E643 – OCLC,“WorldCat Local”試行版を提供開始

カレントアウェアネス-E

No.106 2007.05.16

 

 E643

OCLC,“WorldCat Local”試行版を提供開始

 

 OCLCは2007年4月11日,インターネットで提供している総合目録データベース“WorldCat.org”を参加館向けにカスタマイズして提供するサービス“WorldCat Local”を試行すると発表した。WorldCat.orgが提供しているデータ,備えている機能はそのままに,当該の図書館の利用に特化した検索結果の排列,当該の図書館が導入している図書館システム(貸出管理システム,相互貸借システム,全文データベースなど)と連携した資料へのナビゲーションなどを実現するものである。

 4月末,このWorldCat Localの試行版が,ワシントン大学図書館で最初に公開された。検索語を入れて検索を行うと,(1)同館の所蔵資料/同館から提供できる資料(オンラインの資料など),(2)同館が所属するコンソーシアムの参加館の所蔵資料,(3)その他の館の所蔵資料,の順に検索結果が排列される。この検索結果の一覧表示から詳細表示を参照すると,資料の配置場所・利用状況が表示されており,すぐに資料の請求(同館から利用できない資料は相互貸借の請求)を行うことができるようになっている。またWorldCat.orgには4月19日,4つの雑誌記事索引データベース(ArticleFirst,GPO,ERIC,MEDLINE)が追加されており,これらもWorldCat Localの検索対象になっている。同館が印刷媒体または全文データベースで購読契約している資料について,資料請求または全文データへのリンクが表示されるようになっている。

 なお今後も,RLGが提供していた総合目録のデータや,別の索引データベースの追加が予定されているほか,WorldCat Localと連動するOpenURL対応のリンクリゾルバ“WorldCat Resolver”や,ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の提供も予定されているという。正式なサービスの開始は,2007年の夏〜秋頃とされている。

 この試行版第一弾では,主にOCLCが提供している図書館システム,全文データベースとだけ連携しているとのことであるが,今後,カリフォルニア州やイリノイ州の各種図書館で試験運用を行う過程で,他社の図書館システムとの互換性も検証していくことになっている。WorldCat LocalをOPACとして採用する図書館がどの程度増加していくのか,また図書館システム業界の動向(E641参照)にどのような影響が及ぶのか,今後の展開が大いに注目される。

Ref:
http://www.oclc.org/news/releases/200659.htm
http://www.wils.wisc.edu/events/04_25_07/
http://www.lib.washington.edu/about/worldcatlocal/what.html
http://newsbreaks.infotoday.com/nbReader.asp?ArticleId=35939
http://www.rlg.org/en/page.php?Page_ID=21014
http://www.oclc.org/news/announcements/announcement217.htm
E354
E588
E641