英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)、感染症の影響下で学生・研究者に安定して電子コンテンツを供給するための出版社等への要望を示した声明を公開

英国研究図書館コンソーシアム(RLUK)は、2020年8月11日付で、英国及び世界中の高等教育機関が新型コロナウイルス感染症の深刻な影響を受ける中で出版社等に求める要望として、図書館が学生・研究者に安定して電子コンテンツを供給するための要件を示した声明“RLUK Content Statement”を公開しました。

RLUKは新型コロナウイルス感染症が高等教育機関に与えた影響により、多くの図書館が次年度予算の大幅削減を余儀なくされ、既存の購読契約の解約や新規コンテンツ契約の凍結を検討しており、今後数年間はコンテンツな合理的な価格と教育・研究のために必要なリソースへのアクセス確保が図書館の中心的な検討課題であることを声明の背景に挙げています。声明は出版社等に対して、研究図書館が直面する財政的な困難を認識し、学術情報流通に関わるシステムをよりオープンにし、持続可能性と透明性を向上させるため協力を求める内容です。

RLUKの声明は、「データベース・雑誌の購読」、「電子書籍・デジタル教科書」、「リソースへのアクセス」の3つのテーマについて、出版社等のコンテンツ提供者に要望を示しています。「データベース・雑誌の購読」については、年間購読料を凍結ではなく削減すること、ビッグディールのような大型パッケージ契約ではなく柔軟なコンテンツ選択を可能にすること、契約更新の意思表示に関する期限は30日前までとすることなどを要望しています。「電子書籍・デジタル教科書」については、寡占状態にある教科書市場に関して価格や契約モデルの透明性・持続可能性を向上させること、冊子体を購入済の場合には同一タイトルの電子版購入に大幅な割引を適用すること、現在流通しているもの及び今後刊行する書籍や教科書は全て電子版を販売することなどを要望しています。「リソースへのアクセス」については、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うコンテンツの一時的な開放を2021年中も延長するように検討すること、リモートアクセスに関わる制限を撤廃することなどを要望しています。

RLUK issues Content Statement in support of libraries reviewing new and renewed content purchasing(RLUK,2020/8/11)
https://www.rluk.ac.uk/rluk-content-statement/

参考:
国際図書館コンソーシアム連合(ICOLC)、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大と図書館サービス・図書館資料への影響に関する声明を発表
Posted 2020年3月18日
https://current.ndl.go.jp/node/40538

英国内の複数の図書館・高等教育関係組織が連名により新型コロナウイルス拡大危機の中での教育研究活動維持のため出版社等へ求める行動を示した共同声明を発表
Posted 2020年3月23日
https://current.ndl.go.jp/node/40563

英・Jiscと英国大学協会(UUK)、主要学術出版社に対して新型コロナウイルス感染症により各機関が直面する財政危機を考慮して全ての契約料金の25%削減を要請
Posted 2020年6月19日
https://current.ndl.go.jp/node/41275