CA2017 – 動向レビュー:文化機関における3次元計測・記録データの管理・公開の意義と課題 / 野口 淳

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カレントアウェアネス
No.351 2022年03月20日

 

CA2017

動向レビュー

 

文化機関における3次元計測・記録データの管理・公開の意義と課題

金沢大学古代文明・文化資源学研究センター:野口 淳(のぐちあつし)

 

はじめに

 3Dが話題である。コロナ禍におけるオンライン・シフト、デジタル・トランスフォーメーションへの要請、クロスリアリティ(XR)やメタバースへの注目も追い風として、3Dの波は、ゲームやアニメ、映画などエンタメ寄りのビジネスセクターから博物館等の文化機関へ押し寄せている。しかし時流にのった話題性や技術的な新規性だけでなく、本来、3Dは文化機関においてこそ、その効果が強く発揮されるものである。本稿では、3次元計測の原理・技術・データに関する基礎的事項について概説するとともに、文化機関においてデータを管理・公開する意義と課題について述べる。

 

1. 情報の記録・伝達手段をめぐる歴史と3D

 私たちが暮らす現実世界は3次元であり、多くの事物が立体的なかたちを有する。それらを記録・伝達する人類の試みは、その最初期の段階(およそ4万年前)から2Dと3Dの両方で行われてきた。考古学・人類学的知見では、故地であるアフリカから世界へと拡散した現生人類(ホモ・サピエンス)が、狩猟対象となる動物の姿を立体的な彫刻(=3D)と平面的な壁画(=2D)で表現したことが知られている。前者は具象的で可搬だが個別的で、一方後者は場所固定的だが、連続する場景もダイナミックに描きだす。両者には機能的・意味論的な差異があったことが推測される(1)

 定住・農耕の開始から都市の成立に至り文字が発明されると、記録・表現・伝達手段・媒体としての2D優位が確立する。文字は情報密度と簡便さで3Dを凌駕する。数学・幾何学の発展により距離・かたちの次元も数値化・記号化された。媒体としての紙、複製手段としての印刷技術の発展により、文字記録は爆発的に普及した。追って光学技術の発展が写真技術に結実すると面的な視覚情報の記録・伝達も可能になり、20世紀に至り動的な映像記録も加わった。これら記録手段・媒体の体系により、現代社会の情報空間は圧倒的な2D優位となった。世界とあらゆる事物の記録・知識化を目指した近代啓蒙思想は百科全書に代表される印刷物を情報基盤とし、現代諸科学もそれを踏襲してきた。その成果を保管、共有、普及する装置として文書館、図書館が整備された。情報のソース、物質的な原資料としての立体的な事物そのものや複製、および創作物は、博物館・美術館に収蔵・展示され、現実空間にとどめ置かれた。

 このような流れの中で、いま文化機関へも押し寄せている3Dの波は、新しい技術を基盤として情報空間に展開するものである。これは情報化における、文字の発明、印刷技術と写真・映像技術の発展に続く新たな画期である。同時に、文字の発明以来5,000年近く続いてきた2D優位からの転換という点で、都市文明成立以来のかつてない変革期である。

 

2. 新しい3D計測・記録の技術

 現実空間における実物資料・複製・創作物ではない、新しい3D情報は、コンピューター、デジタル技術と深く結びついた新しい概念・技術を基盤とする。その一つが点群(point cloud)である(2)。対象となる事物の表面を離散的な点に分解して、直接的・間接的に3次元の位置情報を計測・記録するもので、その密度・解像度は計測機器や手法により、1平方ミリメートルあたり数十から数百を超え、高精細・高密度なものは数万に達する(3)。その情報量を手動で記録、描画することは物理的に不可能であり、計測・記録の機械化・コンピューター化、演算・描画処理の高精度化・高速化によってはじめて可能になった。

 点群の計測・記録にはいくつかの方法があるが、現在主流なのがLiDAR(ライダー)と写真計測(フォトグラメトリ)である。LiDARはレーザーや構造光などを対象に投射し、表面からの反射にもとづき距離・角度を算出・計測する(4)。専用の光源と反射を計測するセンサーが必須であり、従来は比較的大型で高価な専用機材が用いられていた。最近では携帯端末に搭載された小型で比較的廉価なものが登場し、急速に普及しつつある。LiDARによる点群計測は直接計測であり、距離やサイズを実数値として取得できる。一方で解像度は機器により固定されており、高解像度あるいは計測範囲の広いものは高価である。

 3D写真計測は、視差を利用したステレオ画像ペアによる立体視の原理を応用し、対象の全面をカバーする多数の画像上の特徴点から距離情報を復元、ステレオ画像ペア群から点群を構築するSfM-MVS技術に基づく(5)。間接計測のため距離・サイズを与えるには参照点の記録・入力が必須となるが、使用する画像の撮影倍率を変えることで広範囲あるいは高解像度の点群を取得できる。このためドローン(UAV)や顕微鏡を利用することで、小地域レベルの地形から極微細形状まで計測・記録できる。

 

3. 3Dデータの書式と可視化

 連続的な表面状態を離散的な点群に分解・記録する新しい3Dデータの実質は、各測点の3次元の位置情報の集合、すなわち点座標(x,y,z)の行列である。最もシンプルなフォーマットは行列をそのままASCIIテキストで保存するCSV(カンマ区切り数値)形式である。事実上の標準となっているOBJ、PLYなどのオープンなフォーマットは、RGBカラーなど付加情報も保存でき、異なるソフト・アプリ間での互換利用を担保する。ASCII形式で保存することで可読性が保たれるので長期的な保存にも適している。

 点群は、最近隣点を線で結合することでワイヤーフレームとなり、各線を辺とするポリゴン(多角形)を形成することで、全面を覆う水密(watertight)なメッシュ(mesh)を構築できる(6)。点群は直接・間接に対象を計測し取得したものだが、ポリゴン・メッシュは点群を整理・編集して構築されるもので、その過程は創作・復元に基づく3Dモデリングと共通する。計測点群データをもとに復元モデルが作成される場合も多い。

 メッシュモデルは色情報に加えて、構成する各面に法線ベクトル(normals)を与えることで、光源との位置関係による陰影や、輝度・反射等を演算、可視化できる(7)。メッシュデータも、本質は3次元座標で定義されるポリゴン頂点(vertex)と組み合わせ情報の行列であり、色、法線ベクトル、物性等の付加情報を含め、OBJ、PLYなどのオープンフォーマットを利用できる。FBX、GLTFなどアニメーション情報等も追加保存可能なフォーマットも普及している。ただし物性やアニメーションはあくまで可視化・表現に関する付加情報であり、3Dデータのアーカイブ、長期保存に組み込むべきかどうかは慎重に検討する必要がある。またソフト・システムに依存するフォーマット、バイナリ形式は、互換性・可読性の観点から長期保存には推奨されない(8)

 ワイヤーフレームやメッシュにカラーテクスチャ画像を貼り付けることで、高解像度・高精細な立体画像を描画できる(9)。点群、メッシュより解像度(pixel密度)の高い画像を使用することで、3Dデータの細部を視覚的に補うことができる。テクスチャは、対応フォーマットに追加ファイルとして保持、または埋め込まれ、メッシュに基づく陰影・反射等も反映できる。これにより単なる多視点・多方向からのカラー画像というだけでなく、陰影や物性など表現力に富んだ臨場感ある立体画像の描画が可能になる。

 

4. 文化機関における3Dデータ管理・公開の意義

4.1. 文字・写真平面を超える情報と体験の提供

 2022年1月現在、文化機関により管理・公開されている3Dデータは、有形文化財や立体美術作品、化石や剥製等の自然史資料が多い。大英博物館(考古・歴史資料を中心に273点)(10)、英・ロンドン自然史博物館(化石資料など149点)(11)、フランス国立美術館連合(RMN)グラン・パレ(考古・歴史資料から立体美術作品まで797点)(12)など主要なコレクションを大規模に3D化、公開している博物館も少なくない。最大級のコレクションを公開しているのは米・スミソニアン博物館で、20施設・部門2,575点に及ぶ考古・歴史・民族誌・自然史・風俗から宇宙開発に至る資料の3Dデータが公開されており、その大部分はクリエイティブ・コモンズ・ライセンスのCC0が適用されている(13)。東京藝術大学による「スーパークローン文化財」では絵画が3D化され、筆致や塗りの状態が再現されている(14)

 従来の2D記録、すなわち言語記述・説明、平面的な図・写真、動画では、視点・観点は計測・記録時に固定され自由度はきわめて低い。対して、自由視点が得られる3Dデータでは、情報の質・量が圧倒的に高まる(15)。高解像度3Dモデルの可視化には複雑で膨大な演算・描画処理が必要だが、技術の発展により一般普及レベルのPCや携帯端末でもリアルタイム表示が可能になっている。さらに拡張現実(AR)、仮想現実(VR)により、これまでにない臨場感や没入感を体験できるようになった。3Dデータは、情報の記録・伝達で従来の図書や写真・動画を補完するだけでなく、認知・体験を拡張し新たな知を創出するものでもある。

 

4.2. 物理的制約を超えた展開

 スミソニアン博物館の3Dデータには、X線観測衛星の観測成果も含まれる(16)。ドイツの非営利組織DiNArDa(自然史デジタルアーカイブ)は、専用の撮影装置による数ミリメートルサイズの昆虫の3Dデータを公開している(17)。英・レディング大学およびハル大学をベースとするThe 3D Pollen Projectは、顕微鏡画像に基づく花粉の3Dデータを公開している(18)。これら極微小~極大・超遠隔の事物・事象は、顕微鏡や望遠鏡など光学技術の発展により観測・記録が可能になったものの、機器・技術の専門性が障壁となり一般個人が共有・体験することは難しかった。3Dデータは、そうした制約の克服を補助する。

 また、現実の博物館・美術館の展示スペースは有限なのでコレクションの全てを公開展示することは事実上不可能だが、3Dデータなら仮想情報空間に全てを展開できる。インターネットを通じた遠距離伝達にも適しているので、海外・遠隔地の博物館・美術館の現地を訪れることなくコレクションへのアクセスを可能にする。3Dデータは距離の障壁を超越し、同時に移動に困難を抱える人々の包摂にも資する。

 自然史・文化財資料の多くは代替のない希少・貴重なものであり、劣化・破損の生じかねない取り扱いはできる限り避けたい。目的に耐え得る精度・解像度の3Dデータが提供されるならば、調査研究等による接触・侵襲の機会を減らすことができ、実物資料あるいは調査者・機器・手段の移動・運搬のリスクやコストを減じることもできる(19)。劣化のない複製により同時多数の利用が可能なことも利点である。

 

4.3. アウトリーチ・教育連携

 前2節に関連した具体的かつ重要度の高い分野として、教育と社会普及が挙げられる。日本では現在、GIGAスクール構想の下、学校教育における1人1台端末と高速大容量通信ネットワークの整備が推進されている(20)。文化機関は3Dデータを児童生徒の端末に直接届けることができる。現実空間の実物・複製資料は、多人数の同時利用に制約が多いが、仮想情報空間上の3Dデータは同時多数のアクセス利用が可能なので、端末上で各自の視点、興味関心に基づく観察を自由に行える。2020年初頭からの新型コロナウイルス感染症により団体の校外活動が制約されることもある中、3Dデータの利活用は時間・場所・空間(人数・密度)、資料の数や希少性・脆弱性の制約を超えるものであり、すでに実践例もある(21)。また3Dプリンターを利用することでデータを再度現実空間に出力可能である。複製や、実物資料では困難な場合もある直接接触、働きかけも可能となる。このことは学校教育にとどまらず、社会教育や学術研究、文化機関の活動のアウトリーチにも広く応用可能である(22)

 

4.4. 実物の消失に対するバックアップ

 3Dデータは、災害や紛争により失われる文化財等のバックアップとしてもきわめて有効である。初期の取り組みとして、長期にわたる内戦を経験したレバノンにおける文化遺産3D記録が挙げられる(23)。被災後の被害記録・損傷評価だけでなく、フランス・パリのノートルダム大聖堂(24)のように事前の記録が復元・復興に活かされる事例もある。原寸複製が困難な大規模な建造物等に極めて有効である。イラク・モスル博物館(25)や沖縄・首里城(26)では、残された画像による3D写真計測で完全に失われた対象を復元している。しかしこれは緊急避難的な措置であり、事前に十分な計測記録が残されていることが望ましい。災害や紛争の発生を事前に正確に予測することは不可能なので、文化機関における網羅的な3Dデータ化と管理が重要となる。この点で、和歌山県立博物館の3D「お身代わり仏像」による文化財の盗難予防と地域の信仰環境維持の両立は注目すべき取り組みである(27)。また3Dデータは劣化のない複製の分散管理による冗長性、強靭性の確保も重要である。その際、データ自体のアーカイブ、バックアップ戦略がきわめて重要になるだろう。

 

5. 課題と展望

 路上博物館の森健人は、3Dデータによる、「図書館のような博物館」を提起している(28)。現実空間の博物館・美術館では、スペースの制約だけでなく、展示自体が静的・固定的であり、図書館のように利用者が自身の興味関心に沿って自由に資料を閲覧することはできない。知識・情報の記録・保存はできても、公開・共有は限定的な状況である。

 知識・情報の記録・保存とは、情報空間への写像である。従来は情報空間も物理的実体を要し、情報量の圧縮、次元の縮約が必須であったが、デジタル化、コンピューター化が仮想情報空間への写像を可能にしたため、圧縮・縮約のない大容量データの記録・保存も可能になった。「図書館のような博物館」では、そうした情報を、利用者が興味関心に沿って自由に閲覧利用できる。さらに施設・機関を超えた共有・連携も容易になるので、たとえば図書館のレファレンスとの連結も進むであろう。3Dデータの利活用に関わるメタバースの概念と実装が文化機関において意義を持つとすれば、こうした側面においてであろう。

 2022年1月の現時点では、計測・記録に関しては開発・実装の段階は過ぎ、普及が進んでいる(29)。これからを担う世代は、ゲームその他のコンテンツで当たり前のように3Dに触れており、2Dとの差異や形式にとらわれなくなっている。今後解決すべき課題は、データの標準化や知的財産権、取り扱いに関する倫理等、運用面の制度・条件整備であろう(30)。できる/できないを判断する時期はすでに過ぎており、3D計測・記録データの取得と管理は今後、あらゆるセクターで間違いなく必須となる。その上で、公開と利活用をどのように行うのか、文化機関としての原則と社会的要請との間で調整する議論が必要となるだろう。

 

(1) Gamble, C. The Social Context for European Palaeolithic Art. Proceedings of the Prehistoric Society. 1991, 57(1), p. 3-15.
https://doi.org/10.1017/S0079497X00004849, (accessed 2022-01-29).

(2) “What are Point Clouds?”. Tech27. 2018-02-08.
https://tech27.com/resources/point-clouds/, (accessed 2022-01-29).

(3) 青銅鏡の同笵研究では高解像度機器により30から60マイクロメートル間隔で点群が取得される。
水野敏典. 精密三次元計測と応用研究. 季刊考古学. 2017, 140, p. 22-25.

(4) “What is lidar?”. NOAA’s National Ocean Service.
https://oceanservice.noaa.gov/facts/lidar.html, (accessed 2022-01-29).

(5) SfM-MVSはStructure from Motion-Multi View Stereo の略語。
内山庄一郎, 早川裕弌. “SfM多視点ステレオ写真測量による地形モデリングの基礎”. 高精細地形情報取得のためのオープン教材.
https://hdtopography.github.io/learning/SfM-MVS/GIS_uchiyama/, (参照 2022-01-29).
撮影位置や対象との距離はコンピュータービジョン技術により演算・復元されるので、従来型のステレオ写真計測のように別途計測・記録する必要はない。

(6) “Polygon mesh”. Wikipedia.
https://en.wikipedia.org/wiki/Polygon_mesh, (accessed 2022-01-29).
緻密なためソリッドモデルと呼ばれる場合もあるが、あくまで表面のみの計測記録による中空モデルなので、サーフェイスモデルである。なお内部の形状情報を非破壊で取得する手段としてX線CT(コンピューター断層撮影)がある。

(7) 物性(materiality)の可視化はPBR(Physical Based Rendering: 物理ベースレンダリング)とも呼ばれる。
“PBRとは”. デジタルハリウッド.
https://school.dhw.co.jp/course/3dcg/contents/w_pbr.html, (参照 2022-01-29).
輝度・反射等の情報は照度差ステレオ法(Photometric Stereo)により取得することもできる。
池内克史, 松下康之. 照度差ステレオの原理と実際. 光学. 2012, 41(5), p. 281-286.
https://annex.jsap.or.jp/photonics/kogaku/public/41-05-kaisetsu4.pdf, (参照 2022-01-29).

(8) 英国のADS(Archaeology Data Service)は、考古学3Dデータのアーカイブに関するGood Practiceガイドを公表しており参考になる。
“3D Models in Archaeology: A Guide to Good Practice”. ADS.
https://guides.archaeologydataservice.ac.uk/g2gp/3d_Toc, (accessed 2022-01-29).
なお、『奈良文化財研究所研究報告』第31冊(近刊)において上記ガイドの邦訳「考古学・文化財デジタルデータのGuides to Good Practice」が掲載される予定である。

(9) テクスチャマッピング。メッシュの立体形状を平面に展開したUV座標系により配置(マッピング)される。3D写真計測では使用した画像からテクスチャを合成・構築できるが、LiDARでは別途取得する必要があり、そのための画像センサーが搭載されている機種も多い。3D写真計測とLiDAR計測の結果を重ね合わせることも可能である。

(10)“The British Museum”. Sketchfab.
https://sketchfab.com/britishmuseum, (accessed 2022-01-29).

(11)“NHM_Imaging”. Sketchfab.
https://sketchfab.com/NHM_Imaging, (accessed 2022-01-29).

(12)“Rmn-Grand Palais”. Sketchfab.
https://sketchfab.com/francecollections, (accessed 2022-01-29).
以上3館・機関はSketchfabを3Dデータ公開プラットフォームとして利用している。他にも多くの館・機関がSketchfabを利用している。

(13)Smithsonian 3D.
https://3d.si.edu/, (accessed 2022-01-29).
Three.jsをベースとする“Voyager”による3Dビューワーを自館のウェブサイト上で運用している。
“Smithsonian/dpo-voyager”. GitHub.
https://github.com/smithsonian/dpo-voyager, (accessed 2022-01-29).

(14)“東京藝術大学スーパークローン文化財 謎解き「ゴッホと文化財」展”. アイエム. 2021-08-05.
https://www.museum.or.jp/report/103279, (参照 2022-01-29).

(15)一人称視点(first-person perspective)でのみ可視化可能な全天周(360°)画像もあるが、本稿では三人称視点(third-person perspective)が可能なものを3Dデータとしている。

(16)“Chandra X-ray Observatory”. Smithsonian 3D.
https://3d.si.edu/collections/Chandra, (accessed 2022-01-29).

(17)Ströbel, B.; Schmelzle, S.; Blüthgen, N.; Heethoff, M. An automated device for the digitization and 3D modelling of insects, combining extended-depth-of-field and all-side multi-view imaging. ZooKeys. 2018, (759), p. 1-27.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5968080/, (accessed 2022-01-29).
“Digital Archive of Natural History (DiNArDa)”. Sketchfab.
https://sketchfab.com/disc3d, (accessed 2022-01-29).

(18)The 3D Pollen Project.
https://3dpollenproject.wixsite.com/main, (accessed 2022-01-29).
“3D Pollen Project”. Sketchfab.
https://sketchfab.com/3dpollenproject, (accessed 2022-01-29).

(19)特殊な事例として、福岡県船原古墳における複雑かつ脆弱で取り上げが困難な出土品を土ごと凍結保存し、X線CTを含む3D計測に基づき仮想情報空間上で「発掘」と再現を行った例がある。
甲斐孝司, 岩橋由季. 豪華な馬具と朝鮮半島との交流 船原古墳. 新泉社, 2019, 96p.,(シリーズ「遺跡を学ぶ」, 141).

(20)“GIGAスクール構想について”. 文部科学省.
https://www.mext.go.jp/a_menu/other/index_0001111.htm, (参照 2022-01-29).

(21)“小学校と生涯学習課の連携について(文化財・デジタル博物館の活用)”. 大網白里市. 2021-11-15.
https://www.city.oamishirasato.lg.jp/0000011530.html, (参照 2022-01-29).
“@hidanobunka”. Facebook. 2021-06-02.
https://www.facebook.com/permalink.php?story_fbid=1207633279678510&id=309239896184524, (参照 2022-01-29).
また、関連する論考が『デジタル技術による文化財情報の記録と利活用4』(『奈良文化財研究所研究報告』第33冊、近刊)に掲載される予定である。

(22)計測・記録データに基づくものではないが、MicrosoftはUNESCOと連携して、アフガニスタン、イラク、シリアの被災文化遺産をゲーム上(Minecraft)で再建する教育プログラムを提供している。
“HISTORY BLOCKS”. Minecraft Education Edition.
https://education.minecraft.net/en-us/lessons/history-blocks, (accessed 2022-01-29).
Ubisoftは3Dゲーム(Assassin’s Creed)をプラットフォームとして専門家研究者の監修を受けたディスカバリーツアーを提供している。古代エジプト編については以下を参照。
“Discovery Tour by Assassin’s Creed®: Ancient Egypt”. Steam.
https://store.steampowered.com/app/775430/Discovery_Tour_by_Assassins_Creed_Ancient_Egypt/, (accessed 2022-01-29).
これらは実際に教育現場でも利用されており、教育的エンターテイメント(Edutainment)の一分野として確立されている。実物資料の計測・記録データの教育的エンターテイメントへの利用も近いうちに実現化するだろう。

(23)2006年イスラエル軍侵攻後の文化遺産の記録・保全事業については以下を参照。
“Project Factsheet – LRF-6 HR for digital doc. Worl”. MPTF Office GATEWAY.
https://mptf.undp.org/factsheet/project/00065546, (accessed 2022-01-29).
2020年ベイルート港爆発事故後の文化遺産の記録・保全事業については以下を参照。
Kallas, Joe; Silver, Minna; Vileikis, Ona. “Beirut’s Shattered Heritage: An Emergency Documentation”. CIPA Heritage Documentation. 2020-09-02.
https://www.cipaheritagedocumentation.org/documentingbeirut/, (accessed 2022-01-29).

(24)“The 3D scan come to the rescue of Notre-Dame”. Art Graphique et Patrimoine.
https://www.artgp.fr/agp-digitized-notre-dame-in-3d.html?lang=en, (accessed 2022-01-29).

(25)Rekrei.
https://projectmosul.org/, (accessed 2022-01-29).

(26)みんなの首里城デジタル復元プロジェクト.
https://www.our-shurijo.org/, (参照 2022-01-29).

(27)大河内智之. “博物館がつなぎ公共で支える地域資料-仏像盗難をめぐる問題を通じて-”. 発信する博物館:持続可能な社会に向けて. 小川義和, 五月女賢司編著. ジダイ社, 2021, p. 210-224.

(28)“【3D×地方創生のオンライントークイベント】3Dデータ化が未来を創る?~地域のちょっとしたものが地域の宝に~”. YouTube. 2021-07-28.
https://www.youtube.com/watch?v=fNluJ6dD5Ow&t=3536s, (参照 2022-02-14).

(29)たとえばウェブ上での3Dデータのインタラクティブな表示はWebGLにより実現されている。
WebGL 2.0 Specification. Khronos Group.
https://www.khronos.org/registry/webgl/specs/latest/2.0/, (accessed 2022-01-29).
課題は大容量データの保存・管理コスト(たとえばサーバー・ストレージ容量)や通信速度・コストであるが、これまでの技術発展のスピードから見れば技術的課題の解決にはあまり時間がかからないことが予測される。

(30)2019年までの動向と課題は以下にまとめた。
野口淳. “三次元データの可能性-活用と課題-”. デジタル技術による文化財情報の記録と利活用2-オープンサイエンス・データ長期保管・知的財産権・GIS-. 奈良文化財研究所編. 奈良文化財研究所, 2020, p. 59-70., (奈良文化財研究所研究報告, 24).
http://hdl.handle.net/11177/7262, (参照 2022-01-29).
著作権法・知的財産権については以下を参照。
数藤雅彦. “発掘調査報告書のウェブ公開と文化財の3Dデータに関する著作権の諸問題”. デジタル技術による文化財情報の記録と利活用. 奈良文化財研究所編. 奈良文化財研究所, 2019, p. 91-95., (奈良文化財研究所研究報告, 21).
http://hdl.handle.net/11177/6889, (参照 2022-01-29).
仲林篤史. “三次元データの公開に伴う著作権等の整理” . デジタル技術による文化財情報の記録と利活用2-オープンサイエンス・データ長期保管・知的財産権・GIS-. 奈良文化財研究所編. 奈良文化財研究所, 2020, p. 111-117., (奈良文化財研究所研究報告, 24).
http://hdl.handle.net/11177/7260, (参照 2022-01-29).
また、欧州委員会(EC)は、文化遺産の3D化における基本原則について報告を行っている。
“Basic principles and tips for 3D digitisation of cultural heritage”. European Commission. 2020-08-12.
https://digital-strategy.ec.europa.eu/en/library/basic-principles-and-tips-3d-digitisation-cultural-heritage, (accessed 2022-01-29).

 

[受理:2022-02-15]

 


野口淳. 文化機関における3次元計測・記録データの管理・公開の意義と課題. カレントアウェアネス. 2022, (351), CA2017, p. 18-22
https://current.ndl.go.jp/ca2017
DOI:
https://doi.org/10.11501/12199170

Noguchi Atsushi
Significance of and Challenges for Management and Publication of 3D Documentation Data in Cultural Institutes