E1095 – 世界中の学芸員によるTwitter上のイベント”Ask a Curator”

カレントアウェアネス-E

No.179 2010.09.16

 

 E1095

世界中の学芸員によるTwitter上のイベント”Ask a Curator”

 


 2010年9月1日,世界中の博物館・美術館等の学芸員によるTwitterを利用したイベント”Ask a Curator”が開催された。

 Ask a Curatorは,英国で芸術・文化関連のデザインを手掛けるリチャードソン(Jim Richardson)氏が企画したイベントである。このイベントは,一般の人が近くにある美術館や興味のある博物館,あるいは尋ねたい分野に通じている機関に対し,Twitterを利用して質問し学芸員から回答をもらうというものである。イベントには,23か国340機関が参加し,Twitter上での質問と回答を一覧しやすくするために,ハッシュタグ(#askacurator)の利用も併せて呼びかけられた。

 リチャードソン氏は,Ask a Curatorを開催した理由を,一般の人々に博物館や美術館で働いている「アツい」人々とつながる機会を提供するとともに,ソーシャルメディアをマーケティング部門の人のみが利用するものと考えている博物館・美術館に対して,その認識を改めさせ,Twitterの利用を促すためと説明する。同氏は,2010年2月にも,博物館・美術館の運営するTwitterアカウントへのフォローを呼び掛ける”Follow a Museum Day”というイベントを実施しており,今回のイベントはその後継として実施された。

 イベント当日,まずは参加国で一番早く9月1日を迎えたニュージーランドから多数の質問と回答のツイートが寄せられた。その後,欧州でも日が昇ると,ツイートが急速に増え,しばらくした後にはイベントのハッシュタグが世界のツイートのトレンドのトップ10に入り,イベントは盛況となった。しかし,英国時間の昼ごろ,スパムが発生し,その後一時収まったものの無視できない規模となったため,ハッシュタグを変える騒ぎとなったという。このためにリチャードソン氏は,今後,同様のイベントではTwitterを利用したくないと自身のブログでコメントしているが,イベント参加者の1人は,別の方法であればTwitterの利用に再度挑戦する価値はあるだろうと述べている。

 イベントでの質問と回答の例として2つ紹介する。ロンドンの帝国戦争博物館(Imperial War Museum)は,「メインの展示ホールでの,銃の大規模な展示に対して否定的な反応を利用者から受けましたか?」という質問に対して,「第一次・第二次世界大戦や他の戦争での重要な兵器を,美化することなく展示することは重要なことです。エリザベス2世の母后から,1936年の当館開館の折,『戦争がどれほど恐ろしいものか,人々が知りそして実感できるのはとても良いことです』とのお言葉を頂いています」と回答した。また,同じくロンドンの交通博物館(London Transport Museum)は,「ロンドン交通局の発展やロンドンでの交通政策の進展は資料収集や展示に役立ってきましたか?」という質問に対して,「もちろんです。当館のコレクションはロンドン交通局の歩みと共にあります。現在,当館ではタクシーや自転車,道路,河川なども収集範囲に含めています」と返答したとのことである。

Ref:
http://www.askacurator.com/index.html
http://www.wired.co.uk/news/archive/2010-09/01/ask-a-curator-on-twitter
http://www.museummarketing.co.uk/
http://www.columbusunderground.com/museums-look-to-the-future-find-spam-viagra
http://museumcultures.wordpress.com/2010/09/02/twenty-questions/