カレントアウェアネス-E
No.36 2004.05.19
E196
オープンアクセス雑誌のインパクトと費用分析
トムソンISI社は4月,2002 Journal Citation Reportsに採録されている自然科学系のオープンアクセス雑誌148誌を対象とした調査結果「オープンアクセス雑誌のインパクト」を発表した。この調査は,インパクトファクター(IF)を用いて,オープンアクセス雑誌(注)が研究コミュニティに与えている影響を評価したもので,それによると,オープンアクセス雑誌と従来の出版モデルによる雑誌との間でIF値に大きな差異はなく,現在までのところ,雑誌の出版モデルの違いが雑誌論文の引用に影響を与えているという事実は見当たらないとされている。
一方,英国のウェルカム財団(Wellcome Trust)は,従来の学術雑誌出版モデルとオープンアクセスモデルの費用分析を行い,その経済性を比較した調査報告書『科学研究出版の費用とビジネスモデル』を4月29日のプレスリリースで発表した。同報告書によると,オープンアクセスモデルは従来の学術雑誌出版モデルに比較して3割近く出版費用が低く,経済的に持続可能なモデルであると評価されている。
また,Library Journal誌は例年実施している逐次刊行物の価格調査の結果を4月15日号で発表したが,学術雑誌出版をめぐるこの一年間の動向が簡潔にまとめられており,興味深い内容となっている。
(注)著者または財団・基金・研究機関等が出版費用を負担するため,読者は購読料を負担することなく,インターネットを通じて無料で利用できるという出版モデルを用いて刊行される雑誌。
Ref:
http://www.nature.com/nature/focus/accessdebate/19.html
http://www.biomedcentral.com/news/20040427/05/
http://www.wellcome.ac.uk/en/1/awtprerel0404n318.html
http://www.libraryjournal.com/article/CA408358