型「読解力」と情報活用能力の育成. 学校図書館. 2007, (680), p. 15-17.
杉本洋. 特集, PISA型読解力の向上を目ざす学校図書館・6: 情報リテラシー教育を通して育成するPISA型「読解力」<1>. 学校図書館, 2008, (695), p. 53-56.
岩崎れい. “4.3 子どもの読書に関する教育学的研究”. 子どもの情報行動に関する調査研究. 国立国会図書館, 2008, p. 72-80. (図書館調査研究レポート, 10).
http://current.ndl.go.jp/files/report/no10/lis_rr_10.pdf, (参照 2011-07-01).
米谷優子. 日本における読書教育と読書推進策: 情報リテラシー教育との関連から. 園田女子学園大学論文集. 2011, (45), p. 19-39.
http://www.sonoda-u.ac.jp/tosyo/ronbunsyu/%E5%9C%92%E7%94%B0%E5%AD%A6%E5%9C%92%E5%A5%B3%E5%AD%90%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E8%AB%96%E6%96%87%E9%9B%8645/45.PDF, (参照 2011-07-01).

(41) Ogle, Donna M. K-W-L : A teaching model that develops active reading of expository text. The Reading Teacher, 1986, 39(6), p. 564-570.

(42) 桑田てるみほか.思考力の鍛え方: 学校図書館とつくる新しい「ことば」の授業. 静岡学術出版, 2010, 241p.

(43) 雑誌『学校図書館』号(2011年8月号)では、読書会に関する特集が組まれた。
全国学校図書館協議会. 特集, 読書をより豊かにする読書会. 学校図書館. 2011, 730, p. 15-45.

(44) 寺田守氏は、LCの根幹は「児童中心主義」であり構成主義的なリテラシーモデルを反映しているとする。
寺田守. 読むという行為を促す小集団討議の条件: 「ブッククラブ」および「リテラチャー・サークル」の検討を中心に. 教育学研究紀要. 2003, 49, p. 495-500.

(45) 山元隆春氏は、ディ(Day)氏のLCに関する著作が読者反応理論や個人的構成、社会的構成の過程に関する議論を踏まえていると指摘した。
山元隆春. リテラチャー・サークル実践に関する一考察: Moving forward with literature circles(2002)の検討を通して. 教育学研究紀要. 2003, (49), p. 501-506.
Day, Jeni P. et al. Moving Forward with Literature Circles: How to Plan, Manage, and Evaluate Literature Circles the Deepen Understand and Foster a Love of Reading. New York, Scholastic, 2002, 176p.

(46) 足立幸子氏は、思考としての読書研究、読者反応・文芸批評、構成主義理論、足場設定理論、バランスのとれた指導などの読書の理論的背景を整理している。
足立幸子. リテラチャー・サークル: アメリカの小学校のディスカッション・グループによる読書指導方法. 山形大学教育実践研究. 2004, (13), p. 9-18.

(47) RW提唱者は読者反応論の影響を受けたとされる。
カルキンズ, ルーシー. リーディング・ワークショップ: 「読む」ことが好きになる教え方・学び方. 吉田新一郎ほか訳. 新評論, 2010, p. 185. (シリーズ・ワークショップで学ぶ, 3).

(48) RW提唱者のカルキンズ氏は、ホール・ランゲージの提唱者であるグッドマン(Kenneth Goodman)氏の著作を多数参照していることから、ホール・ランゲージにも影響を受けたと考えられる。
Calkins, Lucy. The Art of Teaching Reading. New York, Longman, 2000, 580p.

 


桑田てるみ. 学校・学校図書館を取り巻く新しい読書活動-集団的・戦略的読書の視点から-. カレントアウェアネス. 2011, (309), CA1752, p. 9-13.
http://current.ndl.go.jp/ca1752