E787 – 文科省,2007年度「学校図書館の現状に関する調査」結果を公表

カレントアウェアネス-E

No.128 2008.05.28

 

 E787

文科省,2007年度「学校図書館の現状に関する調査」結果を公表

 

 文部科学省は2008年4月21日,『平成19年度「学校図書館の現状に関する調査」結果について』を公表した。この調査は学校図書館に関する行政上の参考にする目的で,各都道府県教育委員会を通じて,学校図書館の現状に関して調査した結果を取りまとめたものである。

 概要によると,(1)司書教諭は必置とされている12学級以上の学校のほぼ全校で発令されている(2007年5月現在),(2)蔵書冊数は小・中・高等学校でそれぞれ増加しているものの,学校図書館図書標準を達成している学校の割合は低い,(3)多くの小・中学校で全校一斉の読書活動が行われるなど,読書活動の取り組みが概ね進んでいると考えられる,とされている。

 (1)については,対象の小学校の99.2%,中学校の98.5%,高等学校の96.2%で,司書教諭が発令されている。さらに教諭やボランティアを除いた学校図書館担当職員(いわゆる学校司書)の配置割合は,小学校35.7%,中学校37.1%,高等学校70.8%(いずれも全学校数との割合)と報告されている。

 (2)について,2006年度末の蔵書冊数は,小学校約1.62億冊(前年度と比較して約310万冊の増加),中学校約9,300万冊(同じく約200万冊の増加),高等学校8,400万冊(同じく約63万冊の増加)と報告されている。また1校あたりの平均蔵書冊数は,小学校約7,400冊,中学校約9,300冊,高等学校約22,000冊となっている。学校図書館図書標準の達成割合は,小学校は図書標準を達成した学校が全体の42.0%,ついで達成状況75~100%の学校が32.3%,50~75%が20.5%となっている。中学校では図書標準達成学校が全体の36.8%,75~100%が31.5%,50~75%が24%となっている。

 (3)について,全校一斉の読書活動は,小学校94.4%,中学校84.1%,高等学校36.9%と報告されている。実施校において,いつ実施しているかも同時に調査しており,小学校の92.3%,中学校の92.2%,高等学校の80.8%が始業前に実施していると回答している。また実施頻度については,小学校では「週に数回」が最も回答率が高く42.0%,中学校では「毎日実施」が最も高く66.5%,高等学校でも「毎日実施」が最も高く55.3%と報告している。

 本調査ではほかにも,蔵書のデータベース化の状況,小・中学校における各都道府県別の図書購入額の状況,読書活動推進のための取組状況(「図書の読み聞かせやブックトーク」など),ボランティアの活動状況,公共図書館との連携状況,学校図書館の地域開放状況など,興味深い数値データが示されている。日本における学校図書館の量的な現状を把握する上で,欠かすことのできない資料であろう。

Ref:
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/04/08041814.htm
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/04/08041814/001.pdf