E692 – 利用者向けコンピュータ事業の運営・維持管理に必要な能力とは?

カレントアウェアネス-E

No.113 2007.09.12

 

 E692

利用者向けコンピュータ事業の運営・維持管理に必要な能力とは?

 

 2007年5月,OCLCが運営している図書館職員向けオンライン学習コミュニティ“Web Junction”(E557E644参照)が,図書館において,利用者向けのコンピュータ事業を運営・維持管理していくうえで必要とされる能力をリストアップし,刊行した。こうした能力を定義することで,図書館員が各々に足りないスキルを認識し,能力を獲得するための学習機会につなげることが目的である。

 Web Junctionは能力を,次の3つのセクションに分類している。(1)「利用者支援のためのテクノロジー能力」は,公共のコンピュータを使用している利用者を,現場で直接支援するために必要となる能力,(2)「システム管理者のためのテクノロジー能力」は,コンピュータネットワークを構築し維持・管理するための能力,そして(3)「マネジメント能力」は,コンピュータ事業の運営に関する基本計画の策定,必要な資金の調達,広報活動などを行う能力である。さらに各セクションでは,3つの能力をそれぞれ構成している,より具体的な能力と,それが身に付いているかの指標となる知識・スキルを網羅的にリストアップしている。例えば(1)では,「インターネットとWWWの理解」・「URLの扱い方の理解」という能力に対し,それを実証するための指標として「WWWの歴史や発展についてよく知っている」・「利用可能なブラウザの種類とその使用方法を知っている」・「URLの構成パートを見分けられる」・「URLをコピー&ペーストしてブラウザに入力できる」・「必要な情報だけをウェブサイトからプリントアウトできる」など全部で9つの具体的な知識とスキルを挙げている。

 現代の図書館サービスでは,あらゆる段階でコンピュータに関するスキルと知識が要求されている。とりわけ利用者向けコンピュータ事業に関して,利用者のニーズと新しいテクノロジーに遅れずに対応する能力と事業を確実に遂行していく能力が,図書館員には期待されている。

Ref:
http://www.webjunction.org/do/DisplayContent?id=15659
http://data.webjunction.org/wj/documents/16963.pdf
E557
E644