カレントアウェアネス-E
No.45 2004.10.06
E251
週5日勤務制導入が図書館に与える影響(韓国) <文献紹介>
図書館文化編集チーム. 特集:週5日制と図書館,現場の声を聞く. 図書館文化. 45(4), 2004, 22-28.
韓国では,勤労基準法の改正により,7月から週5日勤務制(週休2日制)が社会全分野で段階的に導入されることになった。図書館に与える影響について気になるところだが,韓国図書館協会編『図書館文化』4月号に,その特集記事が組まれている。
図書館文化編集チームが,週5日勤務制の導入が図書館に与える問題を明らかにするため,司書が抱いている率直な意見を集めたところ,導入前から職場環境や士気が低下している姿も垣間見られるという。また,導入されれば,週末の利用者増が予測されるにもかかわらず,現状では超過勤務手当の支給や職員の増員が期待できず,職場環境がさらに悪化すると考えられている。一方で,上手くすれば,図書館を本来の姿に戻す絶好の機会になるという考えもあるという。
よって,週5日勤務制導入にあたっては,司書が幸福な社会生活を営みつつ,図書館サービスの質を低下させないための折衷点を求めることが重要であるとしている。そして,その方策として,一定業務の外部委託,自習室の廃止,地域の利用者特性にあわせた開館日・時間の変更などが提示されるとともに,無人貸出・返却システムの設置,ホームページを通じての情報提供,文化行事の土・日開催などを紹介している。また,週5日勤務制に対する図書館界の統一的な立場をまとめて素早く対応する必要性や,図書館の情報センターとしての存在価値を高める継続的な努力を訴えている。