欧州委員会(EC)、オープンソースのソフトウェア・ハードウェアが欧州経済にもたらす影響を調査した報告書を公開

2021年9月6日、欧州委員会(EC)は、オープンソースのソフトウェア・ハードウェアが欧州経済にもたらす影響を調査した報告書“The impact of Open Source Software and Hardware on technological independence, competitiveness and innovation in the EU economy”の公開を発表しました。

同報告書では、欧州連合(EU)に所在する企業が2018年にオープンソースソフトウェア(OSS)に投資した金額は約10億ユーロであり、欧州経済に650億ユーロから950億ユーロのプラスの影響をもたらしたと推定しています。また、OSSのコードへの貢献度が10%増加すると、年間で0.4%から0.6%のGDPが追加で創出され、EU内の情報通信技術(ICT)分野のスタートアップ企業も600社以上増加すると予測しています。

欧州および世界における既存の公共政策措置の分析も行っており、欧州におけるOSS関連の制度的能力(institutional capacity)が、OSSより生み出される価値と比べ不釣り合いに小さいことを指摘しています。その上で、公共政策に関する提言を複数行っています。

発表によれば、長期的には、今回の研究成果がEUの産業に関するソフトウェア・ハードウェア政策の策定において利用される可能性があると述べています。

Commission publishes study on the impact of Open Source on the European economy(EC, 2021/9/6)
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/news/commission-publishes-study-impact-open-source-european-economy

Study about the impact of open source software and hardware on technological independence, competitiveness and innovation in the EU economy(EC, 2021/9/6)
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/library/study-about-impact-open-source-software-and-hardware-technological-independence-competitiveness-and
※報告書のダウンロード用リンクが掲載されています。

参考:
欧州委員会(EC)、「オープンソースソフトウェア戦略 2020-2023」を承認
Posted 2020年10月29日
https://current.ndl.go.jp/node/42389