E1616 – 公共図書館カードの所有率と図書館満足度(米国)

カレントアウェアネス-E

No.268 2014.10.09

 

 E1616

公共図書館カードの所有率と図書館満足度(米国)

 

 米国では,毎年9月を図書館利用カード作成推進月間(Library Card  Sign-Up Month)とし,子どもたちや保護者に図書館カードを所有することの重要性を伝えるキャンペーンが,米国図書館協会(ALA)と図書館により行われている。2014年9月24日,この図書館利用推進月間にあわせて,米国の調査会社であるHarris Interactive社が,米国内の18歳以上を対象として行った公共図書館に関するオンライン調査の結果を公表した。調査は2014年7月16日から21日にかけて実施され,回答数は2,306であった。

 調査結果によると,回答者の図書館カードの所有割合は64%で,前回の2008年調査(E842参照)の数値である68%から4%下がった。しかし,公共図書館に非常に満足している,あるいはとても満足しているとした回答者の割合は,全体の66%と,2008年調査の結果である59%よりも7%増加したまた,図書館カードを所有している回答者は,所有していない回答者よりも,図書館に満足していると答える割合が高かった(78%対44%)。属性別にみると,女性の方が男性よりも図書館カードを所有する割合が高く(71%対57%),また,学歴が高い回答者ほど,図書館カードの所有割合が高くなり,そのうち大学院修了者の所有割合は79%と最も高いことがわかった。

 調査では子どもが図書館カードを所有することの重要性についても質問している。子どもの図書館カード所有に関して,89%の回答者がとても重要である,あるいはやや重要であると考えていることがわかった。このうち,とても重要であると回答した割合は,女性の方が男性よりも高く(61%対49%),学歴でみると大学院修了者が71%と最も高く,また,図書館カード所有者の方が非所有者よりも高かった(68%対33%)。

 図書館の利用頻度に関しては,図書館カード所有者のうち過去1年以内に図書館を利用しているとした回答者は78%であった。そのうち28%が1年間に1~5回,15%が6~10回,17%が11~25回,18%が26回以上利用している  と回答した。18歳未満の子どもを持つ回答者の61%は過去1年以内に図書館を利用しており,この数値は18歳以上の子どもを持つ回答者や,子どもを持たない回答者と比べて,最も高いことがわかった。

 図書館の利用目的に関する複数選択形式の設問については,冊子体の図書の貸出が56%と最も多く選ばれた。次いでDVD・ビデオの貸出が24%,デジタルコンテンツの利用が15%であった。女性は男性よりも電子書籍の利用と子ども向けのお話し会の利用が多く,男性は女性よりもCD等の音楽や参考資料,電子メールを利用するとの回答が多かった。

 図書館の機能として,89%の回答者が,図書館が有益な学習資源となることが重要であると感じていることがわかった。同時に,77%の回答者が図書館がコミュニティの中心的存在となることが重要であるとし,73%がコミュニティセンターとしての機能を,70%が文化センターとしての機能を重要である等と回答した。

 今回の調査により,米国における利用者の図書館に対する満足度や利用頻度,利用内容について,その傾向の一端が明らかとなった。過去の調査結果と比較することによって,利用者の変化を知る上でも,興味深いものである。

関西館図書館協力課・安原通代

Ref:
http://www.ala.org/news/mediapresscenter/factsheets/librarycardsign
http://www.ala.org/conferencesevents/celebrationweeks/card
http://www.harrisinteractive.com/NewsRoom/HarrisPolls/tabid/447/ctl/ReadCustom%20Default/mid/1508/ArticleId/1501/Default.aspx
E842