E884 – 韓国,2009年度の図書館政策の施行計画を発表

カレントアウェアネス-E

No.143 2009.02.04

 

 E884

韓国,2009年度の図書館政策の施行計画を発表

 

 韓国の図書館情報政策委員会は2009年1月6日,国家レベルの図書館振興のビジョンと戦略を示す「図書館発展総合計画(2009~2013)」(2008年8月正式発表;E797参照)に基づく2009年度の図書館政策の施行計画を発表した。

 これは,「図書館発展総合計画(2009~2013)」で提示された71の政策課題を受けて,国の25の行政機関,全国16の特別市・広域市・道が策定・提出した計画案を,図書館情報政策委員会が審議・調整して最終化したものである。多くの具体的な計画が挙がっているが,その主要なものは以下のとおりである。

  • 2009年に全国で公共図書館を63館,生活密着型の小規模読書施設「小さな図書館」を119館,造成・拡充する。
  • 地域の総合的な図書館政策の策定・施行や,地域内のすべての図書館の相互協力体系を構築・調整といった役割を担う「地域代表図書館」を8つの市・道で新設または新規に指定し,合計12館とする。
  • 全国の公共図書館全体の蔵書数を2009年に510万冊増やし,合計6,000万冊とする。そして2013年までに,人口1人あたりの蔵書数を1.6冊と先進国のレベルにまで引き上げる。
  • 学校図書館活性化のため,2009年に400館をリモデリングするとともに,児童・生徒1人あたりの蔵書数を12.5冊に引き上げる。そして2013年には1人あたり16冊とする。
  • 障害者向け図書館サービスを活性化するために,2009年に1,300点の障害者向け代替資料を製作するとともに,全国に5か所,障害者向け情報資料室を公共図書館内に設置・運営できるよう支援する。そして2013年には,40か所設置する。
  • 大学図書館による学術情報支援を拡充するために,海外の学術データベースのナショナルライセンスを14データベース分確保する。そして2013年には40データベース分に増やす。また2009年には分野別の外国学術誌支援センターを1か所設置・運営する。

 このほか,公共図書館の開館時間延長支援,読書文化プログラムの活性化,兵営図書館や刑務所図書館のサービス改善,大学図書館振興法の制定の推進,韓国教育学術情報院(KERIS)と日本の国立情報学研究所(NII)間の学術支援連携サービスの提供,司書資格制度の改善,現職司書の再教育,公共図書館の司書職比率の漸進的拡大,ユビキタス図書館の具現化,グローバル図書館情報サービスの具現化などにも触れられている。国の図書館に関する計画としては,主題分野別の国家専門図書館(科学技術,農学)建設に向けた研究,行政機関の資料室の専門図書館化の推進が挙がっている。国立中央図書館については,蔵書拡充,国際図書館連盟資料保存コア活動(IFLA/PAC)韓国センター(注:未設置)の運営,協力型デジタルレファレンスサービス(CDRS;E626参照)の参加館拡大が,国会図書館については,議員向け電子図書館サービスの拡大,電子情報交流協力事業の拡大など,立法活動支援の強化計画が挙がっている。

 本計画のキャッチコピーは「知識基盤社会のソフトパワーの求心点,「図書館先進化」が本格始動」である。この計画が着実に施行・推進され,コピーが示す「図書館先進化」が実現されることが期待される。

Ref:
http://www.mcst.go.kr/web/deptCourt/dept/library/libMinWeb/notifyCourt/notice/noticeView.jsp?pMenuCD=5004010000&pSeq=99
http://www.munhwa.com/news/view.html?no=20090108010324300740020
CA1578
E626
E797