E592 – 図書館協会の今後のあるべき姿は?CILIPの新ビジネスモデル

カレントアウェアネス-E

No.98 2007.01.17

 

 E592

図書館協会の今後のあるべき姿は?CILIPの新ビジネスモデル

 

 英国の図書館・情報専門家協会(CILIP)は,前会長であったショーレー氏(Debby Shorley)を主査とするワーキンググループ“New Business Model Working Group”を設置し,同ワーキンググループによる報告書「新たなビジネスモデルに向けて(Towards a New Business Model)」を,2006年12月7日に公表した。

 本報告書ではCILIPの主要な活動を,(1)社会に対する図書館情報学専門職の価値の紹介・宣伝,(2)図書館情報学専門職の調整,(3)図書館情報学専門職の養成支援,の3点であると定義する。そして,CILIPが英国全土を対象に,効率的な活動を実施する機関であると評価している。だがCILIPの提供するサービスについては,すべて原価回収の原理で運営されるべきであり,そのような自己採算が取れない事業については,縮小あるいは廃止するべきだとしている。

 この基本方針に沿って,本報告書はCILIPが展開する活動について現状評価を加えるとともに,2007年および2008年の活動に対して,予算の配分を含む広範な提言を行っている。たとえば「資格の新しい枠組み(The New Framework of Qualification)」(CA1491E201参照)について,2007年には現在の枠組みを維持しつつも,各地域に置かれた継続的専門能力開発(Continuing Professional Development: CPD)事業の廃止や外部評価の実施することを,また,2008年以降は活動資金の自己調達制度の導入することを,それぞれ提言している。本報告書について,CILIPは2007年の活動に関する提言はただちに取り入れ,さらに2008年の活動に対する提言に対しても,さらに議論を重ねてゆくことを表明している。

 報告書ではまた,2007年中に複数の外部組織と比較した評価も実施すると述べられており,会員からのコメントも募集している。この報告書が以後の評価コメントを受けて,今後のCILIPの活動がどのように展開されるか注目される。

Ref:
http://www.cilip.org.uk/NR/rdonlyres/90CD20F5-27A1-4E82-AC0C-7198742B0310/0/nbmwg.pdf
http://www.cilip.org.uk/aboutcilip/newbusinessmodel
http://www.cilip.org.uk/aboutcilip/newbusinessmodel/1streport.htm
E201
CA1491