無料ホスティングサービスによってホームページを提供していた公共図書館が落ちた「落とし穴」

アイルランドのダブリン市公共図書館は、2007年に無料のソーシャル・パーソナライズド・ホームページサービス“Pageflakes”を利用して、Web 2.0サービスをあちこちに埋め込んだ図書館ウェブサイトを構築しました。これはよく、Library 2.0の事例として紹介されているのですが、2008年11月、同館は館内のPCからホームページを利用できなくなるという「落とし穴」に落ちてしまいました。この顛末について、ALA Techsourceが同館担当者へのインタビュー記事を掲載しています。

Pageflakesは、複数のモジュール(カレンダー、Flickr、ブログ、等々)を画面に取り込むことができるのが特徴です。2007年時点で同館は、他の同種のサービス“Netvibes”と比較した結果、共有機能に優れていたPageflakesを採用しました。Pageflakesの場合は、一画面上に多くのモジュールを表示すると速度が遅くなるという欠陥がありましたが、タブを複数用意するなどの工夫でこれをしのいできました。同館が各種のWeb 2.0サービスを活用して作ったホームページは利用者にも好評だったのですが、2008年11月、Pageflakesサービスをホスティングしているプロバイダー側が、同館の契約しているプロバイダーからのアクセスを制限する事態が生じたため、館内からホームページが利用できなくなるという事態が1週間以上発生してしまったそうです。ホスティングサービスを利用していたために起きた、同館側では対応できない障害が発生してしまったわけです。

同館はこの状況に陥った直後からPageflakesに繰り返し問い合わせましたが、なかなか返答が来ないということで、この時点では共有機能に対応していたNetvibesを使って大急ぎで同内容のウェブサイトを構築し、暫定的にサービスを行いました。そしてPageflakes版が安定して動作するようになった後、改めて両者を比較して、表示速度が速いNetvibes版を公式ホームページ、Pageflakes版をバックアップ用ホームページにするという決断を下したそうです。同館担当者は、バックアップ計画の立案と、いざというときにそれを速やかに実行できることが重要だと教訓を語っています。

Dublin City Public Libraries(Netvibes版)
http://www.netvibes.com/dublincitypubliclibraries

Dublin City Public Libraries(Pageflakes版)
http://www.pageflakes.com/dublincitypubliclibraries

Planning & Pitfalls: Using Pageflakes for a Public Library Portal | ALA TechSource
http://www.alatechsource.org/blog/2008/11/planning-pitfalls-using-pageflakes-for-a-public-library-portal.html

参考:
CA1624 – 次世代の図書館サービス?―Library 2.0とは何か / 村上浩介
http://current.ndl.go.jp/ca1624