E1279 - 東日本大震災の記録と記憶を未来へ伝えるデジタルアーカイブ

カレントアウェアネス-E

No.213 2012.04.12

 

 E1279

東日本大震災の記録と記憶を未来へ伝えるデジタルアーカイブ

 

 東日本大震災の記録を残すために官・民を含めて様々なデジタルアーカイブプロジェクトが実施されている(E1258E1275参照)。1995年に発生した阪神・淡路大震災の頃とは異なり,インターネットや携帯電話・デジタルカメラ等の普及によって震災を記録したデジタルデータの量が膨大となっている。これらのデータをどう集め,活用し,長期的に残していくか。この難題に取り組んでいる活動からいくつかを発表順に紹介したい。

 米ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所は,2011年3月末に「東日本大震災デジタルアーカイブ」プロジェクトを発表した。その後,以下に挙げるアーカイブを実施する諸機関と協力したものとなった。2012年3月にはウェブサイトのアルファ版を公開し,ウェブアーカイブや震災情報レイヤー地図を掲載している。

 Yahoo! Japanは,2011年4月に「東日本大震災写真保存プロジェクト」を発表し,6月にウェブサイトを公開した。震災前後の風景や復興の様子を収めた写真が,2012年4月時点で約4万点投稿されている。投稿ガイドラインには著作権許諾に関する条項を設けており,非営利の復興支援や学術研究が目的の場合には無償で写真が利用できるようにしている。

 発災直後から「パーソンファインダー(消息情報)」等の支援活動を行っていたGoogleは,2011年5月に「未来へのキオク」プロジェクトを開始した。投稿された写真・動画は2012年4月時点で約5.2万点である。投稿者にはコンテンツの再利用のためにクリエイティブコモンズライセンスの採用を呼びかけている。また,2011年12月からは被災地を撮影した画像を震災前の様子とあわせてストリートビューで公開している。Yahoo! Japanのプロジェクトとも連携している。

 せんだいメディアテークは,2011年5月に「3がつ11にちをわすれないためにセンター」を開設した。市民自らが専門家やスタッフと協働して復興過程を記録・発信するというもので,センターからは「スタジオ」「放送局」等の撮影・収録環境が提供される。制作された映像・音声・写真等はセンターへの著作権移転の後にウェブサイトで公開されている。

 独立行政法人防災科学技術研究所は,2011年7月に「311まるごとアーカイブス」のウェブサイトを公開した。その名が示すように,津波映像や避難行動の写真,被災地の定点観測,行政文書,地域の復興過程,被災者からの聞き取り,ボランティア体験談等の多様な記録を収集対象としている。復興過程の撮影や聞き取り等を行うボランティアを募集しているのも特徴的である。また,アーカイブの活用例として,地域の防災体制の見直しや災害時の行動の検証等を挙げている。

 東北大学防災科学研究拠点は,2011年9月「みちのく震録伝」を発表した。学術的な観点から東日本大震災を含めた過去・未来の災害に関するあらゆる記憶・記録等を収集するプロジェクトで,地震・津波の防災・減災研究への貢献や,災害アーカイブのグローバルスタンダードとなること等が目的とされている。産官学の80以上の機関が賛同・協力しており,システムやコンテンツが提供されている。

 NHKは,被災者の証言を中心に震災に関わる映像を掲載した「NHK東日本大震災アーカイブズ」のウェブサイトを2012年3月に公開した。

 国立国会図書館(NDL)は,2012年3月に「東日本大震災デジタルアーカイブ構築プロジェクト」のウェブページを公開した。震災の記録を国として収集・保存・提供することを目指し,それらの記録を一元的に検索できるポータルを構築するとともに長期保存にも取り組むというプロジェクトであり,総務省「東日本大震災アーカイブ」基盤構築プロジェクト等の国内外のプロジェクトと連携している。2012年度にシステムの開発を行う予定である。

(関西館図書館協力課・林豊)

Ref:
http://www.jdarchive.org/
http://archive.shinsai.yahoo.co.jp/
http://www.miraikioku.com/
http://311archives.jp/
http://recorder311.smt.jp/
http://www.dcrc.tohoku.ac.jp/archive/
http://www9.nhk.or.jp/311shogen/
http://www.ndl.go.jp/jp/311earthquake/disaster_archives/index.html
http://www.dcrc.tohoku.ac.jp/archive/docs/symposium20120111/20120111_02_MIC.pdf
E1258
E1275