E357 – 韓国の公共図書館における個人情報保護

カレントアウェアネス-E

No.63 2005.08.03

 

 E357

韓国の公共図書館における個人情報保護

 

 韓国では,3月,国家人権委員会が韓国国立中央図書館および21の公共図書館に対して,個人情報保護について必要な措置を取るよう勧告する決定通知を行った。これは,2004年,一市民からの申し立てを受けて国家人権委員会が公共図書館の個人情報保護について調査を行った結果によるものである。

 この調査によって,(1)座席予約時や利用者カード作成時に住民登録番号を入力させる,(2)監視カメラに不必要な装備がある,(3)利用者用PCの画面監視等について,プライバシーおよび人権侵害の観点から問題があるとされた。これらの見直しを求めるとともに,個人情報保護に関する規則・規定等の立案および実施計画の策定・公開が勧告された。

 この勧告および行政機関の個人情報保護に関する法律(1994年制定,1999年改正)等を踏まえ,図書館政策を所管する韓国国立中央図書館(E280参照)は自館の個人情報保護指針を定めるとともに,6月,全国の公共図書館に対して個人情報保護の取り組みへの協力を要請した。加えて7月には,公共図書館の実務者向けに勧告の意図や背景,内容を説明する資料を作成し,公開した。

 韓国国立中央図書館は監視カメラの設置・運用基準,利用者カードに記録される情報の取り扱いルール等を定めるとともに,全職員を対象とした個人情報保護教育を行うとしている。また公共図書館に対しても,個人の人権保護の強化という時代の趨勢に乗り率先して勧告に従うよう求めるとともに,実務者に対し,勧告で問題とされたトピックごとに,保護しなければならない個人情報は何か,どのように保護すればよいか等を解説している。

Ref:
http://www.nl.go.kr/notice/board_notice/view.php?rnum=6&bbs=board_notice&no=93
E280