CA819 – マレーシア国立図書館新館建設中 / 北川知子

カレントアウェアネス
No.155 1992.07.20


CA819

マレーシア国立図書館新館建設中

マレーシア国立図書館は,1994年をめどにJalan Tun Razakに約2万m2を占める新しい建物を建設中である。設計は,学者,研究者をはじめとして,情報を求める人達に最適な環境を提供できるよう工夫されている。

外側のデザインは,「Trengkolok/Tanjak」をかたどっている。これは,頭部をおおうために用いられる伝統的な頭飾りで,人間の知性と創造力の中心地を表わすものである。国内の情報システム,国家の知的・文化的遺産の拠点としての「国立図書館」の概念を象徴している。屋根の建築は独特で,songket(伝統的な手織の絹)と同じ青みがかった灰色のおおいを上品にまとっており,将来は都市の主要な目印となるに違いない。

工事は二段階で進められており,第一期工事は1992年中に完了することになっている。

内部の設計は,国家の知的・文化的遺産の収集・整理,利用,保存を促進するために,統合的に機能することを目ざしている。床面積は22,037m2,常時1,000席の閲覧席を設けている。職員は400名,書庫の収蔵量は100万冊である。

第一期工事では,以下の部分が完成する予定である。

a)一階−児童図書室,児童のための小ホール,整理部門,移動図書館,カフェテリア,共同書庫

b)二階−入口ロビー,展示場,貸出カウンター,寄贈・交換及び目録,全国書誌担当部門,データ入力室,事務室

c)三階−マライ語の手稿本,貴重品室,マレーシア関係図書,稀覯本,地図,新聞,マレーシアの逐次刊行物等の担当部門,閉架式書架

d)四階−国連・外国政府出版物,研修,レファレンス,企画部門,閉架式書架

e)五階−レファレンス(逐次刊行物),館議室,館長・副館長室,総務・会計部門,閉架式書架,視聴覚資料

六,七階と大講堂は,1994年内に第二期工事で完成する予定である。

なお,本年11月,この新しいマレーシア国立図書館において,第五回アジア・アセアニア国立図書館長会議の開催が予定されている。

北川知子(きたがわともこ)

Ref: Devadason, Shellatay. News from the National Library of Malaysia. CDNLAO Newsletter 1992.4.15