E748 - 過去20年の“Librarian of the Year”が思うこと(米国)

カレントアウェアネス-E

No.122 2008.02.06

 

 E748

過去20年の“Librarian of the Year”が思うこと(米国)

 

 米国のLibrary Journal誌が毎年選定している“Librarian of the Year”が,2008年で第20回を迎えた。これを記念して,同誌がこれまでの受賞者20人にインタビューを行い,それをまとめた記事を掲載している。

 このインタビューでは,現在の職業,現在の図書館に思うこと,若き司書たちに望むことなどを尋ねている。受賞者の多くは公共図書館の司書であり,受賞したときと同じ図書館にずっと勤めている人が多いが,他の公共図書館に移動した人,またすでに図書館を退職した人もいる。退職した人の中には,一図書館利用者になった人,図書館向けコンサルタントをしている人のほかに,聖職者になった人もいる。もっとも,各々現職は異なるものの,図書館への強い思いはたとえ図書館を離れても変わっていない。ファンドレイジングやアドヴォカシー活動(CA1646参照),コミュニティとの連携や政策への関与,マーケティング,デジタル時代に対応した新しいサービス,高齢者へのサービス,米国民の基本的な権利の擁護,海外の図書館との協力活動...。図書館が取り組むべき課題について,各々が熱く語っている。また若き司書に対しては,おおむねその知識や技量を評価し,期待する声が多く寄せられているが,コミュニティとの連携,ファンドレイジング,アドヴォカシー,ホームレスといった,授業ではあまり教わらないが図書館にとって重要な問題への対応能力が必要という声もあった。

 「私たちの世代は図書館にテクノロジー,アウトリーチ,多様性(diversity),顧客サービス,マーケティングといったものを導入してきたけど,若い世代はこれから,図書館に何をもたらしてくれるかしら?」と発破をかけるコメントは,1993年の受賞者,カーゾン(Susan Curzon)氏のもの。ちなみにカーゾン氏は,1992年以来,カリフォルニア州立大学ノースリッジ校の図書館長を務めているが,同館は1994年に発生した大地震で大きな被害を受けた。カーゾン氏は同館を再建した責任者として,今も各地で災害からの復興について講演を行っているという。

 なお2008年,20人目の“Librarian of the Year”は,ニュージャージー州立図書館長のブレイク(Norma Blake)氏が受賞している。他の州政府機関を説得し,州内の全大学と350の中小企業に対して無料でビジネス・科学技術分野等の全文データベースを提供する知識情報基盤“New Jersey Knowledge Initiative(NJKI)”を構築したことや,キャラクター“Super Librarian”を用いて図書館の認知を高めるためのキャンペーンを行っていることなど,革新的なサービスへの積極的な取り組みが受賞理由に挙がっている。

Ref:
http://www.libraryjournal.com/article/CA6515855.html
http://www.libraryjournal.com/article/CA6515854.html
http://library.csun.edu/susan.curzon/
http://www.njstatelib.org/
http://www.njki.org/
http://www.njlibraries.org/
CA1646