E494 – 公共図書館内での問題行動を告発したTV番組,ウェブ上で議論を呼ぶ(米国)

カレントアウェアネス-E

No.84 2006.06.07

 

 E494

公共図書館内での問題行動を告発したTV番組,ウェブ上で議論を呼ぶ(米国)

 

 2006年5月23日,米国オハイオ州のTV局が,公共図書館における暴力・ポルノ・性行為の実態を調査した番組を放映した。TV局が州内の2つの公共図書館を調査したところ,過去6か月間に,利用者が銃口を突きつける,児童ポルノをダウンロード・印刷する,トイレや子どもから見える場所で性行為,自慰行為を行うなど,50以上の問題行動があったという。またこの調査結果を裏付ける証拠として,問題行動の一部を隠しカメラで撮影したものも公開されている。番組では,公共図書館の資料の盗難対策に巨額の税金が投入されている一方で,このような問題行動への対応が十分でないことを厳しく批判した。

 このTV番組のブログには,この報道を知った図書館員を含む多くの人から賛否のコメントが寄せられている。「図書館はもっと対応を強化すべき」「図書館でも親が子どもから目を離さないようにするべきだということを喚起してくれて良かった」といった肯定的な意見から,「問題利用者はごく少数でありそれを取り立てて扱うのは不適切」「プライバシーの問題から,利用者がPCで何を見ているか検閲することはできない」「現実問題として利用者や子どもを監視することは不可能」「図書館員は警察官やベビーシッターではなく,不適切な行為に子どもをさらさないのは親の義務である」「他の公共施設でも同様のことが起こっている」「図書館が社会の役に立っている面を無視するな」「隠し撮りは倫理的に問題である」といった否定的な意見まで,多岐にわたっている。「問題利用者への対応には,図書館も苦慮している」といった図書館員からの意見も散見される。このようなコメントから,米国の図書館の社会的役割や,利用者の自由に関する認識を垣間見ることができよう。

Ref:
http://www.wkyc.com/monday/monday_article.aspx?storyid=52623
http://www.wkyc.com/weblog/carlmonday/2006/05/perverts-paradise.html
http://lisnews.org/articles/06/05/24/182240.shtml