E1140 – オーストラリアの図書館における洪水被害と復旧の状況

カレントアウェアネス-E

No.187 2011.02.03

 

 E1140

オーストラリアの図書館における洪水被害と復旧の状況

 

 オーストラリアのクイーンズランド州で2010年12月末から2011年1月初旬に起きた大雨による洪水は,同州の4分の3の地域に被害を与えており,それは図書館にも及んでいる。オーストラリア図書館情報協会(Australian Library and Information Association:ALIA)が収集・公開している情報を中心に,2011年2月2日時点での図書館の被害状況や復旧状況を紹介する。

 オーストラリア・カトリック大学(Australian Catholic University)ブリスベンキャンパスの図書館では,キャンパス間貸出や図書館相互貸借(ILL)等のサービスを休止しているだけでなく,電子リソースにキャンパス外からアクセスすることもできない状態となったようである。グリフィス大学(Griffith University)の音楽院図書館(Conservatorium Library)では,所蔵資料や機器類を別の場所に避難させていたため被害は少なかったものの,それらを元に戻す作業等で2月1日まで休館する予定とされていた。

 ブリスベン市では,市内にある公共図書館全33館のうち3館が休館しているほか,利用者に対して貸出中の図書館資料の被害状況の確認作業を行っている。資料の汚損があった場合でも罰金は課さないという。また,延滞による罰金も2月11日まで加算しないことにしている。イプスウィッチ市の図書館では,館内への直接的な被害は少ないものの,移動図書館によるサービスを1月28日まで休止していた。その他の公共図書館では,開館時間の変更等で対応している,被害の小さい館が大半のようであるが,中には所蔵資料に被害が出た館も数館あるとのことである。

 クイーンズランド州立図書館(State Library of Queensland)では,所蔵資料には被害は出ていないものの,フロアによっては建物への被害を被っているため休館状態が続いており,予定されていた館内イベントは全て中止されている。一方で,ウェブでのコンテンツ提供サービスや,電話あるいはインスタントメッセージによるレファレンスサービスといった非来館型サービスは提供されている。また,他館に向けて,水による被害を受けた資料の補修にあたっては,2008年に同館が作成したガイドラインの活用を促している。

 同館は1月24日に掲載したニュースリリースで,インターネットアクセスを提供している地域の図書館が,洪水による被害を受けた地域の住民と他の地域とをつなぐという役割を果たしていることも記している。

Ref:
http://www.qld.gov.au/floods/
http://www.alia.org.au/disasterrecovery/QLDFloods.html
http://blogs.acu.edu.au/library/
http://app.griffith.edu.au/03/lib-blog/?p=915
http://newsroom.brisbane.qld.gov.au/home/news_detail.asp?ID=1399
http://blog.library.ipswich.qld.gov.au/blog/2011/01/mobile-library-service-restricted-schedul/
http://www.slq.qld.gov.au/__data/assets/pdf_file/0005/128984/SLQ_-_Salvaging_water_damaged_collections_-_Nov_08.pdf
http://www.slq.qld.gov.au/__data/assets/pdf_file/0004/185017/MR_Public_Libraries_supporting_Qld_communities_24012011.pdf