E660 – 知的財産推進計画2007

カレントアウェアネス-E

No.108 2007.06.13

 

 E660

知的財産推進計画2007

 

 2003年から内閣に設置されている知的財産戦略本部が,2007年5月31日に開催された第17回会合で「知的財産推進計画2007」を決定した。

 「知的財産推進計画2007」では,知的財産創造の活性化,適切な保護,有効な活用,の好循環が自立的に起こる経済社会を目指すべき「知財立国」であると定義する。その上で基本的な考え方として,2006年に決定した「知的財産基本法の施行の状況及び今後の方針について」に盛り込まれた「重点項目の1つである「国際的な展開」をこれまで以上に意識し,我が国が世界に開かれた最先端の知財立国になるために,施策の一層の絞り込みと深掘りを行」い,「また,これまでに改革が実現した知財に係る制度や体制を的確に運用するとともに,新たな課題に機敏に対応することにより,具体的な成果を上げることを主眼」(「知的財産推進計画2007」5頁,以下頁数は同様)としている。

 計画は,(1)知的財産の創造,(2)知的財産の保護,(3)知的財産の活用,(4)コンテンツをいかした文化国家づくり,(5)人材の育成と国民意識の向上,の5章で構成されている。具体的に提言されている施策は多岐に及ぶが,過去の同様の計画に比べ,図書館に関わりの深いテーマが取り上げられている。図書館や著作権法に関係が深い施策では,たとえば, 

  • 著作権法における親告罪の見直し(63-64頁)
  • デジタルコンテンツの流通を促進する法制度等の整備(89-90頁)
  • 権利者不明の場合におけるコンテンツの流通促進(90-91頁)
  • 権利者の利益と公共の利益に留意した権利制限規定の整備(91-92頁)
  • ネット検索サービス等に関する課題の解決(94-95頁)
  • 著作物のアーカイブ化の促進とその活用(95頁)
  • インターネット上でのコンテンツの新たな創作・発信の促進(95-96頁)

などが取り上げられている。なお著作権保護期間の在り方については,「保護と利用のバランスに留意した検討を行い,2007年度中に一定の結論を得る」(94頁)としている。

Ref:
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/070531keikaku.pdf
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/index.html