E1283 – NDL,調査研究リポート「東日本大震災と図書館」を刊行

カレントアウェアネス-E

No.213 2012.04.12

 

 E1283

NDL,調査研究リポート「東日本大震災と図書館」を刊行

 

 国立国会図書館(NDL)は,2011年度の図書館及び図書館情報学に関する調査研究として「東日本大震災と図書館」をテーマとした調査を実施し,この度,その成果を『図書館調査研究リポート』No.13として刊行した。

 この調査は,2011年3月11日からの約1年間を対象期間とし,図書館の被災・復旧状況,関連する支援活動・支援組織,記録保存活動等についての資料・情報を可能な限り広く収集・整理したものである。さらに,外部有識者による論考等を加えて報告書として取りまとめた。調査は外部調査機関に委託した。

 報告書は9つの章で構成している。まず第1章「導入」では,東日本大震災の概況及び日本の図書館の概況をまとめている。続く第2章「概要」で報告書全体の要約を示した後,第3章「写真及び図表」では,被災した図書館の写真や,被害報告のあった図書館をマッピングした地図等を掲載している。

 第4章「被災状況」では,岩手県,宮城県,福島県,茨城県,栃木県,千葉県,その他関東地域について,公立図書館及び大学図書館を中心に図書館の被害の状況等を概説している。

 第5章「復興を支援する活動」では,様々な支援活動について,「被災資料の救済」「被災地における図書館・読書環境の整備支援」「図書館サービスを通じた被災地支援」「被災図書館支援ポータルサイト」の4分類で,45の活動を紹介している。続く第6章「記録や経験を残す活動」では,震災資料の収集やデジタルアーカイブ等の12の取り組みを紹介している。

 第7章「関連資料及びデータ」では,第5章や第6章で取り上げられなかったものも含め,「支援団体」「関連イベント」「主な新聞記事・雑誌記事」「『カレントアウェアネス・ポータル』に掲載された関連記事」「世界の図書館から寄せられたメッセージ」「『東日本大震災と図書館』関連年表」「図書館関係の協議会等一覧」を掲載している。

 第8章「論考」では,被災地の図書館の立場から熊谷慎一郎氏(宮城県図書館)及び小陳左和子氏(東北大学附属図書館),支援団体の立場から岡本真氏(saveMLAKプロジェクト)及び松岡要氏(日本図書館協会),図書館情報学研究者の立場から根本彰氏(東京大学大学院教育学研究科)の,計5名による論考を掲載している。

 最後の第9章“The Great East Japan Earthquake and Libraries”は,海外の図書館関係者に向けて,上記の「導入」と「概要」等の部分の内容を英語に翻訳して掲載したものである。

 震災発生から1年間の図書館に関する情報をまとめた資料集として,レファレンスサービスや調査研究等に活用していただければ幸いである。なお,報告書のPDF版は,カレントアウェアネス・ポータルで提供している。

(関西館図書館協力課調査情報係)

Ref:
http://current.ndl.go.jp/report/no13
http://current.ndl.go.jp/research