E1111 – 米国議会図書館の「知識への入口」号,全米各地を訪問

カレントアウェアネス-E

No.182 2010.11.04

 

 E1111

「知識への入口」号,全米ブックフェスティバル会場を出発し各地を訪問

 

 米国議会図書館(LC)が,全米各地を巡って同館の資料や関連情報を伝える,「知識への入口」(Gateway to Knowledge)と名付けたトレーラーを導入した。18輪のトレーラーは特注のもので,荷台を開くと現れる展示用スペースには,LCや所蔵資料に関する情報の展示パネルのほか,LCのウェブサイトにアクセスできるコンピュータ,貴重書の複製を見ることができるディスプレイなどが搭載されている。トレーラーを運転・管理するのは,LC及び所蔵資料について熟知した2名のスタッフ(夫婦)である。

 「知識への入口」号は2010年9月25日に,全米ブックフェスティバル(National Book Festival)の会場で参加者らに披露された。全米ブックフェスティバルは,2001年に当時の大統領夫人で元ライブラリアンのローラ・ブッシュ(Laura Bush)氏(E875参照)の提案により始められ,LCの運営の下で毎年9月に実施されているイベントである。LCに隣接するワシントンD.C.の国立公園“National Mall”が会場となっており,10回目の開催となる2010年は15万人の参加者が集まったという。70人以上の作家・詩人・イラストレーターによるプレゼンテーションが行われたほか,「知識への入口」号と同様に全米各地を巡って活動している,電子書籍ベンダーOverDrive社のトレーラー“Digital Bookmobile”が,電子書籍を始めとするデジタルコンテンツを提供した。

 「知識への入口」号の活動の状況は週に1~2回,LCのブログで伝えられており,ここでその一部を紹介する。全米ブックフェスティバルの会場を出発した「知識への入口」号は,ヴァージニア州ウィンチェスターのシェナンドアバレー博物館(Museum of the Shenandoah Valley)を訪れ,9月27日から28日までの2日間,地元の小学生や中学生らにLCの資料や情報を提供した。9月30日,次の訪問地であるメリーランド州キュンバーランドでは,雨天にも関わらず,高校生を中心に多くの利用者が集まった。中には隣の州から車で40分かけて利用しに来たグループもあったという。10月15日に訪れたオハイオ州トロイでは,高校生らが,スパイダーマンよりもトマス・ジェファソンの独立宣言書草稿に興味を示したことに驚かされた,とのことである。

 「知識への入口」号は2010年11月4日現在,13か所を訪問(全米ブックフェスティバル会場を含む)し終えて,次なる目的地であるアイオワ州のメイソンシティを目指しているはずである。2010年は年末までに東部・北部17か所を,2011年は中西部・南部60か所を巡る予定となっている。

Ref:
http://www.loc.gov/gateway/
http://www.loc.gov/today/pr/2010/10-195.html
http://www.loc.gov/today/pr/2010/10-220.html
http://blogs.loc.gov/loc/category/gateway/
http://www.loc.gov/gateway/schedule.html
E875