カレントアウェアネス-E
No.204 2011.11.10
E1235
「米国デジタル公共図書館」(DPLA),初の総会を開催
2011年10月21日,米国国立公文書館(NARA)で,ハーバード大学バークマンセンターを中心に設立に向けた検討が進められている「米国デジタル公共図書館」(Digital Public Library of America:DPLA;E1105,E1164参照)の初めての総会が開催された。当日は,政府関係者や図書館員,技術者,そして学生等,300名を超す聴衆が集まったようである。DPLAのウェブサイトで公開されている資料をもとに,この総会の様子を紹介する。
9時に開始されたウェルカムイベントでは,アルフレッド・P・スローン財団とアルカディア基金から,DPLAに対して,今後2年間で合わせて500万ドルの資金提供を行うと発表された。この他,全米人文科学基金(NEH)のリーチ(James Leach)氏や博物館・図書館サービス機構(IMLS)のヒルドレス(Susan Hildreth)氏等,各政府関係機関のトップがDPLAへの支援を行うことを表明し,NARAのフェリエロ(David Ferriero)館長はNARAの全資料をデジタル化して世界中で利用できるようにするとの意気込みを語り,会場は拍手に包まれた。
欧州文化遺産ポータルサイト“Europeana”を提供するEuropeana財団のカズンズ(Jill Cousins)氏は,米国と欧州の図書館・博物館・文書館の間でのデータの相互運用性を高めるために,EuropeanaとDPLAとの間で協力関係を構築すると発表した。また,カズンズ氏は,「EuropeanaとDPLAは世界中のパートナーとのグローバルな関係の構築促進を願っている」とコメントした。さらに,この協力関係に基づき,EuropeanaとDPLAは欧州から新大陸への移民をテーマにしたバーチャル展示を行うとも発表している。その後,米国図書館協会(ALA)次期会長のサリバン(Maureen Sullivan)氏の司会のもと,「DPLAに期待すること」をテーマとしたパネルディスカッションが開かれた。
昼食後は,2011年5月20日から9月1日まで募集された,DPLAに実装する機能等の企画コンペ“Beta Sprint”のプレゼンテーションが行われた。ここでは,データのビジュアル化ツールからバーチャルストーリーテリングのプロジェクト等,事前選考を経た企画案が発表された。
総会の最後に,DPLA設立に向けた課題を,「財政・ビジネスモデル」や「法的課題」といったテーマごとに検討している6つの部会のメンバーが,それぞれで取り組んでいる問題や優先事項等を報告した。その際,各部会の目標を記したミッションステートメントのドラフトも発表されている。
なお,DPLAのウェブサイトでは,当日の動画や写真,その場でテキスト中継をしていたLive Blogの記録の他,“Beta Sprint”で寄せられた全40の企画案,“Beta Sprint”のプレゼンテーションでホワイトボードに描かれた絵やSlideShareに掲載された各部会のミッションステートメントのドラフト等が公開されている。
Ref:
http://dp.la/2011/10/21/first-dpla-plenary-meeting-comes-to-a-close/
http://dp.la/2011/10/21/sloan-foundation-and-arcadia-fund-announce-funding-for-the-digital-public-library-of-america/
http://dp.la/2011/10/21/digital-public-library-of-america-and-europeana-announce-collaboration/
http://dp.la/2011/10/24/dpla-join-a-workstream/
http://dp.la/2011/10/21/dpla-plenary-meeting-livestream/
http://dp.la/2011/10/31/photos-from-the-dpla-plenary-meeting/
http://dp.la/2011/10/21/dpla-plenary-meeting-liveblog/
http://dp.la/beta-sprint-submissions/
http://dp.la/2011/10/26/graphic-notes-from-the-dpla-plenary-meeting/
E1105
E1164