E937 – OPACと読書案内サービスとの連携-EBSCO社のNoveList Select

カレントアウェアネス-E

No.152 2009.06.24

 

 E937 

OPACと読書案内サービスとの連携-EBSCO社のNoveList Select

 

 米国では,図書館利用者への読書案内・読書相談サービスのために,ブックガイド,ブックリストなどを集約したデータベースを利用している公共図書館がある。このようなデータベースのうち,よく利用されているものの一つに,EBSCO Publishing社の“NoveList”がある。2009年5月26日,同社は図書館のOPACと連携して,検索結果に表示される書籍と関連する書籍情報をNoveListデータベースから抽出・表示する新サービス“NoveList Select”の開始を発表した。

 NoveListの事業はもともと,図書館で読書案内サービスを担当していたスミス(Duncan Smith)氏によって1990年に始められた。スミス氏は,読書案内サービスの質が個々のライブラリアンの知識と能力に依存していることを踏まえ,書籍や当該のジャンル,利用者のニーズに深い知識を有しているライブラリアンが多くいることから,こうしたライブラリアンの知識を集約し,利用者のレベル,主題,タイトル,著者名などで検索できるデータベースを構築しようと考えたのである。現在では,ライブラリアンを始めとする協力者から得たコンテンツと,NoveList担当チームが独自に作成した,利用者や読書案内サービス担当者向けのコンテンツとをあわせ,15万点の小説の情報,4,000以上の独自作成リストなどを有する大きなデータベースとなっている。また2008年3月には,NoveListにノンフィクション5万点以上を追加収録した“NoveList Plus”の提供も開始されている。

 NoveList Selectは,このNoveList/NoveList Plusデータベースをもとに,OPACの検索結果に,関連する書籍情報や,おすすめのブックリストなどへのリンクを追加して表示するものである。利用者がOPACを検索すると,検索した書籍と類似し,かつ,書架にあり利用できる書籍が表示される。これにより,検索した書籍が貸出中だった場合に予約待ちを強いたり,他の書籍提供サービス(オンライン書店等)に流れたりすることを防ぐ,といった効果が期待できるという。なお,追加表示する書籍等に最も多く付与されている主題語を表示することで,利用者や読書案内サービス担当者が,なぜその書籍が表示されているかを理解できるようにするといった工夫もなされている。

 このNoveList Selectは,所蔵情報の提供と,読書案内サービスとを融合させた新しいサービスの事例として注目される。

Ref:
http://www2.ebsco.com/en-us/NewsCenter/Pages/ViewArticle.aspx?QSID=284
http://www.ebscohost.com/novelist/default.php?id=294
http://www.ebscohost.com/novelist/special/novSelectTour/default.htm
http://www.ebscohost.com/novelist/default.php?id=282
http://www.ebscohost.com/novelist/default.php?id=10