E1132 - 「カレントアウェアネス-R」で振り返る「電子書籍元年」

カレントアウェアネス-E

No.185 2010.12.16

 

 E1132

「カレントアウェアネス-R」で振り返る「電子書籍元年」

 

 2010年は日本では「電子書籍元年」と呼ばれ,電子書籍をめぐる様々な動向があった。カレントアウェアネス・ポータルで提供しているニュース速報ブログ「カレントアウェアネス-R」(CA-R)では,2010年1月4日から12月15日までの間に1,492本の記事を掲載したが,そのうち「電子書籍」のタグを付けた記事は173本であった。それらの記事の中から,2010年の日本における電子書籍をめぐる動向に関する主なものを紹介する。なお,網羅的なものではないことをお断りしておく。

 上半期では,1月に発表されたApple社のタブレット型端末“iPad”が話題となった(記事1)。日本では5月に発売開始となり,新作小説の電子書籍版がアプリとして発売されるなど注目を集めた(記事2)。

 出版社や印刷会社,通信会社などによる,団体の結成や電子書籍関連サービスの開始の発表が数多く行われた。3月には出版社31社による「日本電子書籍出版社協会」(記事3)が,7月には印刷会社・出版社等による「電子出版制作・流通協議会」(記事4)が,それぞれ設立された。大手通信会社も,出版社や印刷会社等と連携しての電子書籍サービスを発表した(記事5,記事6,記事7)。

 政府省庁においては,総務省・文部科学省・経済産業省の三省による「デジタル・ネットワーク社会における出版物の利活用の推進に関する懇談会」が3月から開催され,6月には報告書が公表された(記事8)。それを受けて,総務省による電子出版の環境整備事業(記事9)や,文化庁での具体的な施策の実現に向けた検討会議(記事10)が行われている。

 電子書籍のフォーマットに関しては,国際的な主流となりつつあるEPUBフォーマットの仕様に日本語の縦書きや禁則処理等を取り入れるための活動が行われている(記事11)。また,電子書籍のバリアフリー化に向けた取り組みとして,視覚障害等を持つ人の読書を支援するシステムであるDAISY形式の文書の作成支援ツールが発表された(記事12)。

 公共図書館における2010年の新たな取組みとしては,東京都立図書館での企画展(記事13)や鎌倉市立図書館での実証実験(記事14)等がある。大学図書館では,慶應義塾大学メディアセンターによるデジタル化した学術書の提供の実験プロジェクト(記事15)等が行われた。また,6月には,国立国会図書館への電子書籍の納本に関して,納本制度審議会からの答申が出された(記事16)。

 その他にも,新聞の電子版の開始(記事17),ウェブ上で電子書籍を作成できるサービス(記事18),書店でのオンデマンドの印刷・製本サービス(記事19)等,様々な動きがあった。また,電子書籍への関心の高まりを受け,読書調査においても電子書籍の利用等についての調査が行われた(記事20)。

 12月には日本語の電子書籍が読める端末がシャープとソニーから発売され,それぞれの電子書籍販売サービスも開始されている(記事21,記事22)。

Ref:
(1) http://current.ndl.go.jp/node/15706
(2) http://current.ndl.go.jp/node/16254
(3) http://current.ndl.go.jp/node/15971
(4) http://current.ndl.go.jp/node/16567
(5) http://current.ndl.go.jp/node/17158
(6) http://current.ndl.go.jp/node/17240
(7) http://current.ndl.go.jp/node/17063
(8) http://current.ndl.go.jp/node/16435
(9) http://current.ndl.go.jp/node/17017
(10) http://current.ndl.go.jp/node/17216
(11) http://current.ndl.go.jp/node/16032
(12) http://current.ndl.go.jp/node/16055
(13) http://current.ndl.go.jp/node/17016
(14) http://current.ndl.go.jp/node/17126
(15) http://current.ndl.go.jp/node/16888
(16) http://current.ndl.go.jp/node/16324
(17) http://current.ndl.go.jp/node/15840
(18) http://current.ndl.go.jp/node/16423
(19) http://current.ndl.go.jp/node/17236
(20) http://current.ndl.go.jp/node/17012
(21) http://current.ndl.go.jp/node/16528
(22) http://current.ndl.go.jp/node/17164