E1810 - インドのオープンアクセス(OA)リポジトリ<文献紹介>

カレントアウェアネス-E

No.305 2016.06.16

 

 E1810

インドのオープンアクセス(OA)リポジトリ<文献紹介>

 

Prerna Singh. Open access repositories in India: Characteristics andfuture potential. IFLA Journal. 2016, 42(1), p. 16-24.

 インドにおけるオープンアクセス(OA)リポジトリについて調査した本文献は,まず,インドにおけるOAの歴史を解説する。その上で,OAリポジトリに関する各種データをもとにインドのOAリポジトリについて分析し,その特徴を明らかにしている。

◯インドにおけるOAの歴史

 インドにおけるOAは,1998年,物理学のOAジャーナル“Pramana”が創刊したことに始まる。インド国内初の機関リポジトリは,2002年にT.B. Rajasekhar氏によって開設されたEprints@IIScCA1682参照)であり,その後多くの政府機関や大学がリポジトリを開発した。2006年には国家知識委員会(National Knowledge Commission:NKC)がOAの採用を推奨し,国立科学コミュニケーション情報資源研究所(National Institute of Science Communication and Information Resources:NISCAIR)が,発行する雑誌全17タイトルをOAとした。2009年2月には,科学工業研究委員会(Council of Scientific & Industrial Research:CSIR)が,所管する37の研究機関にOAリポジトリの開設を勧告した。

 インド政府は,2014年にOAポリシーを承認し,公的資金の助成を受けた研究の成果を,インドの法律や助成機関の知的財産ポリシーに従いできる限り速やかに公開することを義務化した。これはインドのOAの動向において特筆すべきものである。

◯インドのOAリポジトリの特徴

 2015年1月時点での,OAリポジトリのレジストリOpenDOAR(Directory of Open Access Repositories)に登録されているインドのOAリポジトリ68件のデータと,世界のリポジトリのランキングRanking Web of Repositoriesのデータをもとに,インドのOAリポジトリについて分析し,その特徴を明らかにする。

 インドのOAリポジトリ数は,2007年の16件から着実に増加してきた。アジアにおいては,インドの68件は日本の145件に次ぐ数であり,台湾の58件,トルコの45件,中国の39件,インドネシアの38件がそれに続く。

 リポジトリの種類は,機関リポジトリが69%(47件)を占め,その他は,分野別リポジトリ7%(5件)などとなっている。リポジトリによく使用されているソフトは,DSpace(62%)とEprints(29%)である。

 コンテンツ数は,インド学士院(Indian Academy of Sciences)のリポジトリが約9万2,000件で最も多く,インド科学大学(Indian Institute of Science:IISc)のリポジトリの約3万9,000件がそれに続く。ただし,コンテンツ数が1,000件未満のリポジトリと,1,000件以上1万件未満のリポジトリが,それぞれ40%弱を占める。

 主題については,特定主題に限定されないリポジトリが43%(29件)を占める。

 コンテンツの種類については,雑誌記事が74%(50件),学位論文が50%(34件),会議資料が44%(30件)のリポジトリで収録されている。

 言語については,76%(52件)のリポジトリが英語のコンテンツのみを,2%(1件)がマラーティー語のコンテンツのみを収録しており,その他22%(15件)のリポジトリは複数の言語のコンテンツで構成されている。

 ポリシーについては,メタデータ・データ・コンテンツ種別・登録・保存などに関してポリシーを明示しているリポジトリは,12%(8件)に過ぎない。

 OAI-PMHは,53%(36件)のリポジトリが準拠している。

 Ranking Web of Repositoriesには世界のリポジトリ2,154件が挙がっており,そのうちインドのリポジトリは35件である。これは,OpenDOAR収録のインドのリポジトリ68件のうち33件はRanking Web of Repositoriesに挙がっていないことを示している。

 著者は,インドの大学・研究図書館は「OAリポジトリの道」(the path of open access repositories)を足早に歩んでいる,と結んでいる。アジアにおいて日本に次ぐ数を誇るインドのOAリポジトリの動向は,今後も注視すべきだろう。

関西館図書館協力課・阿部健太郎

Ref:
http://www.ifla.org/node/10259
http://doi.org/10.1177/0340035215610131
http://www.ias.ac.in/pramana/
http://eprints.iisc.ernet.in/
https://jipsti.jst.go.jp/johokanri/sti_updates/?id=1271
http://www.dst.gov.in/sites/default/files/APPROVED%20OPEN%20ACCESS%20POLICY-DBT%26DST%2812.12.2014%29_1.pdf
http://www.opendoar.org/
http://www.ias.ac.in/http://www.iisc.ernet.in/
http://repositories.webometrics.info/
CA1682