カレントアウェアネス-E
No.105 2007.04.25
E640
FRARからFRADへ: 「典拠データの機能要件」意見公募中
国際図書館連盟(IFLA)は2007年4月11日,「典拠データの機能要件(Functional Requirements for Authority Data: FRAD):概念モデル」の草案を発表し,同時に7月15日までの約3か月間の意見募集を開始した。このFRADの目的は,典拠コントロールを支えるため,また典拠データの国際共有(図書館外部との共有も含む)を行うため,典拠データの要件の分析枠組みを作ることにある。
このFRADは,これまでは「典拠レコードの機能要件(FRAR)」と呼ばれていた(E363参照)。2005年7月に発表されたFRAR草案に対し行われた意見募集では,12個人・13機関から意見が寄せられたが,FRARの概念モデルの対象が典拠「データ」であるのか,それとも典拠「レコード」であるのか,相当の混同が見られたという。モデルを作成し概念化する対象はあくまでも典拠データであり,図書館界で用いられている典拠レコードは,典拠データをひとまとめにし具現化したものである。このような関係をより明確に表すために,タイトルを「典拠データの機能要件」に変更したのである。
また,FRAR草案に対し「このようなデータモデル化にはなじみが無く,もっと明確に説明してもらわないとわかりづらい」という意見が続出したということで,FRAD草案では説明文を変えたり,新しい図式も用意した。特に,FRAR草案に比べ,実体-関連図(Entity-Relationship Diagram: E-R図)の説明にページ数を割いている。
このFRAD草案は意見募集の後,寄せられた意見を検討して最終案を作成し,常任委員会に諮られた後,IFLAから正式に刊行されることになっている。
Ref:
http://www.ifla.org/VII/d4/wg-franar.htm
http://www.frbr.org/2007/04/12/frad-draft-2-available-for-review
http://ci.nii.ac.jp/naid/110004668715/
E363