E1147 – OCLC,「図書館の見方2010」と題するレポートを刊行

カレントアウェアネス-E

No.188 2011.02.17

 

 E1147

OCLC,「図書館の見方2010」と題するレポートを刊行

 

 OCLCは,2011年1月,「図書館の見方2010」(Perceptions of Libraries, 2010)と題するレポートを刊行した。レポートは,2010年1月にカナダ,英国,米国の人々を対象に実施されたオンライン調査の回答のうち米国内の回答のみを集計・分析した結果を基に作成されている。2005年に刊行したレポート「図書館と情報資源の見方」(Perceptions of Libraries and Information Resources;E422参照)の続編にあたり,2005年以降の技術や経済の進展を背景に米国の人々が図書館をどう利用しているのか等についてまとめられている。

 レポートでは,2005年から2010年までの間に様々なオンラインサービスが登場あるいは成長しているという背景が紹介されており,図書館の中にはFacebook等のソーシャルネットワーキングサービス(SNS)やYouTubeを利用する等の対応を行っている館もあることが示されている。また,大学図書館の44%,公共図書館の34%が何らかの携帯端末向けサービスを行っているとの調査結果も紹介されている。

 情報の探索をどこから始めるかという質問については,2005年調査及び2010年調査共に「サーチエンジン」との回答が80%以上を占めている。「図書館のウェブサイト」との回答については,2005年には1%であったのが2010年には0%になっており,どの回答者も情報探索を図書館のウェブサイトから始めようとは考えていないことが示された。また,得られる情報の信頼性についてサーチエンジンと図書館(ウェブサイトに限らない)とを比べた時に,図書館の方が信頼できるとの回答は26%,サーチエンジンの方が信頼できるとの回答は5%となっているが,両者とも同じくらいの信頼性であるとの回答が69%と大半を占めている。

 書籍,CD,DVDの購入を減らしたという回答者は76%で,その数字と呼応するように,それらの資料を借りるために図書館を利用するという回答者は75%となっている。また,回答者の27%は図書館の利用が増えたとしており,その理由としては「節約のため」が75%で群を抜いて多い。2005年調査では回答者の61%が今後数年間は図書館の利用は減らないと予想しており,2010年の調査でその予想が間違っていなかったことが証明されたとしている。一方で, 図書館の利用目的について,資料を借りることや読書のため,との回答は2005年に比べて増加しているが,調べ物のためとの回答は減少している。また,回答者の21%は図書館の利用が減ったとしており,「時間がない」「学校以外では必要がない」等の理由が挙げられている。

 レポートの結論部分では,回答者から図書館へのアドバイスとして「利用者の声にもっと耳を傾ける」「オンライン化を図り,そのことを周知する」等が紹介されているほか,ウェブサイトの見直しやサービスの宣伝,オンラインサービスの充実等のアイデアが提示されている。

Ref:
http://www.oclc.org/news/releases/2011/20115.htm
http://www.oclc.org/reports/2010perceptions.htm
http://www.oclc.org/reports/2010perceptions/2010perceptions_all.pdf
http://www.libraryjournal.com/lj/ljinprintcurrentissue/886987-403/gone_mobile_mobile_libraries_survey.html.csp
E422