カレントアウェアネス-E
No.91 2006.09.20
E545
アジアにおける資料保存―国際図書館連盟(IFLA)大会プレコンファレンス<報告>
韓国ソウルでIFLAの年次大会が開催されるのに先立ち,8月16日から17日にかけて,「アジアにおける資料保存」をテーマとしたIFLAソウル大会のプレコンファレンスが国立国会図書館において開催された(主催:IFLA 資料保存分科会,IFLA アジア・オセアニア分科会,IFLA/PAC コア活動,国立国会図書館)。2日間で7本の講演が行われ,11か国から延べ397名が参加した。うち,3割弱が中国をはじめとする海外から,7割強が国内からの参加であった。
1日目は,アジアにおける資料保存の諸問題をテーマとして,主に教育及び保存協力活動の観点からの報告が行われた。地域における意識の向上と人材育成が問題解決の鍵とされ,そのための具体的な提言がなされた。長年アジアを舞台に活躍してきた専門家による,実際の活動や経験に基づく提言には,アジアの中では恵まれた状況にある日本国内の活動においても参考になる事項が多数含まれていた。
2日目は,転換点を迎えているマイクロ化と電子化がテーマであった。報告を通じて,電子化や電子情報の保存がますます重要な課題となってきているとの印象を受けた。従来,資料保存における媒体変換では,電子化は利用のためで,最終的にはマイクロで保存するというのが一般的な手法であった。しかし,技術発展やインターネットを中心とする社会状況の変化を踏まえた結果,必ずしもマイクロフィルムを最終的な保存形態としない取り組みが生まれてきているとの紹介があり,参加者の関心を集めていた。
なお講演ペーパーの全文(英語)は,IFLA/PACアジア地域センターHPより入手できる。
(資料保存課:村本聡子)
Ref:
http://www.ndl.go.jp/en/iflapac/preconference/program.html