カレントアウェアネス-E
No.100 2007.02.14
E604
研究助成成果のオープンアクセスを求める運動,EUに拡大
米国のFRPAA(Federal Research Public Access Act)法案(E503参照)や英国ウェルカム財団(E338参照)など,助成を受けた研究をオープンアクセスとするよう求める動きが進んでいる。このような動きのなか,欧州研究諮問委員会(EURAB)も2007年1月に,欧州委員会(EC)の研究開発プログラム“Seventh Framework Programme(FP7)”で助成を受けた研究成果のオープンアクセス化を義務付けるよう,欧州委員会に勧告した。
EURABの勧告“Scientific Publication: Policy on Open Access”によると,FP7の成果物を,出版後速やかに,もしくはアクセスできる状態になってから6か月以内に,各機関または主題別リポジトリに登録,公開することを求めている。このほかにも,
- 著者は研究成果に加え,研究成果が掲載された雑誌や会議録の情報を含むメタデータを,リポジトリに登録する
- 登録する論文は掲載誌・会議録の受領原稿とする
- 公開までの猶予期間は最長6か月とするが,メタデータは速やかに公開する
- 登録先となるリポジトリは,研究成果の長期保存と無償公開に関する規定を整備する
- 登録すべき研究成果の内容や時期,登録先に関する研究者向けガイドラインを整備する
- EU全加盟国に対する,公的研究助成を受けた研究成果のオープンアクセス化を強力に推薦する
ことなどを提言している。
EURAPの動きを受けて,英国情報システム合同委員会(JISC)をはじめとする欧州の教育研究助成4機関とSPARC Europeは合同で,欧州委員会に「公的助成を受けた研究成果を,公表後速やかに一般公開することを保障する」ことを求める署名活動を,1月17日から開始した。この署名活動は研究者個人のみを対象とするものではなく,大学や研究機関,学術団体,図書館,出版社などからも広く募集しており,2月13日現在,署名はすでに2万件を突破している。
Ref:
http://jpn.cec.eu.int/relation/showpage_jp_relations.science.fp7.php
http://cordis.europa.eu/fetch?CALLER=EN_NEWS&ACTION=D&RCN=26924
http://ec.europa.eu/research/eurab/pdf/eurab_scipub_report_recomm_dec06_en.pdf
http://www.earlham.edu/~peters/fos/2007_01_07_fosblogarchive.html#116845221537275857
http://www.ec-petition.eu/index.php?p=signatories
http://www.ec-petition.eu/
E338
E503