世界規模で展開された社会格差是正のための抗議活動“Occupy Movement”の歩みを保存するケース・ウェスタン・リザーブ大学(米国)の“Occupy Archive”(記事紹介)

米・オハイオ州のケース・ウェスタン・リザーブ大学(Case Western Reserve University)が発行するオンライン大学新聞“The Daily”に、2020年8月5日付で、同大学が2020年夏に開設したオープンソースのデジタルアーカイブ“Occupy Archive”を紹介する記事が掲載されています。

“Occupy Archive”は、2009年の世界的な金融危機、及びそれに続く大規模金融機関への救済措置等を背景に2010年頃から展開された、所得格差の是正や社会変革を求める抗議活動“Occupy Movement”の歩みを保存するデジタルアーカイブです。“Occupy Movement”は、街頭抗議デモとオンライン上のアドヴォカシー活動が結びついた最初期の事例として、現在の様々な社会運動に影響を与えています。活動から約10年が経過したことを踏まえて、その歩みへオンライン上で無料でアクセス可能なアーカイブとして“Occupy Archive”が立ち上げられました。

“Occupy Archive”の構築は、同大学ケルビン・スミス図書館のデジタルスカラシップ・フリードマンセンターの助成の下、“Occupy Movement”の研究者が中心になって進めました。1,200ページ以上に相当する文書が保存されており、400点以上のデジタル化資料へアクセス可能となっています。同大学所属の“Occupy Movement”に関する研究者ハーウィッツ(Heather McKee Hurwitz)講師の収集した、ニューヨーク市における「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」活動に関連する主催者・参加者へのインタビュー、文書、サイン、アート、エフェメラ資料等が保存されています。

“Occupy Archive”に保存された数百点の資料のデジタルスキャンや検索に利用可能なタグを付与したシステム構築、利用者向けの研修ツール・リサーチガイドの設計は、ハーウィッツ講師の指揮の下、同大学ケルビン・スミス図書館の図書館員や同大学の学生が構成するチームによって進められました。非営利団体Center for Open Science(COS)の研究プロジェクト管理システム“Open Science Framework”(OSF)のプラットフォーム上で、自由に利用することができます。

A decade after the Occupy Movement, a new digital archive chronicles its history—and continuing influence(The Daily,2020/8/5)
https://thedaily.case.edu/a-decade-after-the-occupy-movement-a-new-digital-archive-chronicles-its-history-and-continuing-influence/

Occupy Archive(OSF)
https://doi.org/10.17605/OSF.IO/6V9ZF

参考:
E1243 – 格差社会に抗議するオキュパイ運動の中の「図書館」
カレントアウェアネス-E No.206 2011.12.08
https://current.ndl.go.jp/e1243

米国ジョージメイソン大学、Occupy Wall Street等に関するデジタルアーカイブ“Occupy Archive”を開始
Posted 2011年11月2日
https://current.ndl.go.jp/node/19433

米エモリー大図書館による“Occupy Wall Street”に関するツイートアーカイブプロジェクト
Posted 2012年9月24日
https://current.ndl.go.jp/node/21891