E240 – 図書館界の戦略としてのオープンアクセス

カレントアウェアネス-E

No.44 2004.09.15

 

 E240

図書館界の戦略としてのオープンアクセス

 

 英米議会による科学技術情報のオープンアクセス(OA)化勧告(E222参照)と相前後して,各地の図書館団体からOAを戦略に組み込む動きが出てきている。

 大学図書館や国立図書館等で構成されるスコットランド大学研究図書館連合(SCURL)科学情報戦略ワーキンググループは8月,「スコットランドオープンアクセス宣言」の草案を公表した。宣言案では,OAの公共性と影響力の大きさを評価し,研究助成団体は助成の条件として研究成果のOA化を設定するなどの行動を起こすこと,大学および研究機関は機関リポジトリを設置して自機関の研究成果を登録・公開するための方針を定めること,行政府はOAの利益を認識し推進する方策を取ることなどを要求している。

 一方,同じく大学図書館や国立図書館等で構成されるカナダ研究図書館協会(CARL)は6月29日,連邦研究助成審議会の1つであるカナダ社会・人文科学研究会議(SSHRC)の変革案へのコメントとして,人文・社会科学の学術情報のOA化戦略を推奨する文書を発表した。CARLはSSHRCに対して,助成した研究成果についてOAとする方針を確立すること,国内の人文・社会科学のデータを集中的に収集・保管する機関(National Data Archive)を設立すること,OAを国の方針とするよう働きかけることなどを求めている。

Ref:
http://scurl.ac.uk/WG/SSISWGOA/declaration.htm
http://www.carl-abrc.ca/projects/sshrc/transformation-brief.pdf
E222