E417 – 研究図書館の書庫スペース問題(英国)

カレントアウェアネス-E

No.72 2005.12.14

 

 E417

研究図書館の書庫スペース問題(英国)

 

 11月,『英国の研究図書館における収蔵能力とアクセスを最適化する』と題する報告書が公開された。これは,研究図書館コンソーシアム(CURL)と英国図書館(BL)の委託を受けてCHEMS Consulting社が行った調査を報告したもので,英国の研究図書館の書庫スペース問題が浮き彫りになっている。

 報告書では,約40館の大学図書館を対象に調査した結果,印刷物の増加は止まらない一方で,書庫スペースへの投資は優先度が低くなっており,このままでは2015年までにCURL参加館29館だけで約350kmもの書架スペースが不足すると指摘している。こうした課題を解決するため,報告書は使用頻度の低い雑誌の共同保存書庫の可能性を複数案検討している。その中で,最も実現可能性の高い解決策として挙がっているのは,BLの所蔵資料を核に,そこにBLの所蔵していない資料を研究図書館が送ることで全国研究リザーブ(National Research Reserve:NRR)というコレクションを形成し,研究者にはBLのILL/DDを通じてアクセスを提供するという方式である。研究情報ネットワーク(Research Information Network:RIN;注)を中心に,CURLやBLが協力してNRRを管理する方式を報告書は提言している。

 報告書の提出を受けて,CURLやBL等の関係機関は12月13日にフォーラムを開き,提言の実現性について議論を行ったところである。

(注)E231で研究図書館ネットワーク(RLN)と呼ばれている組織を改称。研究図書館と各国立図書館,学術界のネットワーク。

Ref:
http://www.curl.ac.uk/about/documents/CURL_BLStorageReportFinal-endSept2005.pdf
http://www.bl.uk/news/2005/pressrelease20051108.html
http://orweblog.oclc.org/archives/000864.html
http://www.rin.ac.uk/
E231