米国国立医学図書館(NLM)、米国国立衛生研究所(NIH)助成研究の成果物にあたるプレプリントのPubMed Central上での利用について実現可能性を検証する試行プロジェクトを開始

2020年6月1日、米国国立医学図書館(NLM)傘下の米・国立生物工学情報センター(NCBI)は、NLMが米国国立衛生研究所(NIH)助成研究の成果物にあたるプレプリントのPubMed Central(PMC)上での利用について、その実現可能性を検証する試行プロジェクト“NIH Preprint Pilot”の開始準備を進めていることを発表しました。

“NIH Preprint Pilot”は、NIHの助成を受けた早期の研究成果物について、その発見可能性を高める方法の調査を主たる目標として取り組まれます。プレプリントのような中間的研究成果物の活用を推進するNIHの方針に基づき、NLMはこのプロジェクトが、NIH助成研究の発見可能性とアクセスのさらなる加速に向けた情報提供や、NIH助成研究のオープンアクセス(OA)による迅速な普及支援として機能することを意図しています。

試行プロジェクト当初は、新型コロナウイルス感染症に関するNIH助成研究のプレプリントを対象に取り組まれます。この第1段階においてワークフローの合理化や実施の詳細な手順等を改善しつつ対象範囲となるプレプリントを拡大し、2020年夏に研究者が助成研究によって得られたプレプリントをより簡単に報告できるように、プレプリント文献をMy NCBIアカウント内の文献リスト“My Bibliography”へ追加するプロセスを簡素化する予定です。

試行プロジェクトは2020年6月8日週に開始され、最低でも12か月間実施されます。プロジェクトを通して得られた課題は、プレプリントを利用した今後のNLMの取り組みで活用される予定です。

NIH Preprint Pilot in PubMed Central(NCBI Insights,2020/6/1)
https://ncbiinsights.ncbi.nlm.nih.gov/2020/06/01/nih-preprint-pilot-pmc/

参考:
米・国立生物工学情報センター(NCBI)、新型コロナウイルスに関する最新学術文献をキュレーションした情報ハブとして“LitCovid”を公開
Posted 2020年3月17日
https://current.ndl.go.jp/node/40522

SciELO、プレプリントサーバー“SciELO Preprints”の運用を開始:特に新型コロナウイルス感染症に関する研究成果物の共有を奨励
Posted 2020年4月8日
https://current.ndl.go.jp/node/40733

プレプリントがもたらす利益と危険:米・スタンフォード大の研究者らの見解(記事紹介)
Posted 2020年4月15日
https://current.ndl.go.jp/node/40775

感染症拡大下でのプレプリントサーバによるスクリーニング(記事紹介)
Posted 2020年5月15日
https://current.ndl.go.jp/node/40957