E1894 - CiNii Booksの本文アクセス強化

カレントアウェアネス-E

No.321 2017.03.09

 

 E1894

CiNii Booksの本文アクセス強化

 

    2012年以来,毎年実施しているCiNii利用者アンケートにおいて,必ず「CiNii Booksを利用いただく上で不満な点について教えてください。」という問いを設けている。2016年実施分も含めた5年間,常に利用者の関心が最も高いのは「本文へのリンク」であった。本稿では,CiNii Booksにおける本文へのアクセス強化について,サービス誕生からの道のりを振り返りつつ,以下に述べたい。

●CiNii Booksへの期待

    CiNii Booksは,国立情報学研究所(NII)が運用する目録所在情報サービス(NACSIS-CAT)に蓄積された,全国の大学図書館等の書誌・所蔵情報の検索サービスとして2011年11月に誕生した。

    前身であるWebcatにはなかった機能を盛り込み公開したが,資料の電子化またはボーンデジタル資料の公開が進み,媒体の区別なく検索可能な商用サービスが出現する中で,紙媒体の書誌・所蔵情報を主たる対象とした検索サービスであるCiNii Booksに対して,冒頭のような期待が高まるのは当然のことと言える。

●本文アクセスの強化

・ERDB-JP,NII-ELS,J-STAGE
    2014年11月,CiNii Booksの検索結果詳細画面に,ERDB-JPプロトタイプ(E1678参照),NII-ELS,J-STAGEの各サービスが提供する電子媒体の本文URLへのリンクボタンを追加した。CiNii Booksとの照合キーには,NACSIS-CATの書誌IDであるNCIDまたはISSNを使用している。

・全国遺跡報告総覧
    2015年6月に公開された全国遺跡報告総覧(E1700参照)は,NIIの最先端学術情報基盤(CSI)整備事業の委託事業として2008年度から2012年度にかけて構築された「全国遺跡資料リポジトリ」に遡ることができる。全国遺跡報告総覧への移行の際,NCIDが付与されていなかった登録データへのNCIDの付与が実施された。

    これを受け,2016年3月,学術機関リポジトリデータベース(IRDB)を経由してOAI-PMHでデータを取得し,NCIDを照合キーにしてデータ連携を実現する改修をCiNii Booksに施し,連携を実現した。

・HathiTrust Digital Library,国立国会図書館デジタルコレクション
    全国遺跡報告総覧との連携時の改修によって,図書・雑誌のタイトル単位ではなく,出版物1点1点についてのリンク表示が可能になった。かねてより北米の大学図書館に勤務する日本研究司書からリクエストが多く,NIIが開催した2013年度学術情報システム総合ワークショップの成果として連携の効果が明らかになっていたHathiTrust Digital Library(CA1760参照)と国立国会図書館デジタルコレクションが,2016年11月からの連携対象となった。

    両サービスの照合キーは,ISSN/ISBNのほか,HathiTrust Digital Libraryに対してはNACSIS-CATにおいてUSMARC由来の書誌データに保持している米国議会図書館管理番号(LCCN)を,国立国会図書館デジタルコレクションに対しては,同様にNACSIS-CATがJAPAN/MARC由来の書誌データに保持している全国書誌番号(JPNO)を使用している。

●IDでつながるサービス

  2015年4月で,NACSIS-CATはサービス運用開始から30年が経過した。NACSIS-CATを利用する目録担当者にとっては,一連の連携において照合キーとして使用している各種IDのうち,特にLCCNとJPNOについては書誌作成時に意識して付与したものではないIDであり,これらがどのように活用されるのか,ということについては考慮の外にあったのではないだろうか。しかし実態としてISSN/ISBNのない書誌データが多く存在する中で,LCCNやJPNOが連携時に果たす役割は大きく,従来独立して運用されていた各サービスを「つながるサービス」として発展させる一助となっている。

    2020年に向けてNACSIS-CAT再構築の検討が進む中,今後ますますIDをキーとした1対1のデータ連携が進むことが予想される。CiNii Booksでは,連携可能な周辺サービスとの調整を進めることで,引き続き利用者からの要望に応えていきたい。

                           国立情報学研究所・古橋英枝

Ref:
http://ci.nii.ac.jp/info/ja/b_result_2015.html
https://sites.google.com/site/dtk2011tokyo42/program/bunkakai#dai1
http://dx.doi.org/10.1241/johokanri.41.602
https://support.nii.ac.jp/ja/news/cinii/20141104
https://support.nii.ac.jp/ja/news/cinii/20160323
https://support.nii.ac.jp/ja/news/cinii/20161102
https://support.nii.ac.jp/ja/news/cinii/20161130
http://www.nii.ac.jp/hrd/ja/ciws/h25/curritxt.html
E1678
E1700
CA1760