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E1789 - LODチャレンジ2015における「参加型オープンデータ」の推進

カレントアウェアネス-E

No.302 2016.04.28

 

 E1789

LODチャレンジ2015における「参加型オープンデータ」の推進

 

 「オープンデータ」と聞くと,「国や地方公共団体等が公開する公共データ」を思い浮かべる方が多いのではないだろうか。そして,その公共データを使って民間がサービスを作り,地域の課題解決につなげる,というのが多く語られる文脈である(E1709 CA1825参照)。

 それに対し,「民間もオープンなデータづくりに取り組もう!」と呼びかけてきたのが,Linked Open Data チャレンジ Japan(LODチャレンジ)である。LODチャレンジは2011年から続くオープンデータのコンテストであり,5回目の開催となったLODチャレンジ2015では,「参加型オープンデータ」というコンセプトを掲げ,行政のみならず民間のあらゆる主体がより積極的にデータ公開に参加することを目指した。

 民間によるオープンデータ推進の意義として,データづくりの段階から市民が参加することで,より良い地域を共に創ることが可能になると考えている都市もある。例えばニューヨーク市のデータカタログ“NYC Open Data”では,市が作成したデータセットの約4倍近くが市民によって作成され,公開されている。

 また,多様な組織から多様なデータが公開されることも重要である。筆者は以前理化学研究所に所属しており,その研究現場では,実験データを単体で分析するだけでは研究は成り立たず,先行研究や他の研究チームのデータと組み合わせて分析することで初めて新たな発見が可能となった。

 そのような経験からも,多様なデータの公開が,より多くの組み合わせを可能にし,世の中に新たな価値を生み出すという確信があり,事務局長である筆者はLODチャレンジにおいても「参加型オープンデータ」を推進したいと考えた。

 そのために2015年度は,新たに以下の施策を打ち出した。

●スポンサー共催イベントの開催

 LODチャレンジは特定の財源を持たず,スポンサーからの協賛金で運営してきた。スポンサーのメリットがより大きくなるように,2015年度からプラチナスポンサー(協賛金:30万円)の希望に沿った共催イベントを企画するという特典を設けた。

 LODチャレンジ2015ではプラチナスポンサー5団体のうち4団体がこの特典を活用し,以下のイベントを共催した。

  • 札幌オープンデータアイディアソン・ハッカソン 2015(日本マイクロソフト株式会社)
  • 第1回LODチャレンジデー in 東京 〜教えて! goo API と LOD4ALL を使ってLODチャレンジの応募作品を作ろう!〜(富士通株式会社,エヌ・ティ・ティ・レゾナント株式会社)
  • LODチャレンジデー:Bluemix勉強会(日本アイ・ビー・エム株式会社)
●審査基準の公開

 コンテストにおいては審査基準を公開することで,より企画趣旨に沿った作品を応募してもらうことができる。そこで以下の6つの評価項目を定め,公開した。

(1)Impact:影響力
(2)Creativity:創造力
(3)Openness:開放性
(4)Linkability:つながる可能性
(5)Sustainability:持続可能性
(6)Usefulness:有用性

 特に(4)及び(5)は,よりオープンで,より多様なリソースとつながりやすい作品を求めるという,LODチャレンジにおいて特徴的な評価項目である。

●応募システムにKnowledge Connectorを採用

 Knowledge Connectorは「平成26年度電子経済産業省構築事業」の一環として構築された,オープンデータを使ったアイディアやアプリ等を共有するシステムである。LODチャレンジ2015では, Knowledge Connector上で作品を紹介するページを作成,公開するという応募方法をとり,締切日までは何度でも内容を修正できるようにした。

 Knowledge Connectorを採用することで,応募作品の情報が,他のイベント等で生まれたオープンデータの成果と一緒に共有され, 参照可能になるというメリットがあった。また,応募作品の進捗状況が確認できるという点で主催者にとってもメリットがあった。

 結果として,2015年度の応募作品数は前年より50増加し290作品を記録した。また,2011年度からの応募作品数の累計は1,000を突破し,1,130作品となった。入賞した31作品には,高度なLOD技術が用いられた作品や,共催イベントで生まれた作品も多く含まれていた。

 LODチャレンジ2015を振り返ると,応募作品数の増加と作品の内容の多様化を図ることができたが,まだまだ施策が必要であると考えている。特に,2016年度はオープンデータを推進する他団体や,他のコンテストとの連携を強化することで,LODチャレンジが単発で終わらずに次へつながるような流れを作り,「参加型オープンデータ」の推進による新たな価値創造へとつなげていきたい。

LODチャレンジ実行委員会事務局長・下山紗代子

Ref:
http://lodc.jp/
https://nycopendata.socrata.com/
http://lodc.jp/2015/concrete5/blog/20151203
http://peatix.com/event/129138
http://peatix.com/event/133196
http://www.data.go.jp/data/dataset/meti_20151130_0236
http://lodc.jp/2015/concrete5/blog/2016-02-19
http://lodc.jp/2015/concrete5/blog/lod2015-symposium-20160319
http://idea.linkdata.org/
E1709
CA1825