E1084 – 英国におけるMLA連携のひとつの成果,“Culture Grid”

カレントアウェアネス-E

No.177 2010.08.19

 

 E1084

英国におけるMLA連携のひとつの成果,“Culture Grid”

 

 英国内の博物館・図書館・文書館のコレクションの統合検索が可能なポータルサイト“Culture Grid”が公開された。Culture Gridの運営は,英国博物館・図書館・文書館国家評議会(MLA)の援助で設立されたCollections Trustという非営利団体が行っており,MLAと欧州委員会が資金提供を行っている。

 Culture Gridは,英国の博物館・図書館・文書館のウェブサイトやデータベースからコレクション情報を集約し,それらの情報とコンテンツへのリンクを提供するものである。利用者にとっては,英国の博物館・図書館・文書館が抱えるコレクションのメタデータ等の情報に一元的にたどり着くことができる利便性を与えるものであり,情報提供館にとっては,従来よりも広い情報提供が可能になるとともに,コレクション画像の販売等で資金獲得につながりうると,Culture Gridのウェブサイトでは説明されている。

 Culture Gridに登録されるデータは,博物館・図書館・文書館のそれぞれが所蔵する文書や写真,映像,音声資料等についてのメタデータであり,現在,40以上のコレクションから,100万件のデータ提供を受けているという。それらのうち一部はサムネイルで表示されており,利用者は興味を持った資料については,そのページから情報提供館のウェブサイトへ遷移して利用することになっている。

 また,Culture Gridは英国内の博物館,図書館,文書館のコレクション情報が持つ価値を広く伝えることも目的としている。そのため,Culture Gridのインデックス情報をGoogle等のサーチエンジンが容易に収集できるようにしているほか,Culture GridはEuropeanaに対しては英国のコレクション情報の提供フィードとして機能しており,また,BBCやFlickr,Wikipedia等に情報を提供することができるようになっている。さらに,ウェブサイトの種類を問わず,Culture Gridのサーチボックスを追加したり,あるいはAPI等を使用して連携したりすることも可能であるという。

 このような機能を持つCulture Gridは,英国のMLA連携のひとつの成果であると同時に,博物館・図書館・文書館がもつ情報を積極的に社会に向けて発信しつづけていく継続的な試みと言える。日本における今後のMLA連携のあり方を考える上で,参考事例となりうるものだろう。

Ref:
http://www.culturegrid.org.uk/
http://www.culturegrid.org.uk/about/faqs/
http://www.collectionstrust.org.uk/culturegrid
http://www.collectionstrust.org.uk/press-centre/005071.html
http://www.k-int.com/node/66