CA1337 - 電子出版物の全国書誌への採録状況 / 樋山千冬

カレントアウェアネス
No.252 2000.08.20


CA1337

電子出版物の全国書誌への採録状況

電子出版物(パッケージ系および通信系をともに含む)を全国書誌に収録している全国書誌作成機関は世界に何機関あるか。1998年春,米国議会図書館のバイラム(John D.Byrum)らが国立図書館長会議(CDNL)のメンバーを対象に実施した調査によると,回答を寄せた59か国61機関の全国書誌作成機関のうち,34か国が少なくとも1種類の電子出版物を書誌作成の対象としているという。

調査の目的は,電子出版物の全国書誌への採録状況を知るだけでなく,電子出版物に適用されている目録規則を明らかにし,また,特にインターネットにみられるようなリモートアクセス情報資源に固有の問題にいかに対処しているかを明らかにすることにあった。調査は1998年5月〜6月に実施された。回答館を地域別に見ると,北米2,中南米6,西欧20,東欧13,中東2,アフリカ9,アジア・太平洋9と,世界中に渡っている。日本からは国立国会図書館が回答した。

採録対象資料

電子出版物を採録している機関数を媒体別でみると,光ディスク29,ディスク(ディスケット)30,磁気テープ9,リモートアクセス情報資源17,インタラクティブマルチメディア21である。これらの媒体を全国書誌に収録しはじめた時期は.おおよそのところで,磁気テープがもっとも早くて1980年代,光ディスク・ディスクが1980年代末,リモートアクセス情報資源およびインタラクティブマルチメディア資料が1990年代半ばである。現在の全国書誌最新号(調査当時)への平均的な採録数は,光ディスクが300,ディスクが100,磁気テープが100以下,リモートアクセス情報資源が100〜200,インタラクティブマルチメディア100〜300といったところである。また,資料の出版形態別にみた機関数は,逐次刊行物(雑誌)27,テキスト(図書)32,データベース27,掲示板及びディスカッションリスト2,デジタル複製物10,オンラインサービス6,ウェブサイト5,プログラム(ワープロ,ゲームなど)16である。

電子出版物の収集方法は購入19,寄贈・交換20,法定納本28となっている。法定納本の対象が電子出版物に拡大されたのは近年のことであり,現在法令の改正を検討中の機関もいくつかある。また,パッケージ系資料のみを法定納本の対象にしているところもいくつかある。法令に従って納本されるのではなく出版者との交渉を経て自発的に納本される事例や,書誌的記録の作成が終了した後に出版者に資料を返還する事例も報告されている。

すでに電子出版物を採録している機関の中で,採録対象を拡大するつもりであると回答した機関は28あり,リモートアクセス情報資源とDVDがその候補としてよく挙げられていた。また,電子出版物を採録していないと回答した機関のうち,将来は何らかのことをする意向だと回答した機関が22あった。

目録規則

目録規則としては24機関がAACR2を適用していると回答した。自国独自の規則をISBD(ER)などにより改訂し,電子出版物に関する規定を組み込んだ機関もある。
書誌事項を記述するために必要な情報を得る手段についてみると,資料自体から得られる情報とした機関が31,出版者の提供する情報は25,インターネット12,資料作成者によるダブリンコアメタデータ5となっている。また,電子出版物が「本の形を取っていない」ことを示す方法としては,一般資料表示に記述する機関が25,特定資料表示26,注記20となっている。全国書誌を機械可読形式で提供している国では,21機関がコードまたはタグを付与していた。

リモートアクセス情報資源の処理

リモートアクセス情報資源を採録対象としている機関は,資料のもつ流動性に対処しなければならない。この調査によれば,書誌記述のための主要な情報源,発行地及び日付,PDF,HTMLといったフォーマットに依存する部分,固有のタイトル,版ないしバージョン,巻号,創刊日・終刊日,といった要素をいかに扱うかといった問題に直面しているという。URLは変わりやすいため,書誌データとしては信頼性に乏しいにもかかわらず,リモートアクセス情報資源を記述する場合に必要だと回答している機関が多い。全国書誌をWWWで提供している機関の中には,書誌レコード中のURLによって電子出版物に直接リンクをはっているところもある。しかし,URL情報を定期的にチェックしている機関はごく少数で,他は出版者や利用者からの通報に応じて訂正を出す,何らかの対策を検討するとの回答にとどまっていた。

なお,米国ウースター大学のベル(Barbara L.Bell)が1997年にまとめた世界各国の全国書誌に関する調査でも,全国書誌の採録対象にCD-ROMをはじめとする電子出版物を含めている国があることが明らかになっている。

樋山 千冬(ひやまちふゆ)

Ref: Byrum,John D.Inclusion of information covering electronic resources in national  bibliographies:results of survey conducted May-June 1998. Conference Proceedings of 65th IFLA Council and General Conference, Bangkok, 1999-08. [http://www.ifla.org/IV/ifla65/papers/124-153e.htm](1ast access 2000.7.7)
Bell,Barbara L.An Annotated Guide to Current National Bibliographies. 2nd rev. ed. K.G.Saur,1998.487p