E1186 – 国立国会図書館,「歴史的音源」の提供を開始

カレントアウェアネス-E

No.195 2011.06.23

 

 E1186

国立国会図書館,「歴史的音源」の提供を開始

 

 国立国会図書館(NDL)は,2011年5月31日,歴史的音盤アーカイブ推進協議会(HiRAC)がデジタル化した「歴史的音源」約2,500点を公開した。このうち,著作権及び著作隣接権の保護期間満了が確認された約100点については,インターネットを通じてNDLの施設外からも利用できる。

 HiRACは,歴史的・文化的資産である初期のレコード(SP盤)及び原盤の劣化,散逸等による音源の喪失を防ぐことを目的として,日本放送協会(NHK),社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC),社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協),財団法人日本伝統文化振興財団,特定非営利活動法人映像産業振興機構(VIPO)及び一般社団法人日本レコード協会(RIAJ)の6団体が参加し,2007年に設立された。

 「歴史的音源」とは,このHiRACがデジタル化した1900年初頭から1950年頃までに国内で製造されたSP盤等の音源であり,落語,長唄,楽曲,歌劇,清元,浪花節,歌謡曲,講演,ジャズなど多様な内容が含まれる。例えば,今回提供しているものでは,インターネット上では,三代目三遊亭圓馬の落語『三人旅』(ビクター,1928年),箏曲家の宮城道雄作曲・演奏『春の海』(ビクター,1930年)など,NDLの施設内では,童謡歌手の河村順子の童謡『かもめの水兵さん』(キングレコード,1937年),映画俳優・歌手の石原裕次郎の『嵐を呼ぶ男』(テイチク,1958年)などが利用できる。

 NDLでは引き続きHiRACがデジタル化した音源を購入し,館内で公開するとともに,著作権及び著作隣接権の保護期間満了が確認された音源については,インターネットでも提供していく。2011年6月末に約1万8千点を追加するのをはじめ,提供準備の整った音源を順次追加し,最終的には約5万点を提供する予定である。また,公立図書館で著作権保護期間内のものを含めすべての音源を利用できるように,検討・準備を進めていく。

 公開以来,「想像以上によい音で驚いた」「貴重なアーカイブですばらしい取組み」「今後の追加公開が待ち遠しい」などの反響をいただいている。貴重な音源の数々をぜひご利用いただきたい。

(関西館電子図書館課)

Ref:
http://dl.ndl.go.jp/#music
http://www.ndl.go.jp/jp/news/fy2011/__icsFiles/afieldfile/2011/05/31/pr20110531_1.pdf