カレントアウェアネス
No.239 1999.07.20
CA1266
Z39.50のJIS化
Z39.50(CA931参照)とは,情報検索の際,探索要求の発信元(クライアント)と受信側(サーバ)とのやり取りを定めた規格である。元は米国の国内規格であったが,そのままの内容で国際規格となりISO 23950が1998年に発行された。そして,今回ISO 23950の内容を変えることなく翻訳規格(用語解説T30参照)として,JIS X 0806が制定されたところである。
Z39.50の利点に,通信・データ交換等のやり取りの部分のみをZ39.50という標準規格に統一すれば,データベースや検索ソフトの部分は各々自由に開発できるという点がある。Z39.50対応であれば,様々なデータベースを同一のインターフェイスで利用できるのである。
実際,米国ではZ39.50対応のOPACが数多く見られ,検索用ソフトウェアも出回っている。複数のOPACを横断検索することによって,仮想総合目録としても利用できる。また,1997年第63回国際図書館連盟大会発表のEC Supported Z39.50 Projects(http://www.ifla.org/IV/ifla63/63pedg.htm)を見ると欧州では多くのZ39.50プロジェクトが行われていることが分かる。
しかし,残念ながらわが国では日本語環境が開発されていなかったこと等の理由からZ39.50は普及していない。こうした中においても近年Z39.50の日本語環境対応への意欲的な取組事例が見られる。図書館情報大学のZ39.50による日本語書誌データベース検索システムの開発,インテック・システム研究所のZ39.50JAPAN/MARC対応仕様への取組が挙げられよう。
今回のJIS化により,情報検索や電子図書館の分野においてZ39.50という標準技術を生かした動きがどのような幅と広がりを見せるか大いに注目したい。
高品 盛也(たかしなせいや)
Ref:情報検索(Z39.50)応用サービス定義及びプロトコル仕様 JIS X 0806:1999
特集Z39.50 情報の科学と技術 48(3) 125-180, 1998