E1468 - 第1回マイクロ・ライブラリーサミット,大阪で開催

カレントアウェアネス-E

No.243 2013.08.29

 

 E1468

第1回マイクロ・ライブラリーサミット,大阪で開催

 

 2013年8月24日,「まちライブラリ@大阪府立大学」において,第1回マイクロ・ライブラリーサミットが開催された。日本には個人の思いや力で立ち上げられた小さな図書館が多数ある。このサミットは,そんな小さな図書館に思いを寄せる人たちが集ったイベントである。まちライブラリ@大阪府立大学の総合プロデューサーでもある礒井純充さんら有志の実行委員会によるものであり,会場には209名もの人が集った。実に17もの活動紹介があったため,ここではその概要を端的に紹介するにとどめる。登壇者の思いや活動のエッセンスが詰まった個性豊かなプレゼンテーションの動画は,ウェブで見ることができる。気になる活動はぜひチェックしてほしい。

 まずは地域活性化を目指した先駆的な取組み2事例の報告である。「わたしの図書館ミルキーウェイ」は,和歌山市のぶらくり丁商店街にある私設図書館である。石田通夫さんが本をシェアして皆で活用することでまちを元気しようとの思いから始めた私設図書館である。現在蔵書は2万冊ほどある。「情報ステーション」は船橋市にこれまでに市内10数か所に図書館を開設しているNPO法人である。岡直樹さんが,高齢化が進み日中人口が増える地元船橋を元気にしようと立ち上げ,ボランティアがその運営を支えている。

 続いては,“コワーキング”から誕生した2事例の報告である。「リブライズ」は,下北沢のプログラマたちが集う「下北沢オープンソースcafe」に誕生した事業である。市販のバーコードリーダーとFacebookアカウントがあれば簡単に図書館を作れるサービスを展開し,これまで270館を開設している。「co-ba library」は,渋谷で株式会社ツクルバが開設したコワーキングスペースに併設された図書館である。会員が個人の趣味趣向を可視化する本棚を作り,本棚を介した出会いを生みだしている。

 ランチタイムには,書店の取組みとして,新潟市の若者が集まる本屋「ツルハシブックス」を経営する西田卓司さんと全国を旅しながら本を売っている「放浪書房」富永浩通さんの2人のトークセッションが行われた。続いて午後にはまず,公共図書館での2事例が報告された。「おぶせまちじゅう図書館」は,小布施町立図書館まちとしょテラソの前館長花井裕一郎さんが始めた企画である。アップルパイ店,酒屋,銀行などが,特徴的な本棚を設置している。伊丹市立図書館ことば蔵の「カエボン部」は,ボランティアが知恵を出し合い発展させている活動である。おススメの本を交換する場となっている。

 思い出が未来へと引き継がれる,そんなすてきな活動報告もあった。松江市の「曽田篤一郎文庫ギャラリー」は,米田孟弘さんが奥様の「本は宝だね」との遺志を継ぎ開設した私設図書館である。現在は利用者内から生まれた応援団が工夫を凝らしながら運営している。あきるの市の「少女まんが館」は,中野純さんと大井夏代さん夫妻が個人運営している私設図書館である。全国から寄贈された思いの詰まった少女まんが本や雑誌を保管している。「もものこぶんこ」は,大阪市阿倍野区にある絵本や児童向けの読みものが集められた図書室である。かつて桃山学院大学運営の「ももやまぶんこ」にお世話になった河野美苗さん,河野美咲さんなどが,当時感じた“幸せだな”という気持ちを原動力に運営している。

 東日本大震災の被災地域での活動も2事例紹介があった。岩手県大槌町の「森の図書館」は,佐々木格さん夫妻が創り上げた「ベルガーディア鯨山」の一角にある子どものための図書館である。被災地域で子どもたちに夢を与えたいと始め,子どもたちの感性が育つ場となっている。「走れ東北!移動図書館プロジェクト」は,シャンティ国際ボランティア会が地域の行政・住民と協力しながら活動している。同会の鎌倉幸子さんが,“移動図書館は約束”との言葉を胸に,人の思いを大切にしながら雨の日も雪の日も東北を走り続けていることを紹介した。

 学びの場にあるライブラリーとしての紹介も2事例あった。「にんげん図書館」は,市民活動団体等のシェアハウス「地域資源長屋なかむら」に設置された図書館である。本好きが集う企画,人を本と捉えた企画なども実施している。「GACCOH」は京都の出町柳駅近くにある個人の蔵書を核にした図書館である。“街の学校”として読書会等を開催している。

 そして最後に,大阪の「まちライブラリー」の2事例の紹介があった。まちライブラリーは,まちの一角に共通の本棚を置き,そこにメッセージ付きの「本」を持ち寄り交換しながら人の縁をつむいでいく活動である。2011年から開始し,全国に60か所近くが展開されている。このうち小野寺悠介さんが主催するオープンハウス形式の予約制コミュニティスペース「コミュニティカフェからをと」,そしてサミットの仕掛け人礒井純充さんが主催する「ISまちライブラリー」の紹介があった。

 日本各地で,小さな図書館が,街角を元気にし,地域をあたため,そして本を介して人が育ち,人と人が出会うという文化を豊かなものにしている。今回のサミットは,それらの姿を垣間見せてくれた意義深いイベントと言えよう。

(関西館図書館協力課・依田紀久)

Ref:
http://opu.is-library.jp/567/
http://new.livestream.com/machilibrary/events/2346837
http://togetter.com/li/553444 https://plus.google.com/u/0/photos/115566396857234678620/albums/5917081169416074353 https://plus.google.com/u/0/photos/115566396857234678620/albums/5917082037215101105
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