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カレントアウェアネス
No.301 2009年9月20日
CA1696
動向レビュー
デジタル情報資源の管理・保存にいくらかかるのか?
-ライフサイクルコストを算出する試み“LIFE”
図書館が電子資料やデジタル形式の録音・映像資料を蔵書とし、また図書館の活動の中に所蔵資料のデジタル化やウェブ上の情報の収集・蓄積などを加えるようになってから、短くはない年月が経過した。この時の経過につれて、このようなデジタル情報資源を長期に保存し、また利用に供していくことに関する、紙の資料とは異質の多くの課題が顕在化してきている。たとえば、多くの図書館が所蔵しているであろうレーザーディスク(LD)の場合、再生装置の生産が2009年に終了した(1)。また、かつてのワープロ専用機で作成された文書の場合、今日の標準的なパソコンの環境ではもはや読むことができない、と言った具合に。
このように、デジタル情報資源の長期保存・長期利用保証に関する課題は遠い将来のものではない。またデジタル情報資源がすでに人々の生活に深く浸透していることも考えると、身近で影響範囲の大きな課題でもある。図書館界でも、これらの課題を解決するための技術・制度などの研究が行われるようになってきている(2)が、本稿ではそのような研究のうち、一定の成果を挙げ注目を集めているものとして、デジタル情報資源の保存に関する計画立案を支援すべく、デジタル情報資源の管理・保存に必要なコストを算出するモデルを開発し、実例で検証している英国の“LIFE(Lifecycle Information For E-Literature)”プロジェクトについて紹介したい。
1. LIFE前史
LIFEプロジェクトは、英国情報システム合同委員会(JISC)の助成のもと、英国図書館(BL)とユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の協同プロジェクトとして2005年から行われている。LIFEプロジェクトの要点は、デジタル情報資源が図書館に入ってくるところからその役割を終えるまでの「ライフサイクル」に着目し、デジタル情報資源に対して図書館が行う各作業のコストを算出することにあるが、このようなアプローチにはすでに先行事例がいくつか存在する(CA1520参照)。
その中でも、LIFEプロジェクトが最も参考にしたとしているのが、BLによる(紙の)図書館資料のライフサイクルコスト算出の試みである。BLは1988年にライフサイクルコストの概念を導入し、収集から廃棄に至るまでの、図書館資料のライフサイクルのモデル化を行った(CA689参照)。1994年には、実際に各業務工程のコストを算出した(CA986参照)。そして2003年には、図書館資料の長期保存に必要な業務を視野に入れて下記のとおりモデルを再構築し、2001/2002会計年度の支出を元にコストを算出した(3)。
印刷された単行資料の場合
K(t) = s+a+c+pl+hl+p(t)+cs(t)+r(t)
K(t):期間tにかかるライフサイクルコストの合計
s: 選書のコスト
a: 購入費用を除いた収集業務処理のコスト
c: 目録作成のコスト
pl: 保存箱、製本など、保存に関する初期コスト
hl: ラベルの付与や排架など、資料を書庫で取り扱う最初の段階でかかるコスト
p(t):期間tにかかる、修復などの保存のコスト
cs(t):期間tにかかる、書庫・所蔵のコスト
r(t):期間tにかかる、資料の出納のコスト
この算出の結果、資料の購入費用を除いた単行資料1点あたりのライフサイクルコストは、資料を1年間保存する場合には50.46ユーロ、10年間保存する場合には76.47ユーロ、100年間保存する場合には197.48ユーロとなった(ユーロへの換算は2002年時点での為替レートによる)。ここから、100年間保存する場合には、最初の1年間に発生するコストのおよそ3倍のコストが、残りの99年間合計で発生するという計算になることなどが明らかにされた。
2. LIFE1プロジェクト(2005~2006)
このような先行事例とLIFEプロジェクトとの大きな相違点は、LIFEプロジェクトではコストを算出するモデルを構築するだけにとどまらず、コストを容易に算出できるような標準的ツールを開発し、複数の事例に実際に適用して算出する「ケーススタディ」を行って、その有効性を検証していることにある。
2006年4月までの1年間で実施されたLIFEプロジェクト第1フェーズ“LIFE1”は、上述のBLの試みや、建築、廃棄物処理など異業種のものも含むライフサイクルコスト算出の先行事例と、デジタル情報資源の保存にかかるコストを試算する先行研究(CA1520参照)を、包括的にレビューすることから始まった。このレビューの結果、デジタル情報資源の管理にかかる業務プロセスは紙の図書館資料のものと相当程度類似していること、ほとんどのデジタル情報資源コレクションが図書館内に保存されると考えられることから、LIFEプロジェクトは上述のBLのモデルを基盤として、内容や種別に依存しない形で、デジタル情報資源のライフサイクルモデル(バージョン1)を構築した(4)。
ライフサイクルモデル バージョン1
LT=Aq+IT+MT+AcT+ST+PT
LT:期間T全体にかかるライフサイクルコスト
Aq: 収集にかかるコスト
IT: 期間Tにおける、受入にかかるコスト
MT: 期間Tにおける、メタデータにかかるコスト
AcT: 期間Tにおける、アクセスにかかるコスト
ST: 期間Tにおける、蓄積にかかるコスト
PT: 期間Tにおける、保存にかかるコスト
このライフサイクルモデルでは、発生する各業務を要素(element)と呼び、それらのうち、典型的に同時期に発生・再発生するものを高次でグループ化したものをステージ(stage)と呼ぶ。上記の計算式に現れている収集、受入などがステージであり、計算式は各ステージで発生するコストを加算する形になっているが、実際のコスト算出は要素のレベルで行われる。各ステージとそれに属する要素を図示したのが表1である(5)。最も上の行がステージであり、各ステージの列に要素が並んでいる。
表1 ライフサイクルモデル バージョン1におけるステージと要素
出典:(5)(日本語訳は筆者)
収集ステージには、資料の選択、蓄積・保存・アクセスにかかる知的財産権やライセンスなどの処理、発注・会計処理、入手、検収といった要素が含まれる。
受入ステージには、収集したデジタル情報資源が十分な品質を有するか、ウィルスに感染していないかといった品質確認、蓄積・保存用のリポジトリへの登録(デポジット)、目録やウェブサイトに含まれている所蔵情報の更新、の各要素が含まれる。
メタデータステージは、当該のデジタル情報資源の特性を分析しメタデータを抽出する特性解析作業(characterisation)、記述用メタデータ、管理用メタデータを付与する作業から構成されている。なお、保存用のメタデータの付与や更新は、保存ステージに含まれている。
アクセスステージでは、デジタル情報資源を参照するリンクの維持管理、利用者からの問い合わせなどに対応するユーザサポート、デジタル情報資源へのアクセスを提供する仕組みにかかるコストが含まれる。
蓄積ステージは、デジタル形式の情報をそのまま蓄積する「ビットストリームの保存」(bit-stream preservation)のためのシステムや装置(ハードディスクなど)にかかるコストからなる。
保存ステージは、旧式化(obsolescence)したデジタル情報資源を再生できるようにするための業務からなる。保存処置が必要か否かを記録フォーマットごとに監視する技術監視(technology watch)、実際に保存処置が必要となった場合に必要となるツールのコスト、保存処置そのものと、保存処置に伴うメタデータの更新、保存処置により生成された新しいデジタル情報資源の品質確認の各要素が含まれる。なお、ここで言う「保存処置」には、一括して最適な形式に変換するマイグレーション(migration)、旧式の記録フォーマットを再生できる環境を擬似的に再現するエミュレーション(emulation)、リクエストに応じて個別に実施するマイグレーション(migration on request)の3つが想定されているが、コレクションの点数に比例してコストが発生する一括マイグレーションを特に意識して、コスト試算モデル(後述)を作成している。なお、LIFEプロジェクトでは一括マイグレーションを正規化(normalisation)とも呼んでいる。
LIFE1ではこのモデルに従い、ケーススタディとして、(a)BLに自発的に寄贈された電子出版物(パッケージ系およびネットワーク系)のコレクション(VDEP)、(b)英国ウェブアーカイビングコンソーシアム(UKWAC)の一部としてBLが実施したウェブアーカイビングのコレクション、(c)UCLが契約した電子ジャーナル、の3種類のコレクションについて、保存期間が1年間、5年間、10年間の3パターンのコストを算出した(6)(7)。基本的には、ライフサイクルモデルの要素ごとに、設備費、構築費、人件費などを計算・記録していくことで、ライフサイクルコストを算出したが、保存ステージの各要素(業務)についてはいずれのコレクションでも実施していなかったため、コレクションの特徴から保存にかかるコストを試算するための包括的保存モデル(Generic Preservation Model:GPM)を構築して試算した(8)。このGPMでは、記録フォーマットごとに定めた「複雑さ」の係数、記録フォーマットごとのコンテンツ数、一括マイグレーションを行って対応すべきコンテンツの比率などを用いて計算するようになっており、複雑な記録フォーマットのファイルが多いほど、また一括マイグレーションしなければならないコンテンツが多いほど、保存ステージのコストは高くなる。たとえばMicrosoft WordフォーマットやPDFフォーマットなどの文書用フォーマットは、プレーンテキストファイルの8倍の係数が掛けられることになっている。こうして算出されたライフサイクルコストの概要を、LIFE1最終報告書に基づいて筆者が表にしたのが表2である。なお最終報告書では、各コレクションについて、要素ごとにどのような方法でコストを算出(保存ステージについては試算)したのかが詳述されている(6)。
表2 LIFE1でのケーススタディの結果概要
出典:(6)を元に筆者が作成。
このケーススタディの結果、VDEPの場合はメタデータと蓄積、ウェブアーカイブでは保存、電子ジャーナルでは収集と、コストが高いステージが異なっていた。またBLではVDEPを利用に供していない、電子ジャーナルの場合はUCL内のシステムに受け入れたりそこで蓄積、保存したりするわけではない、といった理由により、コレクションによってはコストがゼロとなったステージもあった。このように、コレクションの特性が異なっていても、コストの算出を行うことができたということで、LIFEプロジェクトではLIFE1により、ライフサイクルモデルを用いたコスト算出アプローチの実用性・有効性が明らかになったとしている。また、どのような課題があるかも抽出できたとしており、とりわけ受入、メタデータの両ステージについては、デジタル情報資源の保存に適したツールの開発により、コストを大きく削減できることが示唆された。
3. LIFE2プロジェクト(2007~2008)
LIFE1の後、デジタル情報資源のライフサイクルについて、より正確に評価、コスト算出、比較を行えるようにする必要がある、と考えたLIFEプロジェクトチームは、さらなる助成を得て2007年から18か月間、プロジェクト第2フェーズ“LIFE2”を実施した。ここでは、LIFE1のライフサイクルモデルの経済的妥当性の検証、(LIFE1で扱ったコレクションがいずれも最初からデジタル形式で作成された「ボーン・デジタル」のものであったことから)ボーン・デジタルでないデジタル情報資源も対象としたケーススタディに基づくライフサイクルモデルのさらなる開発、ライフサイクルモデルをアナログ(=紙の)資料にも適用してデジタル情報資源のライフサイクルコストと比較すること、といった目標が掲げられた。
LIFE2ではまず、LIFE1のライフサイクルコスト算出モデルについて、経済学者による独立評価、LIFEプロジェクトチームによる独立評価を行うとともに、王立図書館などが参加しているデンマークのコンソーシアムや英国内の高等教育機関といった、デジタル保存に関連するコミュニティからのフィードバックも募集した。このうち経済学者による独立評価では、このモデルがおおむね有効であるとされた一方で、アナログ資料にも適用できるよう拡張すべきであること、インフレの影響を考慮した実質費用で計算すべきであること、値引きを考慮すべきではないこと、といった多くの有益な勧告が得られたという(9)。
これらの勧告や意見に基づいて、LIFEプロジェクトチームはライフサイクルモデルの改訂版バージョン1.1を作成した(10)。あわせて、GPMも試算方法を見直してバージョン1.1とした(11)。そして、これらのモデルに基づいて、(i)UCL、BLも参加している英国の機関リポジトリ推進プログラムSHERPA(Securing a Hybrid Environment for Research, Preservation and Access)のプロジェクトのひとつで、協同保存リポジトリの構築をめざす“SHERPA-DP”、(ii)UCLをはじめロンドン大学を構成する13大学によるリポジトリ連合SHERPA-LEAP内の3つの機関リポジトリ、(iii)BLが1918年に購入した17~18世紀の新聞コレクションをデジタル化した“Burney Digital Collection”および納本制度に基づいて収集した(紙の)新聞コレクション、の3つのコレクション(群)のライフサイクルコストを算出するケーススタディを実施した(12)。それぞれ、デジタル情報資源の保存を外部に委託して実施する場合のコストを算出し自館で実施する場合と比較可能とすること、機関リポジトリが普及してきていること、ライフサイクルコストの観点からアナログ資料とデジタル情報資源とを比較可能とすること、を目的として、ケーススタディの対象として選定された。このケーススタディの結果の概要を、LIFE2最終報告書、計算シートなどに基づいて筆者が表にしたのが表3である。
表3 LIFE2でのケーススタディの結果概要
出典:(12)を元に筆者が作成。
LIFE1のケーススタディとの大きな違いとしては、対象の各機関やプロジェクトがライフサイクルを的確に把握し、ライフサイクルコストを容易に算出できるようにするための表計算シートを作成したことと、GPMではなく、各機関が実際に行っている保存活動をもとに保存ステージのコストを算出したことが挙げられる。各機関とも保存に関する活動はさほど行っていないため、LIFE1に比べ全般的に保存に関するコストが低くなっている。とりわけSHERPA-LEAP内のUCLの機関リポジトリの場合、SHERPA-DPに保存活動をゆだねる格好となっているため、保存ステージのコストはゼロとなっている。なお、BLが納本制度で収集した紙の新聞については、マイクロフィルム化にかかるコストなどを、保存処理のコストとして算定している。
LIFEプロジェクトチームはこれらのケーススタディの結果を受け、さらにライフサイクルモデルを改訂しバージョン2を作成した(13)。
ライフサイクルモデル バージョン2
LT=C+AqT+IT+ BPT+CPT+AcT
LT:期間T全体にかかるライフサイクルコスト
C: 製作または購入にかかるコスト
AqT:期間Tにおける、収集にかかるコスト
IT: 期間Tにおける、受入にかかるコスト
BPT:期間Tにおける、ビットストリームの保存にかかるコスト
CPT:期間Tにおける、内容の保存にかかるコスト
AcT: 期間Tにおける、アクセスにかかるコスト
表4 ライフサイクルモデル バージョン2におけるステージと要素
出典:(13) p.32(日本語訳は筆者)
バージョン1と比べると、ステージのレベルでも大きな変更が行われていることがわかる。
まず、「製作または購入」が新しいステージとして加わった。これは、コスト算出においては任意のステージと位置づけられており、組織内で紙からデジタル化して保存する場合にはその製作費を算出するなど、必要に応じて適用するとされている。
収集ステージには、デジタル情報資源を提出してくれる供給者との間で発生する、記録フォーマット、提出方法や頻度などに関する合意形成のプロセスが新たに加わった。また知的財産権処理とライセンス処理が統合された。
受入ステージには、バージョン1およびバージョン1.1では独立したステージとなっていたメタデータ(作成)ステージが1要素として加わった。またアクセスステージからも、参照リンクの維持管理が加わった。
バージョン1で蓄積ステージと呼ばれていたものは、ビットストリームの保存ステージへと名称が変わり、その要素が、リポジトリの管理・運営、蓄積に必要な機器の購入や管理、機器の更新に伴うデータ移行、バックアップ、データの真正性の検査の5つへと分割・詳細化された。
同様に保存ステージも、内容の保存ステージと名称が改められ、どのような保存処置を取るかを決定する保存計画、保存処置後の再受入、デジタル情報資源の廃棄が加わるなど、明確化された。この両ステージの名称変更は、「保存」という語が多義的に用いられることが多いことを考慮して、デジタル形式の情報をそのまま保存するビットストリーム保存、必要に応じて形式を変換するなどして内容を再生できるようにする内容保存と、その違いを明確にするために行われた。
また、保存の問題を解決して初めてアクセスが可能になることの象徴として、アクセスステージがライフサイクルの最後に置かれるようになった。ここには新たにアクセス管理が要素として加わった。
このほか、各要素を構成するより小さな作業単位として、下位要素(sub-element)が規定された。
LIFEプロジェクトチームではLIFE2により、デジタル情報資源のライフサイクルモデル、コスト算出方法の経済的妥当性が認められるとともに、方法論をより洗練させることができたと評価している(14)。また、LIFEプロジェクトについて、デジタル保存コミュニティや英国の高等教育機関に広く知ってもらえたことも成果として挙げている。ケーススタディからは、協同保存リポジトリのような外部サービスを利用することの有効性、ライフサイクルモデルのアナログ(紙)資料への適用可能性が明らかになったとしている。このうちの後者は、アナログとデジタルのライフサイクルコストの比較の道を開くものである。このほか、SHERPA-LEAPの3つの機関リポジトリのコストの差について、リポジトリの成熟度、スタッフの習熟度、収録されているコンテンツの多様性などによるものだと分析している。
ただし一方で、このようなコスト算出の試みはまだ生まれたばかりであり、今回の算出結果も真に正確なものではないとして、より正確なものにするためにはより多くの「コストに関する生のデータ」が必要であると、今後の取り組みの必要性も強調している。
4. LIFE3、そしてこれから
LIFEプロジェクトは2009年8月から、JISCおよび英国研究情報ネットワーク(RIN)の助成を受けて、第3フェーズ“LIFE3”を開始すると発表している。このLIFE3では、既に資産としているデジタル情報資源、新たに資産とするデジタル情報資源の両方のライフサイクルコストを統合的に算出できるようなツールの開発が目標とされている。そしてこのツールは、コレクションの特性や保存を行う組織の特性を入力することでコストが算出されてくるような簡便なものとし、研究者や図書館などが、保存計画を立案するのにつながるものとすることが目指されている。そして、有効なツールを開発するために、各機関に対し、デジタル情報資源に関する業務のコストを記録し、その記録をデジタル保存コミュニティが広く共有できるようにと協力を呼びかけている。
デジタル情報資源の長期保存、長期利用保証が図書館の課題としても認識されつつある現在、本稿で紹介したLIFEプロジェクトの成果、さらにはエビデンス(CA1625参照)を積み重ねてライフサイクルモデルやコスト算出方法をさらに洗練していくというプロジェクトの方法論は、日本の図書館にとっても大いに参考になろう(15)(16)。
関西館電子図書館課:村上浩介(むらかみ こうすけ)
(1) “レーザーディスクプレーヤー生産終了のお知らせ”. パイオニア.
http://pioneer.jp/press/2009/0114-1.html, (参照 2009-08-27).
(2) たとえば、電子ジャーナルのアーカイビングに関するさまざまな取り組み(CA1597、CA1645参照)、リスク評価に基づくデジタルリポジトリ監査法“DRAMBORA”(CA1681参照)などがよく知られている。このようなデジタル情報資源の保存に関する研究・取り組みの最新動向は、デジタルオブジェクトの保存に関する国際会議“iPRES”などで知ることができる。
“iPRES 2009”. California Digital Library.
http://www.cdlib.org/iPres/, (accessed 2009-08-27).
なお国立国会図書館も、電子情報の長期的な保存と利用に関する調査を2002年度から行っている。
“電子情報の長期的な保存と利用”. 国立国会図書館.
http://www.ndl.go.jp/jp/aboutus/preservation.html, (参照 2009-08-27).
(3) Shenton, Helen. Life Cycle Collection Management. LIBER Quarterly. 2003, 13(3/4), p. 254-272.
http://liber.library.uu.nl/publish/articles/000033/article.pdf, (accessed 2009-08-27).
なおBLの資料保存部門の長としてこの論文を執筆したシェントン(Helen Shenton)は、同職のままLIFEプロジェクトチームのメンバーとなっている。
(4) “The chosen methodology: a lifecycle approach”. Lifecycle information for e-literature: full report from the LIFE project. LIFE Project, 2006, p. 9-16.
http://eprints.ucl.ac.uk/1854/, (accessed 2009-08-27).
(5) “The lifecycle methodology”. Lifecycle information for e-literature: a summary from the LIFE project. LIFE Project, 2006, [p. 4].
http://eprints.ucl.ac.uk/1855/, (accessed 2009-08-27).
(6) Lifecycle information for e-literature: full report from the LIFE project. LIFE Project, 2006, p. 17-89.
http://eprints.ucl.ac.uk/1854/, (accessed 2009-08-27).
なお、このLIFE1の最終報告書には、数値や表のキャプションなどの誤記が各所に存在するので注意が必要である。
(7) ちなみにBLのウェブアーカイブについては、20年間のライフサイクルコスト(1サイトあたり13,731ポンド)も算出している。
(8) “The Generic LIFE Preservation Model”. Lifecycle information for e-literature: full report from the LIFE project. LIFE Project, 2006, p. 90-107.
http://eprints.ucl.ac.uk/1854/, (accessed 2009-08-27).
(9) “An Economic Review of LIFE”. The LIFE2 final project report. LIFE Project, 2008, p. 14-15.
http://eprints.ucl.ac.uk/11758/, (accessed 2009-08-27).
(10) “From LIFE Model v1 to v1.1”. The LIFE2 final project report. LIFE Project, 2008, p. 30-31.
http://eprints.ucl.ac.uk/11758/, (accessed 2009-08-27).
(11) “Generic Preservation Model v1.1”. The LIFE2 final project report. LIFE Project, 2008, p. 34-36.
http://eprints.ucl.ac.uk/11758/, (accessed 2009-08-27).
ただし、LIFE2のケーススタディでは(GPMを使わずに)「内容の保存」ステージにかかった実際の費用を算出しているため、GPMの新しいモデルの検証は、LIFE1のケーススタディに再度適用することで行われている。
(12) The LIFE2 final project report. LIFE Project, 2008, p. 38-99.
http://eprints.ucl.ac.uk/11758/, (accessed 2009-08-27).
このLIFE2の最終報告書にも、誤記が各所に存在するので注意が必要である。数値については、各ケーススタディで作成された表計算シートをもとに確認した。
“LIFE2: Documentation”. LIFE Project.
http://www.life.ac.uk/2/documentation.shtml, (accessed 2009-08-27).
(13) “LIFE Model v2”. The LIFE2 final project report. LIFE Project, 2008, p. 17-33.
http://eprints.ucl.ac.uk/11758/, (accessed 2009-08-27).
ただしバージョン1からの修正の大半は、バージョン1.1でなされている。
(14) “Findings and Conclusions”. The LIFE2 final project report. LIFE Project, 2008, p. 100-115.
http://eprints.ucl.ac.uk/11758/, (accessed 2009-08-27).
(15) このLIFEプロジェクトのほかにも、米国国立航空宇宙局(NASA)による学術データのライフサイクルコスト算出ツール“CET”構築の試みや、オランダ王立図書館によるe-Depot(CA1597、CA1645参照)のコスト算出の試み、ビーグリー(Neil Beagrie)らによる研究データの長期保存にかかるコスト算出の試みなど、類似の試みが各所で行われている。
“Cost estimation toolkit and comparables database”. NASA.
http://opensource.gsfc.nasa.gov/projects/CET/CET.php, (accessed 2009-08-27).
“Long-term preservation of scientific publications in practice: The KB e-Depot”. Curating Research: e-Merging New Roles and Responsibilities in the European Landscape. Hague, 2009-04-17, Koninklijke Bibliotheek. 2009.
http://www.kb.nl/hrd/congressen/curatingresearch2009/presentations/beagrie-ras.pdf, (accessed 2009-08-27).
Beagrie, Neil et al. Keeping Research Data Safe. JISC, 2008, 167p.
http://www.jisc.ac.uk/publications/documents/keepingresearchdatasafe.aspx, (accessed 2009-08-27).
(16) なお長期保存・長期利用保証だけを視野に入れたものではないが、日本でも佐藤義則が、LIFEプロジェクトやビーグリーらの研究を背景に、学術機関リポジトリのコスト分析を試みている。
佐藤義則. “機関リポジトリのコスト分析”. 平成20年度CSI委託事業報告交流会(コンテンツ系). 東京, 2009-07-09/10, 国立情報学研究所. 2009.
http://www.nii.ac.jp/irp/event/2009/debrief/pdf/4-5_CostStudy2008.pdf, (accessed 2009-08-27).
Ref.
“LIFE: Life Cycle Information for E-Literature”. LIFE Project.
http://www.life.ac.uk/, (accessed 2009-08-27).
Wheatley, Paul. “Costing the Digital Preservation Lifecycle More Effectively”. Proceedings of The Fifth International Conference on Preservation of Digital Objects. London, 2008-09-29/30, British Library. 2008, p. 122-126.
http://www.bl.uk/ipres2008/ipres2008-proceedings.pdf, (accessed 2009-08-27).
Ayris, Paul. LIBER’s Involvement in Supporting Digital Preservation in Member Libraries. LIBER Quarterly. 2009, 19(1), p. 22-43.
http://liber.library.uu.nl/publish/articles/000275/article.pdf, (accessed 2009-08-27).
村上浩介. デジタル情報資源の管理・保存にいくらかかるのか?-ライフサイクルコストを算出する試み“LIFE”. カレントアウェアネス. 2009, (301), CA1696, p. 20-26.
http://current.ndl.go.jp/ca1696