E1532 – 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2014/2/14現在)

カレントアウェアネス-E

No.254 2014.02.20

 

 E1532

東日本大震災後の図書館等をめぐる状況(2014/2/14現在)

 

 東日本大震災後の図書館等をめぐる状況について,本誌での既報(E1515ほか参照)に続き,2013年末から2014年2月中旬にかけての主な情報をまとめた。

●デジタルアーカイブに関する動き

 1月20日,青森県内の被災地域(八戸市,三沢市,おいらせ町,階上町)が共同して写真や映像などの震災資料をデジタル化して保存する『青森震災アーカイブシステム』の構築にあたって,インフォコム株式会社がこの震災関連資料の収集・デジタル化およびアーカイブシステムの構築を受託したと公表した。各自治体では,東日本大震災に関連する写真・動画を住民から募集している。
http://www.infocom.co.jp/info/press/2014/p14012001.html
http://www.infocom.co.jp/info/ir/pdf/ir14012001.pdf
http://www.city.hachinohe.aomori.jp/index.cfm/26,46565,84,222,html
http://www.city.misawa.lg.jp/index.cfm/11,12378,49,217,html
http://www.town.oirase.aomori.jp/other/item.asp?g=27&c=289&i=11844
http://www.town.hashikami.aomori.jp/user/asp/public_office/section_detail.asp?SECTION_NAME=%91%8D%96%B1%89%DB&IDX_TITLE=%92T%82%B5%82%C4%82%A2%82%DC%82%B7%81I%90k%8D%D0%8E%91%97%BF%82%C6%91%CC%8C%B1%92k

 1月24日,独立行政法人日本原子力研究開発機構は国立国会図書館および国際原子力機関と連携し,東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故関連情報アーカイブ化への取組みを本格化すると発表した。
http://www.jaea.go.jp/02/press2013/p14012401/index.html

 1月29日,日本赤十字社の赤十字原子力災害情報センターのデジタルアーカイブで,原発事故に関連した同社の救護活動についてのフォトギャラリーが公開された。2011年5月から開始された福島県警戒区域への住民の一時立入に際し,同社が行った救護活動の記録が写真で紹介されている。
http://ndrc.jrc.or.jp/gallery/

●展示

 2013年12月28日から2014年3月24日まで,岩手県立図書館が,東日本大震災関連展示“「1097歩」~3年目の市町村~”を開催している。
http://www.library.pref.iwate.jp/info/evecale/event/20131228_1097step.html

 1月5日から3月30日まで,福岡県筑紫地区の4市1町の公共図書館(太宰府市民図書館,筑紫野市民図書館,春日市民図書館,大野城まどかぴあ図書館,那珂川町図書館)が共同事業として,東日本大震災の被災地の図書館および図書館支援隊の活動の様子などの写真を展示する「東日本大震災 被災地図書館写真展」をリレー方式で開催している。
http://www.town.fukuoka-nakagawa.lg.jp/kouho/soumu/documents/2601b-19.pdf
http://mainichi.jp/area/fukuoka/news/20140114ddlk40040161000c.html

 1月10日から1月13日まで,東北学院大学博物館(宮城県)が主催し,せんだいメディアテークを会場に,「牡鹿半島のくらし展 in 仙台 ―再生・被災文化財―」が開催された。
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/131227-1.html
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/info/top/140114-2.html

 1月10日から3月12日まで,大阪府立中央図書館が,企画展示「歴史地震に学ぶ『震災と復興』展」を開催している。大坂の歴史地震の記録,児童書にみる関東大震災,過去の地震を知る資料,阪神大震災からの復興,東日本大震災,震災の記録と復興,復興と絆という7つのテーマで資料を紹介している。
http://www.library.pref.osaka.jp/site/central/rekishijishin.html

  1月11日から2月2日まで,北九州市漫画ミュージアム(福岡県)が,「震災復興と漫画」展を開催した。宮城県石巻市の復興に「石ノ森萬画館」が果たした役割や,福島県南相馬市で伝統的な祭の再開を支援するために漫画家たちが描き下ろした作品を提供した「武者絵展」などを紹介した。
http://www.ktqmm.jp/kikaku_info/4483

 1月28日から5月11日まで,大船渡市立博物館(岩手県)が「東日本大震災被災状況写真展 Part1」を開催し,2011年3月12日,13日,14日の震災直後の3日間の大船渡市の状況を紹介している。
http://www.city.ofunato.iwate.jp/www/contents/1390376252917/index.html

 2月8日から3月23日まで,東京都江戸東京博物館が,陸前高田市を中心とした,岩手県内の被災した歴史文化資料の再生に取り組む継続的な活動を紹介する特集展示「2011.3.11 平成の大津波被害と博物館-被災資料の再生をめざして-」を開催している。
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/exhibition/feature/2013/02/index.html

●講演会・研究会など

 1月11日,国立国会図書館,東北大学災害科学国際研究所の共催で,「東日本大震災アーカイブ国際シンポジウム-未来をつくる地域の記憶-」が開催された。
http://shinrokuden.irides.tohoku.ac.jp/symposium/20130111_result

 1月16日,神奈川県歴史資料取扱機関連絡協議会の第2回講演会「史料保存とレスキュー活動」が開催された。「東日本大震災と歴史資料の保全」,「静岡県文化財救済ネットワークの活動」,「自治体における史料保全-地域防災計画と資料ネット-」などのテーマで講演が行われた。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/p719634.html

 1月25日,人間文化研究機構連携研究「大規模災害と人間文化研究」の公開シンポジウム「災害に学ぶ 歴史文化情報資源の保全と再生」が開催された。
http://www.ninjal.ac.jp/shinsai/Symposium25P1.jpg
http://www.ninjal.ac.jp/shinsai/Symposium25p2.jpg

 2月8日,慶應義塾大学三田キャンパスで,2011-2013(平成23-平成25)年度科学研究費補助金基盤研究(B)「イーリサーチとオープンアクセス環境下における学術コミュニケーションの総合的研究」の研究成果報告会が開催され,松林麻実子氏が「東日本震災後の日本人の科学技術医学情報に対するニーズと探索行動」について報告した。
http://www.openaccessjapan.com/2013/index.html

 2月12日,東京文化財研究所が,文化財の放射線対策に関する研究会を開催した。
http://www.tobunken.go.jp/info/info140212/info140212.pdf

 2月14日,総務省,筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター,および琉球大学附属図書館が第4回デジタルアーカイブ支援ネットワークDAN(Digital Archive Network)ワークショップを開催し,大学や自治体における東日本大震災アーカイブの構築の取り組みを紹介した。
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02001000.html

 2月15日,千葉県立東部図書館が,NPO「光と風」の協力を得て「語り継ぐ震災の記憶と記録」と題した地域づくり支援講座を開催した。
http://www.library.pref.chiba.lg.jp/information/east/post_36.html

 2月16日,エル・おおさか(大阪府)で,歴史資料ネットワークがワークショップ「被災資料保全を体験しよう!」を開催し,被災資料保全活動のうち,洗浄,乾燥,製本という一連の流れを学ぶ機会を提供した。
http://siryo-net.jp/event/20140216-workshop/

●刊行物

 1月7日,鎌倉幸子氏の『走れ!移動図書館:本でよりそう復興支援』が筑摩書房より刊行された。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480689108/

 1月,神戸大学の奥村弘氏編の『歴史文化を大災害から守る 地域歴史資料学の構築』が東京大学出版会から刊行された。
http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-020152-0.html

  2013年11月号の『日本アーカイブズ学研究』(第19号)に「小特集 2013年度大会企画研究会 放射能データアーカイブズの構築に向けて」として,伊藤好孝氏による「福島放射線測定データの現状とメタデータベース作り」松本保氏による「国立国会図書館における東日本大震災アーカイブ構築の取組」が掲載された。また,同号に酒井麻子氏による資料紹介として,「神奈川県立公文書館編『陸前高田市被災公文書レスキュー報告書 2011-2012』,国立公文書館編『被災公文書等修復マニュアル』」が掲載された。
http://www.jsas.info/modules/publications01/index.php?id=33

 2013年11月号の『レコード・マネジメント : 記録管理学会誌』(Vol.65)に,佐々木和子氏,水本有香氏,小川千代子氏による「研究プロジェクト阪神・淡路大震災から東日本大震災へ : 大震災その後に関する調査」が掲載された。
http://nothtakase.jimdo.com/rm-65-2013-11/

 2013年12月号の『Book & bread : Japanese Board on Books for Young People (JBBY) bulletin』(Vol.117)に「ニュース&イベント JBBYニュース子どもたちへ<あしたの本>プロジェクト : JBBY,日本出版クラブ,JPICが取り組む,3.11被災地支援活動」が掲載された。
http://id.ndl.go.jp/bib/025123855

 鈴木史穂氏によるBest IFLA Poster 2013を受賞した“The Librarians of Fukushima(福島の図書館員)”についての記事が2013年12月号の『国立国会図書館月報』(633号),2014年1月号の『図書館雑誌』(Vol.108, No.1)に掲載された。
http://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_8386132_po_geppo1312.pdf?contentNo=1
http://id.ndl.go.jp/bib/025131011

 1月28日,福島県立図書館が,「東日本大震災福島県復興ライブラリー」の資料を同館の職員が実際に読み,感じたことを伝える「ブックガイド」の第7号を公開した。
http://www.library.fks.ed.jp/guide7.pdf

●その他

 NPO法人20世紀アーカイブ仙台が,同法人が2012年3月に出版した東日本大震災の記録写真集「3・11 キヲクのキロク」を全国の都道府県立図書館などに寄贈した。この写真集は,市民から提供された震災等の写真約1,500枚を掲載したものである。
http://www.kahoku.co.jp/news/2014/01/20140124t15038.htm
https://readyfor.jp/projects/311archive
https://readyfor.jp/projects/311archive/announcements/6949
http://www.20thcas.org/

関西館図書館協力課調査情報係