E665 – “Evidence Base”のティーン向けサービス・ワークショップ

カレントアウェアネス-E

No.109 2007.06.27

 

 E665

“Evidence Base”のティーン向けサービス・ワークショップ

 

 英国バーミンガム大学図書館は,2004年から“Evidence Base”というプロジェクトを実施している。これは,根拠(エビデンス)に基づいた図書館業務の設計(EBLIP;E583CA1625参照)を推進するための活動であり,

  • 実務者,研究者,政策決定者に対するエビデンスの生成や利用の広報
  • 調査や評価の成果物の効果的な利用の促進
  • 研究結果を読み取ることへの支援
  • 研究者コミュニティの外への研究成果の公開
  • 開発や研究のための助成金を得るための支援

を目的として,エビデンスの収集・共有をはじめ,会議・ワークショップの開催,コンサルティングの実施,各館種ごとの調査研究・評価・エビデンス蓄積の実態調査などを行っている。

 このバーミンガム大学図書館が2007年5月,ティーンエイジャー向けの図書館サービスのエビデンスを共有することを目的としたワークショップを開催した。このワークショップでは,

  • ティーンエイジャーに研究者としてのトレーニングを施す。
  • 特定の主題の図書をティーンエイジャーに選書してもらう。また,その主題に関するリーフレットやしおりを作ってもらう。
  • ティーンエイジャーに図書館サービスをデザインしてもらう。

など,ティーンエイジャーを取り込んだ図書館サービスに関して,あわせて7つの図書館から事例報告がなされた。これらの報告では,各々のプロジェクトの背景や目的,そのプロジェクトを選択した理由,かかった費用,プロジェクトの進め方,成果と課題,今後の展望など,プロジェクトの企画・運営・管理に関する事項がわかりやすく紹介された。また最後に,全国青少年機関(National Youth Agency)から,図書館サービスにティーンエイジャーを取り込み,その声を反映していくことの意義について総括が行われた。

 このワークショップは,単なる事例紹介にとどまらず,次に同様のプロジェクトを行おうとする人が参照し,参考にできるような情報が盛り込まれており,ティーンエイジャー向け図書館サービスの優良事例を学びつつ,エビデンスとして蓄積・共有することの意義も実感できるものとなっている。

 なお“Evidence Base”では,同様のワークショップや会議を,読書と健康,図書館の評価など他のテーマでも開催しており,発表資料も公開している。

Ref:
http://www.ebase.uce.ac.uk/events/engaging-teenagers-programme.html
http://www.ebase.uce.ac.uk/publications.htm
http://www.ebase.uce.ac.uk/
E583
CA1625