E1319 – 続・北米260大学のOPACの「次世代度」をチェック<文献紹介>

カレントアウェアネス-E

No.219 2012.07.26

 

 E1319

続・北米260大学のOPACの「次世代度」をチェック<文献紹介>

 

Melissa A. Hofmann; Sharon Q. Yang. “Discovering” what’s changed: a revisit of the OPACs of 260 academic libraries. Library Hi Tech. 2012, 30(2), p.253-274.

 Library Hi Tech誌の30巻2号に,米国ニュージャージー州のライダー大学の図書館員であるホフマン氏とヤン氏による論文““Discovering” what’s changed: a revisit of the OPACs of 260 academic libraries”が掲載された。この論文は,2人が2011年に同誌で発表した“Next generation or current generation?: A study of the OPACs of 260 academic libraries in the USA and Canada”(E1209参照)の続編に当たるものである。

 2009年9月から2010年7月にかけて行われた前回調査では,米国とカナダの4年制大学2,569校からランダムに選択した260の大学図書館を対象に,それらのOPACやディスカバリーサービス(CA1727CA1772参照)が,「次世代OPAC」の機能としてホフマン氏らの選んだ12項目をどの程度満たしているかを検証した。2011年10月と11月に実施された今回の調査では,これら260館のその後の状況を追跡調査し,前回結果との比較や分析を行っている。

 著者らは,調査を行ったシステムを「従来型OPAC」「ファセット型OPAC」「ディスカバリーサービス」の3つに分けている。前二者は図書館システムに付属するOPACであるが,ファセットナビゲーション機能の有無により区別し,ファセット型OPACは次世代OPACの機能を多く備えているとしている。

 その上で,今回の調査結果として以下のようなことを挙げている。

  • 従来型OPACのみを導入しているのが260館中131館(51%),ファセット型 OPACのみが11館(4%),ディスカバリーサービスのみが3館(1%),ディスカバリーサービスと従来型OPACの併用が72館(28%)であった。残り43館(16%)はウェブサイトを開設していないなどの理由で状況が不明だった。
  • ディスカバリーサービスの導入館は,前回調査時の41館(16%)から約2倍の75館(29%)に増加している。
  • ファセット型OPACの導入館も,前回調査時の6館(2%)から約2倍の11館(4%)に増加している。ファセット型OPACの大半(11館中8館)は,従来型OPACのような著者やタイトル,主題や請求記号によるブラウジング機能を完全には備えていなかった。
  • ディスカバリーサービス導入館75館のうち72館が従来型OPACを併用し,それのみを導入する館は前回調査時の6館(2%)から半分に減少している。
  • 著者らは,広く信じられていたようにディスカバリーサービスによって従来型OPACが置き換えられているわけではなく,ディスカバリーサービスが利用者の検索体験を拡張する一方で,従来型OPACは伝統的な検索機能やブラウジング機能のために生き残っていると分析している。
  • ディスカバリーサービスと従来型OPACを併用する72館のうち,66館が,図書館ウェブサイト上でディスカバリーサービスを第一の検索ボックスとして提供する,あるいは一番目のリンクとして挙げるなどしていた。しかし,図書館がオンライン目録用の独立したページを用意している37館では,23 館が従来型OPACを優先的に紹介していた。
  • ディスカバリーサービス導入館75館のうち5館は2種類のサービスを導入しており,合計でのべ80種類のディスカバリーサービスが見られた。それらを導入館数の多い順に並べると,WorldCat Local(16),Summon(15),VuFind(14),Primo(9),Encore(9),EBSCO Discovery Service(7),AquaBrowser(5),Mango(4),Endeca(1)であった。
  • ディスカバリーサービス導入館75館のうち,論文単位の検索ができるようになっていたのは50館,伝統的なブラウジング機能を持っていたのは4館のみであった。

 結論部分で,著者らはディスカバリーサービスと従来型OPACを併用する図書館が非常に多いことに着目している。そして,今後の研究の方向性として,従来型OPACの詳細検索機能・ブラウジング機能がどう利用されているのか,それらの機能は次世代OPACにおいて必要なのか,あるいは,ディスカバリーサービスも併せて提供されている環境で,従来型OPACは誰に,どのように使用されているのか,などを示している。

(関西館図書館協力課・林豊)

Ref:
http://dx.doi.org/10.1108/07378831211239942
CA1727
CA1772
E1209