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カレントアウェアネス
No.297 2008年9月20日
CA1661
研究文献レビュー:図書館史
日本における近年の図書館史研究には顕著な特色が3つあると考えられる。それは、(1) 図書館史研究の方法論的な問い直し、(2) 日本の戦後図書館史の位置づけ、そして、(3) 人物への注目である。1990年代以降、図書館政策の転換や法制度の改変、利用者構造の変化など、図書館が急激な転換を求められるようになる中で、その存立基盤が歴史的に捉え返されている。発展過程の枠組みが改めて問われるようになり、とくに現代と直に結びついた戦後史への注目が高まっている。また、戦後図書館の内部で現実にサービスを担った人びとの役割が見直されるなど人物研究が活発化し、これが歴史文書・文献の総合的な解釈を土台とした人物史への着目につながっていると筆者は理解している。
以下、過去5年間(2002年頃以降)に日本国内で発表された文献を対象に、図書館史研究の成果を見ていく。特に、図書館史を専門に研究する団体である日本図書館文化史研究会の活動成果を中心に取り上げる。日本を論述対象とする研究を主に見ていくが、館種や時代はとくに限定しない。また各図書館が編纂した館史や、書誌学、歴史学、教育学等の隣接領域の関連研究については含めていない。
1. 図書館史研究の方法論的な問い直し
図書館が変革期の只中にあると言われる今日、公共性の是非、経営状況の変化、新たなサービス理念の展開といった現代的課題が論じられる中で、図書館史研究の分野においても、そもそも「図書館とは何か」という問いに立ち返り、図書館史研究を方法論的に問い直そうとする試みが見られている。
日本図書館文化史研究会が、旧称図書館史研究会の発足から20周年を迎えた2002年9月、「図書館文化史研究の回顧と展望」と題するシンポジウムを開催した(1)。この中で、石井敦は戦後図書館史研究の動向を振り返り、1950年代に『図書館雑誌』に「図書館史の方法」が取り上げられたことを端緒にして、日本の図書館史研究がようやく出発点に立ったことや、1960年代後半になって、基本資料に基づく各図書館の一館史が生まれたり、図書館を教育体系の中に構造的に位置づける視点が見られ始めたことを述べている。石井は図書館の本質やあるべき姿を、歴史を通して浮かび上がらせる態度を強調した。また、パネリストのひとり藤野幸雄は、図書館史における比較の視座の重要性とその研究の難しさや、女性史の視点を提示している。
もうひとりのパネリスト・岩猿敏生は、図書館史の捉え方を示す時代区分に着目し、一般史の時代区分とは異なる図書館史の時代区分を提唱した。岩猿は、1938年に「日本図書館史の方法」を著した武居権内、1944年に『日本文庫史研究』(上巻)を上梓した小野則秋の時代区分論を批判的に継承しつつ、図書文化の担い手という観点から、貴族文庫時代・僧侶(寺院)文庫時代・武家文庫時代・市民図書館時代の4つに分けた。社会科学として図書館学を位置づける際、図書館の本質を歴史的に探究することは不可欠であるが、従来はその理論的枠組みへの考察が少なく、年表的記述に終始したことへの反省に立つものであった。この時代区分をもとに、その後2007年に岩猿は『日本図書館史概説』を発表し、個別の図書館事象に通底する時代背景を通史的に描いた(2)。
その後、河井弘志も、主としてドイツの図書館史研究の系譜を追いながら、その領域が図書館の発生史・制度史・運動史、さらに図書館に関する理論の歴史(図書館学史)、思想の歴史(図書館思想史)に及ぶと論じた(3)。このうち思想の歴史に関しては、社会学的な視点を持ち込む必要性を主張している。それは、図書館思想を図書館や図書館員、利用者のおかれた社会構造・状況との関係において、いわば「社会拘束性」のもとで記述する態度であった。河井は、図書館学では努めて客観的に理論的明快さが志向されるのに対して、図書館思想では実務や実践に曖昧さが包含されることを論じ、図書館思想が個々の図書館員にとって、よりよいサービス実践を追求するための指導理念でなければならない旨を主張している。
2007年7月には科学研究費基盤研究(B)「エビデンスベーストアプローチによる図書館情報学研究の確立」の一環として「図書館史研究にとってエビデンスとは何か?」と題するワークショップが開催された。その中で筆者が日本の図書館史研究の概況を報告し、歴史認識の問い直しに加え、オーラルヒストリーなど研究素材に広がりの見られることを紹介した(4)。
2. 日本の戦後図書館史の位置づけ
こうした図書館史研究の方法論的な問い直しと並行して、戦後の『中小都市における公共図書館の運営』(いわゆる『中小レポート』)(1963年)や『市民の図書館』(1970年)で推進されてきた戦後の図書館サービス実践を歴史的に評価しようとする機運も高まりを見せている。現在の図書館のあり方に至る経緯に対する問いかけから、日本の戦後図書館史の位置づけが試みられるようになったのである。
2004年には『図書館界』56巻3号誌上で「現代社会において公立図書館の果たすべき役割は何か」と題する誌上討論が行われ、『市民の図書館』に対する歴史的な評価が試みられたほか、同年秋には日本図書館文化史研究会の主催で「戦後公共図書館実践の再検証」と題するシンポジウムが開かれた(5)。
この中で塩見昇は戦後を4時期に区分し、敗戦から1950年代までを各図書館の「サービス模索期」、続く1960年代から70年代初期を、人びとの求めに応じて資料を提供するという図書館の働きを現実化させる意識の生まれた「活動指針の発見と共有期」(第2期)、さらに1970年代後半から80年代前半の時期を住民の声が顕在化した「図書館づくりの進展の時期」(第3期)、それ以降を「低成長下の図書館づくり」の時期に分けている。このうち第2期と第3期を画する『中小レポート』や『市民の図書館』の刊行を通じて、貸出によって利用者がいつでも図書館資料を自分の手元で読めるようになったことで、館内閲覧にとどまらない図書館認識が広まり、住民の自主的な学びを保障する場として図書館が位置づけられた点を評価した。
2006年には『公共図書館サービス・運動の歴史』が刊行された(6)(7)。これは、先行研究・資料を網羅的に踏まえつつ、古代から現代までの図書館史を2巻全13章の中に通覧した文献である。時代区分は、明治新政府の樹立以前を「前近代」、それ以降、戦後を迎えるまでを「近代」、1945年8月以後を「現代」と大きく分けるが、近現代の比重が高く、とりわけ、第7章以降で戦後日本の公共図書館史を描き出していることに特色がある。
同書の第9章「図書館運動の転機」では、1950年代における自動車文庫やレファレンスサービスの実践を背景に、1963年に『中小レポート』が発表されたことや、賛否両論の中、それが低迷した図書館状況を切り開く指針として用いられるようになった過程が描かれる。そして、貸出とレファレンスサービスの機能を推進した日野市立図書館の実践を経て、「住民に開かれたサービスを提供する場としての図書館、そして地域計画としての図書館という考えが誕生した、新しい時代の幕開けの時期」(2巻、p. 93)を迎えたことを論じた。
また、続く第10章「「市民の図書館」の時代」では、図書館界の報告書であった『市立図書館の運営』が、各地の図書館員だけでなく多くの市民を読者とすることを念頭に『市民の図書館』へ改訂され、『中小レポート』で採用されていた団体中心主義を脱して、サービス対象を市民個人においたことが高く評価されている。本書は現代史上の事柄に対する歴史的評価には慎重な姿勢をとりながらも、戦後図書館史の流れを理解する上での好著となっている。地域・家庭文庫や市民運動の展開など、図書館と住民との関係性への着目が多く見られる点も付記しておきたい。
このほか、『図書館界』誌上の一連の議論を総括する中で、山口源治郎は『市民の図書館』が日本の公共図書館発展の基点に位置し、その安定的構造を支えているがために、今日もなお強い影響力・規範性をもつことを指摘した(8)。
図書館サービスに関する研究を個別に見ると、『中小レポート』や『市民の図書館』で重視された児童サービスの成果が注目される。『児童図書館研究会50年史』(2004年)が刊行され(9)、19世紀後半から現代までの児童サービスの展開がまとめられたほか、汐﨑順子が戦後日本の児童サービスの発展を検証している。汐﨑は文献・統計調査によりながら、画期となった出来事として児童図書館研究会の設立(1953年)、日野市立図書館のサービス開始および石井桃子『子どもの図書館』の刊行(1965年)などを特定し、戦後を5期に区分するとともに、インタビュー調査から小河内芳子ら中心的人物の人的ネットワークの重要性を明らかにした(10)。また、吉田右子は1960~70年代の「子ども文庫運動」の歴史的検討を行い、『子どもの図書館』の影響の大きさや、母親の学びの場としての重要性を指摘した(11)。
さて、1990年代後半以降、戦後占領期に焦点化した継続的な研究成果も出されている(12)。そこでは大きく2つのアプローチが試みられており、ひとつには、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ/SCAP)民間情報教育局(CIE)関係資料や米国国立公文書館(NARA)、米国図書館協会(ALA)所蔵資料などを用いて、従来の日本側先行研究の上に米国の対日図書館政策を明らかにする視点が取られる。最近では、中村百合子が戦後の学校図書館改革を取り上げ、1948年に文部省から刊行され後年の学校図書館実践に強い影響を及ぼした『学校図書館の手引』の作成過程について論考を重ねている(13)(14)(15)。そこでは、学校図書館コンサルタントや図書館担当官ら米国側担当者の意向を受けつつ、深川恒喜ら日本側の「学校図書館(室)運営の手引」編集委員会によって執筆が進められた経緯が明らかにされている。また、根本彰が科学研究費補助金助成を受けた一連の占領期図書館研究の成果の第3集を刊行したほか(16)、曺在順は同時期の韓国における米国の影響を考察している(17)。
もうひとつのアプローチは、聞き取り調査と文献調査を通じて、終戦直後の図書館運動の実態に迫ろうとする視点を取った研究である。たとえば、奥泉和久・小黒浩司は長野県下伊那郡上郷村の図書館運動を検討し、図書館を診療所と分離する「図書館解放運動」や、図書館長に青年会長が選任されるよう図書館規程を改正する活動などを通じて、図書館が地域に深く定着し、青年たちが利用主体・運営主体として積極的に図書館運動に関わったことを説き明かした(18)。
3. 人物への注目
戦後図書館史を再検討する上で、そこに関わった人びとの証言は貴重である。戦後占領期に米国の指導下に設置されたCIE図書館に関しては、大阪CIE図書館を中心に職員による回顧録『CIE図書館を回顧して』(2003年)が出版され(19)、これをもとに大島真理がCIE図書館女性館長20名の略歴をまとめたほか(20)、1948~84年に米国文化センター図書館などに勤めた豊後レイコの記録が刊行されている(21)。このほか、石川賀一は、全国学校図書館協議会の顧問・笠原良郎の証言や文献をもとに、1960年代以降の学校図書館法改正運動と教育改革との関わりを取り上げた(22)。
人物に注目した研究は、時代・地域を問わずに盛んである。そこでは新たな史料を掘り起こしながら、図書館員や図書館関係者の思想や行動を、社会背景のもとで読み解く態度が求められている。日本図書館文化史研究会は2007年、図書館発展に関わる国内外20名の評伝集『図書館人物伝』を刊行した(23)。日本人篇では、秋田県立秋田図書館長時代の佐野友三郎や、大正末年から帝国図書館長・日本図書館協会理事長を務めた松本喜一など、近代戦前期の図書館人に関する論稿4本に加え、戦前から戦後に活躍した人物6名が取り上げられている。『日本十進分類法』の作成者として名高く、戦後は国立国会図書館や日本図書館協会で活動した森清、神戸市立図書館で戦後、レファレンス・ワークを実践した志智嘉九郎、「文人図書館長」として鹿児島県立図書館初代奄美分館長となった島尾敏雄など、多彩な人物がまとめられた。また外国人篇でも、欧米を中心に10名が取り上げられている。
同じく2007年には、藤野幸雄・藤野寛之による英国図書館人の人物研究書も刊行された(24)。これは、『オックスフォード・イギリス伝記事典』(2004年)全60巻に採録された「図書館員」の項目約150を要約し、その中から重要と見なされた者34名を選んで、先行文献を参照しながら略記したものである。
単行書のほか、個別研究において人物を論じたものとしては、以下の研究がある。まず戦後では、鈴木宏宗が金森徳次郎の国立国会図書館長としての業績をまとめ、就任の経緯から、幹部職員の採用や一般の人びとへのPR活動、副館長・中井正一との確執、そして「春秋会事件」を契機とした辞任に至るまで、衆議院図書館運営委員会会議録などをもとに考察した(25)。
戦中期では、ウエルトハイマーが移民一世の浅野七之助を取り上げ、浅野がトパーズ強制収容所内に日本語図書館を設立した経緯について論述した。日系人が自由に読書・談話を行うことのできる「文化空間」の意義を論じた本稿は、戦争と図書館をめぐる新たな視座を提示している(26)。
津村光洋は、鳥取県立鳥取図書館時代の森清についてまとめ、主任司書河野寛治の指導下で主体的な運営が行われていた同館において、森が職員誌「ふぐるま」を刊行するなど図書館人としての基礎を形作った旨を論じた(27)。森清については、戦時下、華中鉄道図書館時代の活動について米井勝一郎がまとめており、活発な図書館活動を通じて先進的な図書館実践を目指したことが論じられている(28)。
福永義臣は、石川県における中田邦造の読書指導実践を取り上げ、図書を教育の手段ではなく自己教育における教育者であると規定する中田の主張を検討し、さらに、中田が戦時期に翼賛政治に積極協力したとする通説へのアンチテーゼを提唱した(29)。また、福永は、文部省の通俗教育主任官として社会教育を振興した乗杉嘉壽の図書館思想についても、その主著『社会教育の研究』(1923年)などをもとに考察している(30)。
西日本図書館学会では、2006年、「西日本の図書館人 その群像4」と題するセミナーで佐野友三郎が取り上げられ、佐野の業績、児童サービス論、および佐野収集の図書館関係洋書の分析などが行われた(31)。
戦前期の人物研究では、鞆谷純一が「植民地図書館人」について論考がある(後述)ほか、大正時代に徳島県三好町に三好婦人図書館を設立した高津半造を取り上げ、その婦人教育観・図書館観について、三好町の風土の特色に言及しながら、丹念な筆致で論じた(32)。良妻賢母思想に基づく婦人図書館の創設とその運営理念について、大正自由教育という風潮の中に位置づけている。
宮崎真紀子は、日本で最初に米国のライブラリースクールで正規の学生として卒業した加藤花子らを取り上げ、渡米から卒業、帰国に至る経緯を明らかにした(33)。また、中林隆明は、明治時代初期の文部行政に影響力をもった田中不二麿の図書館観について再検討したほか、戦後、国立国会図書館で納本制度の発足に尽力した山下信庸の業績を評価している(34)(35)。
4. その他
4.1 日本
時代ごとの研究動向を見ると、近代日本を対象とした研究に厚みがある。図書館学領域の単行書・学術雑誌を見る限り、前近代の研究の数は決して多くないが、小川徹は、法隆寺金堂の釈迦三尊像の台座解体修理作業の中で見つかった「書屋」について、7世紀の推古朝もしくは天武朝の成立になったものかと考察している(36)。また、高倉一紀は竹口家蔵書の蔵書構成を分析する中で、竹川竹斎の地域民衆へのまなざしこそが公開文庫設立の原動力であったと見なし、近世蔵書家研究の中に射和文庫を捉え直した(37)。
19世紀後半を扱った研究では、大学図書館史の分野で高野彰が、『含要類纂』など東京大学附属図書館所蔵の未整理文書をもとに、帝国大学図書館成立以前の図書館活動を論考している。高野は、前史となる東京開成学校では生徒へ貸出す教科書(副本)の置場が図書館であったが、法律書庫の設置とともに図書館の重要性が認識されるようになり、東京大学では学部連合体の各学部に図書館が設置されたこと、そして、図書館は事務部の1つであったが、独立機関的な意味合いをもっていたことを考証している(38)。高野の手で監修された『明治初期東京大学図書館蔵書目録』(2003年)全8巻が理解の参考となる(39)。
20世紀初頭を扱った研究では、篠原由美子が聞き取り調査と文献調査から長野県上田市の小牧普通図書館の実態をテーマに、設立趣旨や背景、運営・利用状況、図書整理方法についてまとめている(40)。小黒浩司は、同じく長野県の下伊那郡千代村立千代図書館を取り上げる中で、当初は村の青年たちの自主的な運営が認められていたものの、図書館令改定と前後して長野図書館からの思想取締りが強化され、「優良図書館」として表彰されるに至った経緯を批判的に考察した(41)。また、『北海道図書館史新聞資料集成』(2003年)(42)をまとめた藤島隆の主宰する「北の文庫」では、北海道、東北地方の図書館活動の歴史が精力的に取り上げられ、坂本龍三による空知教育会図書館に関する考察など研究成果が発表されている(43)。
高梨章は「百貨店としての図書館」という新たな切り口で大正元年(1912年)の図書館を描き、さらには「美術展と図書館」の関係性を、同年に京都図書館で開催されたロダン展を題材に考察した(44)(45)。宮崎真紀子は女性史の視点から、戦前の婦人室を取り上げた(46)。
他方で近年、戦時下の図書館について多くの研究が見られており、とりわけ中国・満洲地方の図書館を扱った論考が活発に発表されている。中でも鞆谷純一は、撫順図書館で米国流の図書館サービスを実施し、満鉄図書館で「植民地図書館人」として業績を積んだ大佐三四五について論じているほか、満洲開拓地読書運動について中田邦造の活動に焦点を当てつつ、それが指導者養成の失敗によって頓挫した経緯を克明に描いた。さらに戦時期日本軍による「抗日図書」の接収に関してまとめるなど、着実な研究成果を公表している(47)(48)(49)(50)。小黒浩司もまた、満鉄の経営する学校の図書館運営に着目し、児童図書の審査・推薦や理論研究を行った満鉄児童読物研究会の活動を論じた(51)。
加藤一夫らは、日本がアジア諸国(台湾、満洲、朝鮮、中国、南方地域)で経営した植民地図書館の活動を時間軸に沿って通史的にまとめている。これは「学術研究の性格をもった研究書ではない」との留保が付されているものの、戦前・戦中期の図書館活動の歴史責任を批判的に問い直す意識が一貫している(52)。著者の1人・東條文規は他の著作でも図書館界の戦争責任を論じており、戦前から戦中期に日本図書館協会を中心とする図書館関係者が、大正・昭和天皇の大礼や紀元二千六百年祝典などの国家的慶事を利用し、皇室の威光を借りるかたちで図書館政策の充実を図った点を強く批判している。そして、資料費の継続的な確保や職員の配置が伴わなかったことが、結果的に図書館を機能としてではなくモニュメントとして捉える考え方を行政や大衆に植え付けた旨を論述した(53)。
岡村敬二は蔵書に着目し、満洲国図書館をはじめ、日本語資料を所蔵してきた機関で編纂・出版された蔵書目録・資料目録の類を一覧化したほか、満洲国に集められた資料のうち、戦後、中国に残されたものの変遷過程を年表化してまとめた(54)。
米国の大学図書館や研究機関に存在する日本語の書物が、そこに所蔵されるに至った来歴をテーマに論じたのが和田敦彦である。和田は米国議会図書館をはじめ50以上の図書館・文書館で聞取りや受入記録の検討を行い、そこに関わった人や組織の問題意識を浮かび上がらせた。戦前期の日本語蔵書の構築のされ方、戦後占領期のプランゲ文庫のようなコレクションの作られ方に加え、米国内における日本語教育についても考察し、「リテラシー史」という新たな領域を開いた(55)。
個別の図書館サービスに目を転じると、児童サービスにおいて平田満子らが、戦前期の大阪府立図書館や大阪市立図書館などの児童図書館サービスを概観するとともに、戦後のCIE図書館やアメリカ博覧会でのサービス事例について紹介している(56)。障害者サービスにおいて野口武悟が一連の歴史的研究を発表しており、20世紀前半の聾学校における学校図書館の導入や、(戦後になるが)盲学校図書館におけるサービス展開などについて考察を重ねている(57)(58)(59)(60)。
4.2 海外
最後に、海外の図書館に関する研究について、いくつか言及する。
米国図書館史の研究では、川崎良孝を中心に京都大学図書館情報学研究会から精力的に翻訳研究が発表されている。このほか川崎は、1960年代まで米国のとりわけ南部諸州において黒人マイノリティの図書館利用が制度的に差別されていた問題に取り組み、白人の指導のもとに人種隔離を前提としたサービスが行われ、黒人図書館員もこれを甘受していた点を論じた。国際研究所の調査報告書『公立図書館へのアクセス』(1963年)の発表により、制度的(ディ・ジューリー)な「直接的差別」と事実上(ディ・ファクト)の「間接的差別」が全米諸州で行われていることが明らかにされたが、川崎は同報告書の作成経緯、報告内容、発表後の議論を詳細に検討する中で、図書館界が制度上の差別と決別した状況を審らかにした(61)(62)(63)。川崎はこれまでにも図書館の自由に関する歴史的論考を発表してきたが、1990年代から2006年までの研究成果をまとめ、これに補筆するかたちで『アメリカ公立図書館・人種隔離・アメリカ図書館協会: 理念と現実との確執』(2006年)を上梓している(64)。
米国公共図書館論について「メディア」をキーワードにして総合的に論じたのが吉田右子である。吉田は、1920年代に成人教育論を展開したラーネッド(William S. Learned)から1947年に公共図書館調査報告を行ったリー(Robert D. Leigh)に至る、米国の図書館思想家による公共図書館論を詳細に検討し、それらを社会状況や周辺学問、図書館実践の文脈に位置づけつつ分析している。米国社会の民主主義的な文化装置として採用された「自由主義的コミュニケーション論」の考えが、公共図書館論に大きく影響を及ぼしている点について論考した(65)。また、吉田は戦中期にALAと戦時情報教育局(OWI)の行った戦時情報サービスの分析を通じて、米国メディア戦略に公共図書館が位置づけられ、印刷物だけでなく視聴覚メディアとして機能したことも論じている(66)。
このほか、中山愛理は、20世紀初頭の米国メリーランド州などにおけるカウンティ・ライブラリー・システムの導入と巡回文庫サービスについてまとめ、貸出統計を用いて馬車図書館の運営実態を明らかにした(67)(68)。
米国学校図書館史に関しては、鈴木守が「学校図書館サービスの原則」(1941年)作成過程を考察し、学校と公共図書館協力のあり方に関する当時の問題意識を論じ、原稿段階に比して報告書では教育委員会の役割が重視されるようになった点を明らかにした(69)。また、野口武悟は、米国盲学校教育の先駆的存在であったパーキンス盲学校の学校図書館を取り上げ、その成立(1832年)から1930年代までの展開について、同校の年報や日本への紹介者・川本宇之助の著作から論述した(70)。畑田秀将は、米国の公立図書館の前駆形態として評価される学校区図書館制度について、学校図書館史上における位置づけを検討している(71)。
ドイツの図書館史に関して、河井弘志は、19世紀末からドイツで展開された教養図書館運動とその主導者であったゴットリープ・フリッツ(Gottlieb Fritz)に着目し、その運動が当初は米国のパブリック・ライブラリーに倣って中流・下層市民への通俗書提供の場として構想されていたものの、やがて一般民衆の教化施設として価値ある蔵書と利用者指導を追求するに至った経緯を考察した。また、同時期に下層民衆のための図書館を志向したヨハネス・テーフス(Johannes Tews)についても詳細な検討を加えている(72)(73)。
赤星隆子は、フランス近代図書館の成立に関するこれまでの著作をまとめ、とくにパリ国立図書館館長ドリル(Leopold V. Delisle)とドリル批判を展開したモレル(Eugenu Morel)の思想を中心に考察したほか(74)、児童図書館史に関する著作も発表し、児童サービスの実務作業の流れを確立したアン・キャロル・ムア(Anne Carroll Moore)の書評活動などを再評価した(75)。
明治大学:三浦太郎(みうら たろう)
(1) 図書館文化史研究の回顧と展望: 日本図書館文化史研究会20周年記念シンポジウム(2002年9月15日 アルカディア市ヶ谷). 図書館文化史研究. 2003, (20), p. 1-63.
(2) 岩猿敏生. 日本図書館史概説. 日外アソシエーツ(発行), 紀伊国屋書店(発売), 2007, 248p.
(3) 河井弘志. [特別講演]図書館史と図書館思想史と図書館学史: 日本図書館文化史研究会2004年度研究集会・総会(2004年9月11日 京都精華大学). 図書館文化史研究. 2005, (22), p. 1-27.
(4) “発表Ⅱ(三浦太郎氏)”. エビデンスベーストアプローチによる図書館情報学研究の確立 第5回ワークショップ 「図書館史研究にとってエビデンスとは何か?」.
http://www.slis.keio.ac.jp/~ueda/eba/5/event070728_5.html, (参照 2008-08-01).
(5) [シンポジウム]戦後公共図書館実践の再検証: 日本図書館文化史研究会2004年度研究集会・総会(2004年9月11日 京都精華大学). 図書館文化史研究. 2005, (22), p. 29-72.
(6) 小川徹ほか. 公共図書館サービス・運動の歴史 1: そのルーツから戦後にかけて. 日本図書館協会, 2006, 266p., (JLA図書館実践シリーズ, 4).
(7) 小川徹ほか. 公共図書館サービス・運動の歴史 2: 戦後の出発から現在まで. 日本図書館協会, 2006, 276p., (JLA図書館実践シリーズ, 5).
(8) 山口源治郎. 『市民の図書館』の歴史的評価をめぐって: 誌上討論「現代社会において公立図書館の果たす役割は何か」を振り返る. 図書館界. 2008, 59(5), p. 308-311.
(9) 児童図書館研究会. 児童図書館のあゆみ: 児童図書館研究会50年史. 教育史料出版会, 2004, 438p.
(10) 汐﨑順子. 児童サービスの歴史: 戦後日本の公立図書館における児童サービスの発展. 創元社, 2007, 213p.
(11) 吉田右子. 1960年代から1970年代の子ども文庫運動の再検討. 日本図書館情報学会誌. 2004, 50(3), p. 103-111.
(12) 研究動向については、三浦太郎. “日本の戦後図書館史: 戦後占領期を中心に”. 図書館・情報学研究入門. 三田図書館・情報学会編. 勁草書房, 2005, p. 138-141. を参照。
(13) 中村百合子. 戦後日本における学校図書館改革の着手: 1945-47. 日本図書館情報学会誌. 2002, 48(4), p. 147-165.
(14) 中村百合子. 『学校図書館の手引』編集における日米関係者の協働. 日本図書館情報学会誌. 2004, 50(4), p. 142-158.
(15) 中村百合子. 『学校図書館の手引』にみる戦後初期の学校図書館論の形成. 日本図書館情報学会誌. 2005, 51(3), p. 105-124.
(16) 根本彰ほか. 戦後教育文化政策における図書館政策の位置づけに関する歴史的研究: 平成14 年度・15 年度科学研究費補助金 (基盤研究C(2)) 研究成果報告書. 東京大学大学院教育学研究科図書館情報学研究室. 2005, 研究課題番号14510267, 127p., (占領期図書館研究, 3).
(17) 曺在順. 1950年代韓国における図書館学教育の導入背景: 「ピーボディ・プロジェクト」の展開を中心に. 日本図書館情報学会誌. 2004, 50(2), p. 43-57.
(18) 奥泉和久ほか. 戦後復興期における上郷図書館の民主化運動をめぐって. 図書館界. 2003, 55(3), p. 158-167.
(19) 回顧録編集委員会. CIE図書館を回顧して. 2003, 44枚.
(20) 大島真理. CIE図書館の女性図書館員たち. 図書館界. 2004, 56(4), p. 224-235.
(21) 豊後レイコ. あるライブラリアンの記録: レファレンス・CIE・アメリカンセンター・司書講習. 女性図書館職研究会. 2008, 54p.
(22) 石川賀一. 戦後日本の教育改革と学校図書館の制度化: 笠原良郎氏の学校図書館運動を中心に(1). 図書館学. 2005, (86), p. 17-24.
(23) 日本図書館文化史研究会編. 図書館人物伝: 図書館を育てた20人の功績と生涯. 日外アソシエーツ, 2007, 457p., (日外選書fontana).
(24) 藤野幸雄ほか. 図書館を育てた人々: イギリス篇. 日本図書館協会, 2007, 285p., (JLA図書館実践シリーズ, 8).
(25) 鈴木宏宗. 国立国会図書館長としての金森徳次郎. 図書館文化史研究. 2004, (21), p. 57-76.
(26) ウエルトハイマー, アンドリュー. アメリカの強制収容所内での文化空間の創造: 浅野七之助とトパーズ日本語図書館1943-1945. 日本図書館情報学会誌. 2008, 54(1), p. 1-15.
(27) 津村光洋. 森清と草創期の鳥取県立鳥取図書館: 1931~1934年を中心に. 図書館文化史研究. 2007, (24), p. 75-95.
(28) 米井勝一郎. [研究ノート]華中鉄道図書館: 森清(もり・きよし)の上海時代. 図書館文化史研究. 2006, (23), p. 87-107.
(29) 福永義臣. 図書館社会教育の実践: 中田邦造の読書指導と自己教育論. 中国書店. 2006, 257p., (九州国際大学教養学会叢書, 2).
(30) 福永義臣. 乗杉嘉壽の研究: セルフ・メード・マンを中心に. 図書館学. 2007, (91), p. 20-34.
(31) 升井卓彌ほか. 西日本図書館学会セミナー(‘06.03.18): 西日本の図書館人: その群像(4) 佐野友三郎の図書館経営論:いま、我々はなにを学ぶべきか. 図書館学. 2006, (88), p. 27-61.
(32) 鞆谷純一. 三好高等女学校「婦人図書館」: 学校図書館の先覚者・高津半造. 図書館文化史研究. 2006, (23), p. 53-85.
(33) 宮崎真紀子. [研究ノート]日本最初の女性図書館学留学生. 図書館文化史研究. 2007, (24), p. 121-138.
(34) 中林隆明. [研究ノート]明治初期の図書館行政と田中不二麿: 岩倉米欧使節団との関連において. [東洋英和女学院大学]人文・社会科学論集. 2004, (22), p. 77-95.
(35) 中林隆明. [研究ノート]国立国会図書館と戦後納本制度の成立: 納本図書発足に貢献した山下信庸(やました・のぶつね 1906~1999)を中心として. [東洋英和女学院大学]人文・社会科学論集. 2007, (25), p. 141-153.
(36) 小川徹. 日本最古の図書館「書屋」について. 図書館文化史研究. 2002, (19), p. 33-45.
(37) 高倉一紀. 射和文庫の蔵書構築と納本: 近世蒐書文化論の試み(1). 図書館文化史研究. 2007, (24), p. 37-74.
(38) 高野彰. 帝国大学図書館成立の研究. ゆまに書房. 2006, 470p.
(39) 高野彰監修・編. 明治初期東京大学図書館蔵書目録. ゆまに書房. 2003, 全8巻., (書誌書目シリーズ, 64).
(40) 篠原由美子. [研究ノート]小牧共立普通図書館(長野県上田市)設立の事情とその実態. 図書館文化史研究. 2003, (20), p. 79-107.
(41) 小黒浩司. 「優良図書館」の誕生: 長野県下伊那郡千代村立千代図書館の歴史. 図書館界. 2004, 55(5), p. 234-245.
(42) 藤島隆編. 北海道図書館史新聞資料集成: 明治・大正期篇. 北海道出版企画センター. 2003, 364p.
(43) 坂本龍三. 小特集, 北海道における教育会図書館: 空知教育会図書館: その歴史と活動について. 北の文庫. 2004, (37), p. 1-16.
(44) 高梨章. ライヴァルは百貨店: 1912年の図書館. 図書館文化史研究. 2004, (21), p. 27-56.
(45) 高梨章. [研究ノート]呼物はロダン: 美術の中の京都図書館. 図書館文化史研究. 2007, (24), p. 139-167.
(46) 宮崎真紀子. 戦前期の図書館における婦人室について: 読書する女性を図書館はどう迎えたか. 図書館界. 2001, 53(4), p. 434-441.
(47) 鞆谷純一. 満鉄図書館と大佐三四五. 日本大学大学院総合社会情報研究科紀要. 2005, (5), p. 88-99.
http://atlantic2.gssc.nihon-u.ac.jp/kiyou/pdf05/5-88-99-tomotani.pdf, (参照 2008-08-01).
(48) 鞆谷純一. 日中戦争下・北京における抗日図書の接収: 中華民国新民会の活動を中心に. 図書館界. 2006, 57(5), p. 312-322.
(49) 鞆谷純一. [研究ノート]満洲開拓地読書運動: 中田邦造を中心に. 図書館文化史研究. 2007, (24), p. 97-119.
(50) 鞆谷純一. 東京帝国大学附属図書館の略奪図書: 中華民国新民会所管資料の搬入と返還. 図書館界. 2008, 60(1), p. 2-12.
(51) 小黒浩司. 満鉄児童読物研究会の活動: 満鉄学校図書館史の一断面. 図書館界. 2005, 57(1), p. 2-12.
(52) 加藤一夫ほか. 日本の植民地図書館: アジアにおける日本近代図書館史. 社会評論社. 2005, 404p.
(53) 東條文規. 図書館の政治学. 青弓社. 2006, 250p., (青弓社ライブラリー, 44).
(54) 岡村敬二. 「満洲国」資料集積機関概観. 不二出版. 2004, 256p.
(55) 和田敦彦. 書物の日米関係: リテラシー史に向けて. 新曜社. 2007, 406p.
(56) 平田満子ほか. [第45回研究大会グループ研究発表]大阪における児童図書館サービスの史的概観の試み. 図書館界. 2004, 56(2), p. 128-137.
(57) 野口武悟. 盲学校図書館における地域の視覚障害者に対する図書館サービスの構想と展開: 学校図書館法成立前後から1960年代の検討を通して. 日本図書館情報学会誌. 2003, 49(4), p. 156-171.
(58) 野口武悟. 川本宇之介の盲唖学校図書館に関する理論と実践. 学校図書館学研究. 2005, (7), p. 17-26.
(59) 野口武悟ほか. わが国の聾学校における学校図書館の導入とその背景: 1920年代~1950年代を中心に. 心身障害学研究. 2005, (29), p. 35-49.
(60) 野口武悟. 戦前期日本における障害者サービスの展開: 障害者自身の図書館サービスをめぐる運動と実践を中心に. 図書館文化史研究. 2005, (22), p. 73-91.
(61) 川崎良孝. アラバマ州公立図書館サービス部長エミリー・リードをめぐる黒人問題(1959年). 図書館文化史研究. 2002, (19), p. 85-109.
(62) 川崎良孝. 黒人への公立図書館サービスの転機:『公立図書館へのアクセス』(1963年)の意義(1). 図書館界. 2006, 57(5), p. 294-310.
(63) 川崎良孝. 黒人への公立図書館サービスの転機:『公立図書館へのアクセス』(1963年)の意義(2). 図書館界. 2006, 57(6), p. 358-372.
(64) 川崎良孝. アメリカ公立図書館・人種隔離・アメリカ図書館協会: 理念と現実との確執. 京都大学図書館情報学研究会, 日本図書館協会(発売). 2006, 397p.
(65) 吉田右子. メディアとしての図書館: アメリカ公共図書館論の展開. 日本図書館協会. 2004, 400p.
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(71) 畑田秀将. 日本におけるアメリカ図書館史研究の動向と課題: 公立図書館と学校図書館の成立過程. 図書館学. 2004, (85), p. 45-52.
(72) 河井弘志. ヴァイマール時代の教養図書館: Gottlieb Fritzの公共図書館思想. 図書館文化史研究. 2002, (19), p. 47-83.
(73) 河井弘志. J. テーフスの民衆図書館論: 民衆教育と社会民主主義のあいだの思想. 日本図書館情報学会誌. 2002, 47(3), p. 97-112.
(74) 赤星隆子. フランス近代図書館の成立. 理想社. 2002, 245p.
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三浦太郎. 研究文献レビュー:図書館史. カレントアウェアネス. 2008, (297), p.14-19.
http://current.ndl.go.jp/ca1673