E1502 - 図書館総合展フォーラム「情報を未来につなげるCAポータル」

カレントアウェアネス-E

No.248 2013.11.07

 

 E1502

図書館総合展フォーラム「情報を未来につなげるCAポータル」

 

 2013年10月30日,第15回図書館総合展において,カレントアウェアネス・ポータル(CAポータル)に関するフォーラム「ここが図書館情報の最前線!!―情報を未来につなげるカレントアウェアネス・ポータル―」を開催した。会場には,定員を超えて116名の参加があった。

 CAポータルについては,2008年の第10回図書館総合展において同じ国立国会図書館(NDL)関西館図書館協力課の運営するレファレンス協同データベースと共同でフォーラムを開催しているが,単独でのフォーラムは初となる。また今回は,事業の紹介をメインにした5年前とは異なり,2006年6月の公開以来成長を遂げてきたCAポータルの運営者サイドと書き手・読み手の「つながり」の発展を主眼とした企画である。

 全体の構成は,前半をCAポータルの概要,コンテンツの作り方,使い方の紹介に充て,後半はフロアからの質疑を軸としたパネルトークとした。このうち前半は,CAポータルの運営を担う図書館協力課調査情報係長の依田紀久とともに,現在「編集企画員」として,NDLの外部からその企画を提案していく立場にある元担当者の林豊(京都大学)と,CAポータルの公開以来,学部生・院生そして現在は教員として同サイトを活用し続けている佐藤翔(同志社大学,図書館協力課非常勤調査員)が,それぞれの立ち位置から,CAポータルとのつながり方について考える素材を提供する形とした。全体の司会は,図書館協力課課長補佐の兼松芳之が務めた。

 依田は概要紹介として,4種のコンテンツ(ブログ形式のカレントアウェアネス-R,メールマガジンのカレントアウェアネス-E,季刊誌のカレントアウェアネス,調査研究の各種成果)のそれぞれの役割,利用形態の多様性を,利用者アンケート結果等を交えながら説明した。さらに,読み手を含むCAポータルの関係者コミュニティの全体像,「図書館情報の最前線」の構築イメージ,そして,CAポータルモデル(CA1788参照)を紹介した。CAポータルモデルについては,これまでの情報サービスでは裏側で行われていた情報収集活動をサービスとして公開することにより,業務量を“さほど”増やすことなく情報提供量を増加させるものであることを説明し,このモデルが,図書館の情報サービスの参考になる可能性があることを紹介した。

 林は,「CAポータルはきっとみんなで作るもの!~若手の成長という観点から~」と題して,CAポータルとのつながり方を紹介した。まずCA-RやCA-Eの舞台裏に関して,執筆方法や編集・刊行のスケジュール,校正作業の特徴等を示し,運営しながら感じていた“しんどさ,楽しさ,願い”などを伝えた。そして具体的なCAポータルとのつながり方として,ただコンテンツを「読む」こと以外にも,Twitterで@ca_tweetに話しかける,SNSやブログで感想を書く,取り上げてほしいトピックを能動的に要望する,はてなブックマークで「図書館」タグをつけたり図書館のウェブサイトで一次情報を発信して情報提供を行う,CAポータルの執筆者になる,等の手段があることを紹介した。その上で,主に30代前後の若手を念頭に,CAポータルとつながることが成長の機会になるとの考えを述べた。

 佐藤は,「CAポータルモデルに学ぶ:今日からあなたも最前線へ!」と題し,2012年度に書きあげた博士論文が,CAポータルモデルとほぼ同じ形で進められていたとの経験を説明した。特に,そのポイントとして,CAポータルモデルと同様に,いきなり大規模の著作をまとめるよりも,ブログ記事などで小規模のアウトプットを繰り返す方が負担を意識せず知的生産が行えること,さらに,そのアウトプットに対してその都度周囲からのフィードバックを受けることにより,研究の進む方向を見据えられることを紹介した。また,CAポータルモデルでは,その情報の取り上げ頻度等による「アジェンダ・セッティング」が,類似の情報発信活動と緩やかに連携しながら行われていることを説明した。

 以上のような話題提供を踏まえ,後半のディスカッションでは,CAポータルにおいて企業の情報を取り上げる際のルールはあるのか,他の類似メディアとのすみわけを意識しているのか,といった質問がなされた。前者については,広報メディアではないとの認識を持ちつつも,開始以来取り上げる範囲はニーズを反映して徐々に拡大しており,必ずしも定まった状態ではないこと,後者については,存在を意識しつつ,「最前線」を共に作っていくイメージで仕事をしていることなどを説明した。

 「みんなで作っていく」性格を持ち合わせたCAポータルにとって,読み手や書き手,事務局やその企画等の関係者が一堂に介して意見を交換する機会は貴重であったと考えている。なお,資料については,CAポータルに掲載している。ご来場いただけなかった人にもご活用いただき,CAポータルという「図書館情報の最前線」の共同構築に加わる際の参考にしていただければ幸いである。

(同志社大学社会学部・佐藤翔)
(京都大学人間・環境学研究科総合人間学部図書館・林豊)
(関西館図書館協力課・依田紀久)
(関西館図書館協力課・兼松芳之)

Ref:
http://www.ndl.go.jp/jp/event/events/lff2013.html
http://current.ndl.go.jp/node/24289
http://current.ndl.go.jp/about
http://togetter.com/li/584585
CA1788