E1428 - 図書館の現場につなぐ(2):同志社大学図書館ガイダンス

カレントアウェアネス-E

No.237 2013.05.23

 

 E1428

図書館の現場につなぐ(2):同志社大学図書館ガイダンス

 

 同志社大学では,2013年4月28日に「図書館ガイダンス」というイベントを開催した。このイベントの開催は今年で23回目となる。

 図書館ガイダンスが行われるようになったきっかけは,1984年5月14日に開催された同志社大学図書館司書課程ホームカミングデーである。これは同志社大学を卒業して図書館で働く人々の中で,学年を超えて集まるOB/OG会を開こうという機運が高まり,当時の図書館司書課程担当教員であった青木次彦,渡辺信一両教授の尽力によって,当時としては珍しい学部・学科の枠を超えた集まりとして開催されたものであった。ホームカミングデーと称してはいたが,卒業生だけではなく司書課程で学ぶ在校生にも広く呼びかけられ,図書館に関心を持つ数多くの学生が参加し,卒業生と在校生の交流の場ともなった。このホームカミングデーは,その後も数年おきに何度か開催された。そして1991年に「図書館ガイダンス・ホームカミングデー」と名称も改められ,同志社大学の正式な行事として整備された。以降毎年開催されるようになり,図書館ガイダンスと呼ばれるようになった。

 図書館ガイダンスのプログラムは,開催年度によって内容やプログラム順に違いはあるものの,(1)OB/OGの図書館員による講演会,(2)館種ごとにわかれて行う分科会,(3)全参加者が集まった全体会,(4)懇親会,となっている。講演会では,図書館長クラスの方の講演会が行われることもあれば,若手図書館員の講演会やシンポジウムが行われることもあり,毎年バラエティに富んだ話を聞くことができる。

 館種ごとの分科会としては,当初は公共図書館,大学図書館の2つの分科会のみが設置されていたが,1996年度からは学校図書館分科会と専門図書館・国立国会図書館分科会が設置されるようになった。さらに,2001年度からは大学院進学分科会も設置され,5分科会構成となっている。各分科会の内容は,卒業生それぞれの仕事内容や就職状況,自分自身の就職活動の経験などが話されることが多い。どの分科会も講師がOB/OGで構成されていることもあり,1つの大学で行っていることのメリットを生かし,学生との距離が近いものとなっている。学生からも多様な質問が寄せられ,各分科会ともに設定した時間が足りなくなるくらい活発な活動が行われている。今年の図書館ガイダンスでも,「講師との距離が物理的に近いだけではなく,OB/OGということで心理的にも近く感じた」「同じ大学の卒業生だからこそ,大学時代の生活や準備,就職活動などについて生々しく感じられる話を多数聞くことができた」との感想が寄せられた。

 在校生の参加者数は年度によって異なるが,大学3回生・4回生を中心に,例年70~100人程度が参加している。分科会の中では公共図書館分科会への参加が多いが,様々な館種の方に話をうかがうことができることの意味は大きく,時には1回生から4年間全て違う分科会に参加したという学生も存在する。

 在校生にとっては,実体験に基づく図書館員の生の声を聞く良い機会であり,図書館員としての生活や採用試験など多岐にわたるアドバイスを受けることができる。受講者からも,「パンフレットや就職説明会では得ることができない情報,たとえば過去の就職試験の内容や,面接時の心構え,いつ頃からどのような勉強をしたかという経験などについても知ることができた」「図書館の実像を知ることで,司書を目指すモチベーションが上がった」「話を聞いているうちに,やっぱりこの業界で働きたいと思った」など,ポジティブな感想が毎年数多く寄せられている。

 また,講師として出席いただいたOB/OGの方にとっても「他の図書館で働く先輩方のお話を聞いてとても刺激になり,また今後頑張ろうというやる気にもなりました」という声が得られるなど,卒業生たちにとっても良い刺激を与える催しとなっている。ホームカミングデーでは館種を超えた交流も活発で,時には出版社や書店などの職業についた卒業生も集まることがあり,お互いに刺激を与え合う機会となっているようである。

 昨年度に同志社大学図書館司書課程は創立60年を迎えた。3月に開催した図書館司書課程60年記念式典の際に卒業生に話を聞くと,図書館員を目指す人々が集まって毎日を過ごした研究室(図書館司書課程資料室)の存在とともに,図書館ガイダンスをはじめとしたOB/OGの方々との交流の機会を思い出にあげる人が多い。他大学であまり例を見ない,同志社大学が誇るべき行事の1つであろうと思われる。今後ともこのような先輩から受け継いだ歴史を発展させていきたい。

(同志社大学・原田隆史)