カレントアウェアネス-E
No.126 2008.04.16
E771
LC,「新しい経験」をもたらす展示を開始
米国議会図書館(LC)は2008年4月12日,新たな展示サービス「LCの経験(Library of Congress Experience)」の提供を開始した。これは,Microsoft社とのパートナーシップにより,最新のインタラクティブな技術を駆使して,LCが所蔵する比類なき歴史・文化遺産を館内/ウェブサイトの双方で紹介するというものである。
LC館内での「経験」の展示場所は,トーマス・ジェファーソン館である。同館には数十台の展示用端末が置かれており,来館者は「知へのパスポート(Passport to Knowledge)」と題するガイドブックを渡される。これは,音声によるセルフツアーの説明を兼ねているほか,2008年の後半からは,付与されているバーコードを用いて体験型ゲーム「ナレッジクエスト」で遊んだり,展示資料のうち関心を抱いたものについて後で調べられるように,LCの展示用ウェブサイトの個人用ページにブックマークしたりすることができるという。
同館の大ホール内では,来館者がホール内の展示用端末を用いて建物内部の絵画・建築の細部を拡大して見ることができる。LCの所蔵資料の中で最も貴重なもののうちの2つ,グーテンベルグ聖書とマインツの大聖書についても,詳細に見ることができるという。大ホールに隣接するオリエンテーション・ギャラリーでは,LCの様々なイベントについての情報や,新しい「経験」の体験方法についての説明のほか,LCの蔵書やプログラムについて,創造性をかき立てるように紹介するという触れ込みのマルチメディアコンテンツ「序曲(overture)」が,ギャラリー内のマルチスクリーンで上映されている。このほか,トーマス・ジェファーソンがLC創設時に寄贈した数千冊の資料,独立宣言草案や米国合衆国憲法草案といった米国草創期の歴史的資料,また世界で初めて“America”という語が使われた刊行物である『1507年世界地図』を含む,2007年12月に行われた展示「初期アメリカ大陸の探検」の資料などが展示されている。各々,展示用端末を使って,実際の書籍を見るときのようにページを送りながら貴重な資料の中身を見たり,上下左右から立体的に見たりすることができる。
この「経験」をオンラインで展示するのが,展示用の新ウェブサイト“myLOC.gov”である。ここでは,館内の展示用端末で公開されているものと同じコンテンツに加え,展示に関係するテーマの教育用リソース(各学校年代に応じた教員用の指導プランやクロスワードパズルなど),LCに来館を希望する人向けの情報(イベント情報やグループツアーの案内など),LCの所蔵資料を元に利用者個人のヴァーチャル・コレクションを作ることができる個人用ページが提供されている。「知へのパスポート」を用いたブックマーク機能も,このmyLOC.govの個人用ページが対象である。myLOC.govではまた,全国民が物語,詩,ビデオ,音楽,写真といった自身の創作物(電子媒体に変換可能なものに限る)を,何にインスピレーションを受けて作成したかという説明文書付きで投稿できる機会を,2008年5月末から提供する予定とされている。この試み“Inspiration Across the Nation”は個人がインスピレーションを受けた経験を人々と共有するものであり,投稿されたコンテンツのうちLCが選定したものについては,LCの蔵書に加え永久保存していくという。
Ref:
http://www.loc.gov/experience/
http://myloc.gov/
http://www.loc.gov/today/pr/2008/08-053.html
http://www.loc.gov/today/pr/2008/08-009.html